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著者 トム・クランシー (著),井坂 清 (訳)
レッド・ストーム作戦発動 上 (文春文庫)
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評価内訳
2005/07/08 22:38
投稿元:
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「レッド・オクトーバーを追え」で切り開かれた「ハイテク軍事スリラー」と言うジャンルは本作で確立された。本作以後類似の作品が多数出版される事となる。本作は戦略面にストーリィの主軸が於かれており、かつてボードゲームに慣れ親しんだ向きには楽しめるのではないか。
2006/05/06 14:43
トム・クランシー著書の中で一番好きな小説。しかしこれは読むのに時間がかかり、また苦労した。陸・海・空のハード(兵器や戦闘機など)が全く理解できず、何度も書店でその種類の本を立ち読みして読み進んだ。
2010/05/27 23:49
実際に発生しなくてよかったと思えるくらいのヨーロッパ・大西洋を舞台にしたリアル戦争小説。戦争を始めるためにそんな謀略を立てるものかと唖然とする。また、ソ連の危機を作ったのがイスラム教徒による破壊工作・テロとしているのも何か予言めいている。
2011/11/15 22:52
GIUKギャップの封鎖突破のため、アイスランドを戦闘ホバークラフトで強襲、潜水艦隊を大西洋に解き放つソ連海軍。空軍はバジャー爆撃機を囮にしてバックファイヤー超音速攻撃機からキングフィッシュミサイルの飽和攻撃を米空母打撃群に見舞う。イージス艦タイコンデロガの奮闘もむなしく被弾する米仏空母。 一方、東西国境では米ステルス機がソ連早期警戒機とレーダー群を排除、航空優勢を達成。A10の執拗な爆撃に耐えながらソ連大機甲師団が怒涛のように西側に侵攻。陸軍司令官アレクセーエフは戦車軍団を自ら指揮、ザックを迂回しアルフェルトへ直行する奇策にでる。 ・・と、読んで20年経った今でも思い出せる、素晴らしいストーリー構成。小説ってのはよーするに「筋」なんだな、と思う人にお薦め!
2013/09/16 18:25
書き下ろしの時からずいぶん時間がたつが時代を感じさせない。ただ本書の導線部分の第三次世界大戦開戦の動機付けがやや曖昧なため、やはり安直な結末で終結させるより他がないのが惜しまれる。 読後感としては、クランシー初期の作品だけに彼のその後作品と比較すると人物の描きこみが弱い。その分比較するとハイテク兵器の描写にウェイト付けされたのが気になった。 正義というものを意識し、主人公に正義を託したその後の作品と比べて戦争そのものを描いた乾いたリアリズムは、逆に凄みがあるとも言える。
2021/09/09 23:03
『レッドオクトーバーを追え』や『恐怖の総和』など主に 1990年代名作洋画の原作を著してきたトムクランシーの代表作。 本作には明確な主人公がおらず、些細な地域的事件が第3次非核大戦に進み、戦局が進展する様を描いている、戦争シュミレーション小説。 話の始まりはソ連南部中央アジア付近の油田地帯で、イスラム原理主義のテロリストが油田設備を徹底的に破壊する所から話は始まる。 当油田はソ連でも最大の油田の一つであり、ソ連全土の石油産出能力は30%低下し、特にガソリンなどの輸送機器に必要な石油類が不足する。外国から購入するにも、ソ連から代わりに売れるものもなく、国民は極度の欠乏と貧困に晒されるおそれがある。。 その状況の中で、ソ連上層部はある決断を下す。 それは軍を以って中東地域に進出し、油田を奪取する事。 ただ、それをすると中東油田に依存する西側諸国、特にアメリカが黙っていない。 なので先んじてNATOに対して攻撃を加え、沈黙させる。 そしてヨーロッパとアメリカを分断し、継戦意志を砕く。 その後、油田を取る。 ただし、目的はNATOの沈黙であり、国家の壊滅ではないため、過剰な反応を引き出しかねない大量破壊兵器は使用しない。 というシナリオの元、東西の通常兵器による全面戦争となるレッド・ストーム作戦が発令された。 前半は戦争準備~アイスランド急襲~大西洋の戦い を描く。 ひとつひとつの戦闘を描きつつも、全体での大きなうねりもちゃんと描いてるマクロもミクロも両方描写している職人技の作風。 かなり長い作品だが、読者を飽きさせない。 それにしても、現代戦で大国がやりあったら、こんなに簡単に双方に甚大な被害が出るのかと思うと末恐ろしくなった。 あと、本当にこのように戦争に突入した場合、このシュミレーションの如く、被害が拡大し続けるとどちらかは通常兵器による決着を諦め、核兵器に頼ってしまうのではないかと思う。 末恐ろしい話の作品ですが、ここまで緻密にシュミレーションができる作者も稀有でしょう。
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