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紙の本
6つのうち4つは駄作
2004/04/20 09:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:13オミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
6つの短編からなる小説集。そのうち4つは全然面白くない。だって、あらすじ全然覚えてないし、読んだ記憶すらない。どうして、ここまで収録された短編に温度差があるのか? 作家って大変だなあと思った。それにしても、表題が面白くなかった短編「白き手の報復」にしてるのが解せません。まあ、読んだ理由はこの表題があったからなんだけどね。報復って言葉に惹かれました。
「少女の死ぬ時」はちょっとショックだった。二人の医師が病室で危篤の少女の心臓マッサージをする。いつ医師はその手を止めるのか? すごぃ緊迫感。二人の医師のやり取りからその情景がはっきりと伝わる会話。最後は「ああ、そうか。そうしたか」となんとなく共感する。
「遺書の告白」は泣きました。癌に侵されたお父さん。平和な4人家族に訪れる静かな別れ。どの家庭にも訪れるかもしれない状況を描いてみせる。会話で4人の家庭の雰囲気をはっきりと映し出す。読んでると、自分の家族のことをいきなり考えさせてくれるような作品です。
渡辺氏の作品は好きなんですが、冒頭で書いたように作品ごとの出来不出来が激しい気がします。もっと安定した仕事をしてほしい。特に彼が医師であったということを考えるともっと病院や死についての作品を書いてほしいと思います。