紙の本
「あの」橋本治が、かんでふくめるようなイヤミな物言いで悩みを斬りまくる。逆・癒し療法。
2002/06/18 14:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さじまつきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時はバブル。写真時代というヘンな雑誌に投稿されたヘンな悩みを、およそ悩みを相談したくない人(バカにされそうだから…)ナンバーワン、橋本治が斬って斬って斬りまくる。名著である。私事だけど、私はこれで何度も人生を(自分でねじまげかねない自意識から)救われている。マジで。もう絶対買い、の名著なんである。
老若男女の悩みが載せられている中で、橋本治は誰にでもキビしいわけじゃない。橋本治が斬り捨てるのは、悩みの本質を見ず、知らずに責任転嫁をし、勘違いの方向へ悩んでいるふりをしているムシのいい人種だけである。で、たいていの「悩める人」はこれに入ってしまうのだ。その数少ない例外として、ひとりの女の子の悩みがあった。
若いころは不良でめちゃくちゃしたけど、はじめて心から好きな人ができたので更生したい、でも更生したってその人も、誰も認めてくれないかもしれない…。と悩む彼女への、橋本治の優しさに満ちた答えには、涙が出る。きちんと悩む人に対して、橋本治はかくも、あたたかい。
悩みには、(当たり前だけど)人柄が出る。その人の本質と社会との関わり方まで見えてくる。それをごまかさない橋本治に、きっとあなたも傷つきつつ、癒されるはずだ。
紙の本
追悼 橋本治
2019/02/10 06:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:beni - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代、リアルタイムで購入し読んだ本で、今もまだ手元にある。
手放さなかったのは、この本が余りにも面白かったため。
相談者の悩みには、こちらも、一体どうしてあげたらいいんだろう?と歯噛みしたり、いやこれは人に相談するようなコトじゃないだろとか、色んな思いをするのだが、だからどうすればいいのか、までは思いつけない。
それを橋本治氏は一刀両断、スッキリ言語化してくれる。
その快感たるや凄まじく、何度この本を読み返したことか。
いまでも、悩みを持つ方にも持っておられない方にもお薦めしたい、不朽の名著である。
"本当に優秀な人は、皆んな優しい。会社の社長さんでも学校の先生でも"というのが、この本を読んだ頃、バイトや学校等を通じて学んだことで、会ったこともない作家・橋本治氏にも同じ印象を持っていた。
著者はご自身が東大出だということで、世間から、どんな印象を持たれるか、どんな扱いを受けるか、他の様々な著書でもしばしば書かれているが、私は橋本治氏を純粋に”さすが東大出”と激賞するに躊躇いはない。
頭がいい。そして優しい。
「いつまでも若いと思うなよ」で杖をつく生活になられたことを知ってはいたが、
まさか、こんなに突然亡くなられるとは思っていなかった。
私などは正直言えば 取り残されて心細い という心境なのだが、
橋本氏の魂は身体の痛みから解放されて「ア~、やっと終わった」とか伸び伸びされているかもしれない。
橋本治氏のご逝去を悼む。そしてご冥福を祈る。
沢山の本を遺してくださって、本当にありがとう。
紙の本
日本ジンには悩むのがお似合いか?
2000/12/10 23:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
悩みにもいろいろあって感心することこのウエなし。この本のなかにもあるけど、自分一人の悩みなんてものは存在しなくて、どこかでだれかが悩んでいるはずなのでそいつを参考にするっていうのは一つの考え方だよなぁ。
それにしても悩みが明確になるってことは、自分の好きなことな事が明確になるってことでもあるし、そういう時には悩みも解決してて、あとはえてしてやるだけなんだけど...詳しくは
投稿元:
レビューを見る
相談に回答しているというより、人生の楽しい指針を教えてくれる。
しかし、視点とか考え方とか、すごいなぁ…。
投稿元:
レビューを見る
おれが生まれる前に出版された本ってのに驚くくらい、意外に人間の悩みってのは変わらないもんだ。
こうやって世の中にいろんな悩みがあるってことを知るのは自分にとって大事だし、わずかな相談の手紙からかなり突っ込んで回答する橋本さん、結構凄いのかなぁ。切り口とかも新鮮で勉強になった。
投稿元:
レビューを見る
毒をもって毒を制す。
通り一遍の回答では満足できない人や、いろいろとこじらせてしまった人には効くかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
橋本治の青空人生相談所を読みました。橋本治が人生相談に対して回答しています。回答が相談の内容や文章に対して的確に面白く書かれています。雑誌のコーナーで書かれていたようで、連載していたのは20年位前のようです。橋本治の論説というのは論理が幾通りもの筋道で書かれているので読むのに疲れてしまうのですが、人生相談だと一つの筋道で回答が作成されているので読みやすいと感じました。いろいろな相談があるので人生に疲れたら読んでみるのもいいかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
今月号の「本の雑誌」の特集が「人生相談」で、その中のコーナーで紹介されていたので読んでみた。なるほど、これは「人生に効く」感じがする。かなり前に出たものだが、今読んでも十分面白い。
橋本さんの言葉がすべて腑に落ちるわけではないけれど、所々にうーんと唸るしかない切れ味の鋭い卓見がある。「人生には当たりはずれがある」なんて、ちょっと他ではお目にかかれない言葉だと思う。――「ええ、人生には当たりはずれがございます。そして、人生とは、そのはずれくじを引いてしまった人間が、そのことを結果としてひっくり返してしまう為にあるのです」――かみしめたくなる深みがある。
同じ「本の雑誌」のコーナーの一つで、朝日新聞別刷「be」連載の人生相談がちょっと取り上げられていた。私もいつも楽しみに読んでいる。車谷長吉さんの回答(に全くなっていないの)がすごいと書かれていたが、私は岡田斗司夫氏の回答に毎度毎度感嘆し、切り取って読み返したりしている。実にシャープで、おまけに温かい。少し前に載った塾講師のアルバイトをやめた大学生への回答には、ちょっと泣けてしまった(かなり個人的なツボだけど)。上野千鶴子先生のも、いつも非常に「らしい」感じで好きだ。
「本の雑誌」おなじみの面々が回答者になる企画があって面白かったが、一番実用的な回答になっていると思ったのが意外にも大森望氏。ディープなSF(というかアニメ)ファンにしかわからないネタ(と推察する)を使いながら、言わんとするところはすごくよくわかった。
投稿元:
レビューを見る
この前ごはんを食べに行ったら、
「大藤はこじれている」
みたいな話になり、そのこじれの処方箋として
おすすめしていただいた一冊。
タイトルがいかにもまたピッタリな感じですよね。
内容は、色んな境遇の老若男女から
どしどしと寄せられる人生相談に、
小説家である筆者が切り込んでいくという285ページ。
読者のお悩みを読んで自分なりの一般的な意見とか
回答とかをなんとなく用意し、いざ回答を読みすすめると、
全然違った視点から問題をとらえていたりして、
ちょくちょくよくわからなくなったり、
わかったような気になったり、混乱します。
必死にパンチとかキックとか繰り出して
ぜぇぜぇいいながら戦ってたら
師匠にヒミツのツボとんって押されて倒された。
みたいな、なんかそんな感覚。
結局ぼんやりとわかったような気になって読み終えてしまいましたが、
また人生レベルが上がったら新たにわかる箇所も出てくるかもですし、
そのうち読み返してみるのも良いかもしれません。
橋本さんの回答は良い感じに毒とユーモアがあり
読み物としても面白いですので、
こじれてる方もこじれてない方も、
ぜひ読んでみるといいのではないでしょうか。
ありがとうございました!
投稿元:
レビューを見る
phaさんの「ニートの歩き方」で紹介されていた本。26年前の本だけど悩みは昔も今も変わらないもの。それをバッサリと途轍もない論理と視点で斬りまくる。特に十代、二十代の悩みへの回答は秀逸です。いやー、面白い!!
ちなみに「ニートの歩き方」も素晴らしい本!生きることを掘り下げてじっくり考えるきっかけになると思います。
投稿元:
レビューを見る
著者がさまざまな世代の人びとから寄せられた人生相談に回答した本です。
回答者のするべき仕事は、「あなたの望む解決策は、既にあなた自身の質問の中に書かれている」ということを指摘することだと、著者は「まえがき」で述べています。「あなた自身の説明によれば……」という形で、質問者の持ち込む問題の本質に踏み込み、ときに厳しく、ときに教え諭すような語り口で、回答していきます。
けっきょく、解決策は質問者の相談の中に最初から含まれているわけですから、著者の回答も「いい加減腹くくって現実と向き合えよ」という結論にならざるをえないのですが、それが例の橋本節でやられるわけですから、質問者の逃げ道を全部、論理的につぶしてから決断を迫るということになります。
ときには独り決めがすぎるような気がしないでもないのですが、著者の見立てが質問者の状況にドンピシャだった場合には、質問者にとって恐ろしい回答だろうなあと思わざるを得ません。
投稿元:
レビューを見る
phaさんの本で紹介されていたもの。なかなか面白かった。ちょっと昔の本なので、中身もそんな感じだけど。ほんと人の悩みってどうでもいいよね。
投稿元:
レビューを見る
単行本が出版されて30年は経とうとしますが、
今読んでも、本当に面白い。
人生相談本として、異色の出来と言うか、
恐らく金字塔だと思う。
それは、橋本治氏の並外れた知性と、想像力だからだろうと思う。
こういった相談モノは、
時代背景が色濃く反映され、
経過年数を経てばたつほど、面白くなくなるが、
ただ、この本に限っては、全くの逆になっている。
ますます価値が出ているように思います。
橋本氏「人間の悩み」を、かなり深いレベルまで、見通している。
それは氏の一連の著作から、日本文化・歴史に関して深い洞察を持っていたり、
また、自身が小説家だったりと、人間を扱う上での、
エキスパートだからだろう。
読んで全く損はないし、そして今、多くの日本人が感じている閉塞感や
先の見えない不安感に対して、どう接していけばいいのか、そのヒントを得る
ものだと思う。
投稿元:
レビューを見る
30年以上前の相談だけど、人間の本質ってなんにも変わらないんだなー。
権威になってしまう!と焦るところがもうお釈迦様だよな。
投稿元:
レビューを見る
橋本治の人生相談本。雑誌に連載されていたのをまとめたものらしい
橋本治が相談者に対して、すごく内角にえぐるタマを投げ返してくる。デッドボールすれすれ。相談者が10代だろうが50代だろうが容赦ない。回答は論理的に強固に構築されていて、論理的豪速球と言っていい。論理的豪速球に付き合うのはしんどい。読者にも論理的体力が要求される。しかし体力のある読者なら読み物としておもしろいだろう。
回答の多くは「相談者はこういうことに違いない」という強引な断定の上に成り立っている。相談者の役に立つかどうかは疑問だが、読者に効いてしまう部分はある。10代の相談者から寄せられた、老人ホームにいる祖父の話が一番効いた。
ところで、この本の相談内容は本当に雑誌読者から寄せられたものなんだろうか?著者が相談を自分で書いて自分で返答する自作自演なのではないか?そんな疑いを持ってしまった。