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みんなの評価3.8
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評価内訳
2008/09/05 15:04
投稿元:
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ほとんどが第三項排除について書かれている。 ただ一人を全員一致で排除し暴力を加える事で他のメンバーは市民社会の一員である事を確認し安定する。 ルネ・ジラールの著作を読みたくなった。
2013/08/04 18:36
私は自分が暴力的だという自覚がある。言葉や行為によって幾度も誰かを傷つけてきたという思いがあるからだ。そんな私は、学習や人格の陶冶によって暴力的な部分を自分の中から除去することができないものかと思い悩んでいた。 しかし、そもそも暴力は人間存在の根源にとりついていて、それを引き剥がすことはできないらしい。そして暴力と闘争は社会形成の根源的な要素である。社会は人間と人間の関係から生じる。そのため、社会形成の原理はそのまま人間関係の原理ともなる。 しかも暴力は暴力によってしか封印できないようで、今村さんが提唱されるのは「第三項排除の論理」である。人類はこの論理に従って血で血を洗う暴力による闘争を封じ込めてきたそうである。 A、B、Cの三者から成る共同体があるとする。そこでAとBとCがいて互いが闘争し合う。そのままであれば三者とも傷つき、最後にはみなが死に絶え共同体としては滅びるより他ない。それを避けるためにAとBが心をひとつにしてCを排除する。報復されないくらいに痛めつけ共同体の周辺に存命させるか場合によっては殺害する。こうすることによってAとBは互いを認め合い秩序を形成し共同体存亡の危機を回避する。 まったくいじめの原理である。人間から暴力を消し去ることができないように暴力に根ざすいじめも消し去ることはできない。せいぜい暴力の発現形態をもう少しましなものにずらす他ない。 平和を目指すためには暴力と闘争の渦巻く地獄のような社会の深層を見据えることを避けられないようだ。まだまだ勉強しなければならない。でも、何となくこれは男の論理のような気がするな…女の人はたぶん違うように考えて答えをだす。 Mahalo
2015/08/31 15:22
抑圧されたものは必ずどこかで突出場面を見出すし、また見出すように通路付けを行わなくてはならない。社会形成の原点は規則ではなく、規則を形成させる動員たるべき暴力と闘争。 未開社会とはひとつにして全体であろうとする不分割の社会、階級無き社会、支配するものとされるものへの分割がない社会、社会から分離した権力装置のない社会。首長が威信だけをもち、権力をもたないこと、首長制と権力との分離、これが国家無き社会。ーいや、未開社会は完成した、充実した、成熟した社会だからこそ権力を持たない。社会が未分割であり、不平等が生まれないようにすること。つまり政治的なもの、政治権力の出現と戦う権力。未開の平和は社会システムが絶えずに産出するもの。 ”本当の意味で平等な社会”とは何か?
2020/01/05 00:46
労働論とならんで著者のライフ・ワークの一つとなっている「暴力」というテーマにかんする論文を収録している本です。 著者は、社会秩序の形成と維持を可能にしているのは、「第三項排除」の暴力だと考えます。たがいに独立した二者は、それだけで関係を取り結ぶことはできず、両者を媒介するものが求められます。しかし、媒介項は媒介項であるがゆえに、被媒介項である二者と同じ位置に立つことはできません。こうした洞察から、社会秩序のあるところにはかならず第三項の排除という事態が見られると著者はいいます。 本書はこうした基本的な発想にもとづいて、より具体的な肉付けを進めていきます。たとえば、未開社会に見られる首長制や神話などのなかには、第三項排除を現実的な暴力として発動させることなく、儀礼的・象徴的暴力に転化させるメカニズムがそなわっていることが明らかにされています。 また、近代市民社会は第三項の排除を駆動力として進歩を実現していく社会であり、マルクスの商品形態論のなかにこうした洞察を読み取ることができると著者は主張します。マルクスは、近代経済社会において前提となっている金は貨幣であるという等置関係を問いなおし、そのなかにひそんでいる「暴力」と「死」という問題を浮き彫りにしていると著者は述べます。近代市民社会は、第三項である貨幣を排除し、あらゆるものを交通・交換・通訳可能にすることではじめて可能になったと著者は考えます。 こうした近代市民社会のもとで、われわれの労働までもが収奪されるという事態が生じることになります。著者は、こうした事態をルカーチ的な疎外論のような問題設定のもとで考察するのではなく、第三項排除によって発動される権力機構の解明を通じて、問題の解決が図られなければならないと主張しています。
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