紙の本
味のある本です!
2021/01/27 20:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
■寝ながら読む本がなくなったので、本棚を探していたら、でてきました。
■森本哲郎さんといえば、昔は、朝日新聞の名文記者で、私が学生の頃は、文章をしっかり書きたいと願う若者にとっては、お手本となる散文・エッセイを書かれていたのを思い出しました。
■久々に、読み返しましたが、言葉の深みを、あらためて感じさせられます。それにしても、森本哲郎さんの言葉の分析力はすごいですね。
■子どもとやりとりするときは、私もラインの絵文字を使ったりしますが、言葉だけで、これだけの人間の心の奥行きを表現できる人は、もう、いないのかもしれません。
■話し言葉で、この本の言葉を使おうとしても、いまや、理解してもらえないかもしれません。日常会話が成り立たないかもしれないとも思いました。言葉もずいぶんと変化してきていると感じざるをえないですね。
■味わいのある文章でした。
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日本語の奥深さを知れる。外国語を学んでいる人にとって、日本語の表現のすばらしさを再認識するきっかけになる本だと思う。
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「大半」ってなん%なの?
「虫がいい」の虫ってなに?
「よろしく」ってどういうこと?
森本さんなりの持論があるのはいいんだけど、永遠と話を追っていくのは疲れるかな。彼はひねくれているんですよ。きっと。
ただ言葉の語源をしっていると会話するのがとっても楽しくなります。
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日本語には、外国人に対してこれほどまでに説明困難な、微妙なニュアンスを含んだ言葉が溢れていたことに感動すら覚える。
そして何ら特別な学びなどせずに、それらを苦もなく遣っていることに胸さえ張りたくなってしまう…お門違いな自慢だけれど。
万葉集にも、倭の国は“言霊の幸はふ国”と詠われているけれど、あの頃からずっと、日本人はできるだけ他との差し障りを避けるため、本音と建前をうまく綾なしながら言葉を遣ってきた。
たとえば“参った参った”…正確な意味を外国人にきちんと説明できない、でも皆一様に過たずに遣いこなしている。
これら微妙なニュアンスを孕む日本語を深く知ることは、日本人の生活や精神、歴史を知ることになり、我が母国語ながら興味は尽きない。
著者の個人的見解の域を出ない考察が少なからず見受けられる気もするけれど、読み物としても充分楽しめる。
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何気なく使っている日本語。そこには日本人の独特な性格や考え方をあらわし、それが日本語となっている。
よろしく、やっぱり、虫がいい、どうせ、いい加減、いいえ、お世話さま・・・など外国人には説明しにくい言葉を分析。
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超楽しい!
子供の頃、自分が触れるあらゆる事物から言葉を拾ってきて吸収してきた(はず)と思う。
そうした中で、文章中の意味とは関係ないのになぜこの単語がここにあるの?といった疑問が沢山生まれた。わからないから親に聞いても、やはり向こうも同じで一緒に悩むだけで、しまいには屁理屈ばかり言ってるんじゃないので片付けられた。そのうち自分でもどうでもよくなってくるわけで、普通に日常会話で使い続けて十数年。
疑問を放置することに慣れきった自分に、追求することの楽しさを味わわせてくれた。
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「こころ」の語源には「凝る」という一説があり、「凝る」とは散分していたものが寄り集まること。日本列島は「おのころじま」と呼ばれ、「おのころ」とは「自凝」すなわち自分から凝った島という意味だそう。素敵ですね。こころと日本。
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日本語から、日本人の心理、真相が垣間見える一冊。日本人は和を尊ぶために自己主張を嫌う。自然信仰の楽観主義。自分の中の日本人を改めて自覚した。
備考:諦めるの語源。負けることは勝つこと。ノーの対語。
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これまで何度も読み返した本だが、週末に改めて読んでみて(薄いのですぐに読める)、しみじみと日本語の面白さを味わった。
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日本語の曖昧さを代表する言葉の数々。虫、気、どうも、よろしく、やっぱり、いい加減、ざっくばらん、ということ、・・・。どれもが日本人の性格を象徴することばです。特に「腹の虫が納まらない」「弱虫」「虫の知らせ」「虫がいい」「虫のいどころが悪い」「虫が好かない」等々、不思議な言葉の使い方に日本人の奥に潜む潜在意識を説明するあたり、鋭いです。「いい加減」という言葉の色々な意味も改めて凄い言葉です。そして「わたし」の多様な言葉、何にでも「さん」をつける不思議さ、こうして説明を聞いて初めて日本語の面白さ、難しさを知った気がします。
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日常使っている、何気ない日本語の語句を通して、日本人の奥にある心性を明らかにした本。
とりあげてある語句も、実に興味深く、項目別に拾い読みできる点もよい。中でもこの本のタイトルになっている「おもてとうら」は、日本人が”裏”をどう捉えているか、語源からひも解くことができる。「思ひ」とは「オモ(面)オヒ(覆
の約」らしい。「思ひ」は心の底にしまったおくということなのか。なるほど〜。
日本語を通して日本人を理解するにも有益な本だと”思う”。
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日本語から日本人の考え方や性質を解き明かしていく日本人論の一冊。
日本人は豊かな自然の元で生活しているため、自然であること・自然のままをよしとし、自然に甘えている、なんていう指摘が「いい加減」という言葉から導きだされていく。
そういうのが納得いく形で次々と流れるように語られていく。読んで気持ちのいいエッセイ。
日本語が抽象語を獲得する前に大量の漢語から抽象語を輸入したため、日本古来の大和言葉から抽象語が少なく、そのため日本人は抽象的な思考が苦手だという。この指摘は目からウロコ。
このように面白い発見が多数ある。むすびの「片付ける」の終わり方もよい。
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題に「表と裏」とあるが、熟語で書くと「表裏」(ひょうり)と「裏表」(うらおもて)となり、和語の裏から読むのが以前から不思議だった。この本でその疑問は氷解した。自分で考えたり調べたりしなかったところが自分自身の怠慢だが、著者はいろいろな日本語について8~9ページに渡り詳しく調べ考えている。「そうなのか」と驚いたり「なるほどそうか」とひざを打ったりすることが頻りであった。日本語というのは、日本人の歴史的な心性・感性そのものであるのだ。こんなに微妙複雑な感性に色づけられた日本語を、日本人はよくまあ上手く駆使しているものだとあらためて目を開かれる思いであった。森本哲郎さんは凄い。取り上げられた言葉は次の通り。
よろしく・やっぱり・虫がいい・どうせ・いい加減・いいえ・お世話さま・しとしと・こころ・わたし・気のせい・まあまあ・ということ・春ガキタ・おもてとうら・あげくの果て・かみさん・ええじゃないか・もったいない・ざっくばらん・どうも・意地・参った、参った・かたづける
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【概略】
「いい加減」は、はたしてどの程度の状態を指すのか?逆に「いい加減にやる」といった悪いニュアンスの使い方も存在する。和を重んじる風土があるが故に、会った直後から「ざっくばらん」なやりとりを求められる。抽象化が苦手な日本人、その苦手感が日本語の語彙にも表れている?文化や思想の具現化されたものの一つが言葉、この本を通じて、日本人のマインドを今一度見直そう。
2021年04月04日 読了
【書評】
いやぁ~、面白かった!!!英語学習者は是非、読んだ方がいい!英語を勉強してなくても、外国語に興味がなくても、自分達が何気に使っている日本語を通じて「なんで日本人は日本人になったのか?」ってことを考えることができる。
「日本人は抽象化が苦手」というあたりも、スラッシュメタルのライヴでむち打ちになるくらい頷いてしまったよ。やたらめったら「(お前の言ってることは)間違ってる。場合による」とか、「いや、でも〇〇な場合だってあるじゃないですか?」って返し、もらったりしない?この本では、なぜに日本人が抽象化が苦手になったのかという点に関し、著者の考えが面白く書かれてる。昨今のジェンダー論なんてその極みじゃない?男性・女性(ってか、この時点でLGBT他、カテゴライズできない人達いるじゃん!なのだけど)に対する公平性を保つ・保とう!って考えは大事なのに、枝葉に対しての噛みつき、凄くない?そのうち「雌雄を決する」や「雄弁に」といった表現、消えるよ?本質はそこじゃないのに。そしてこの枝葉に噛みついてる人がクソ野郎なんて言葉を使ってるのだから驚きだよ、まったく。あ、話が逸れた。※ホント、誤解しないでよ。ミソジニーとかじゃないし、機会の平等は大事だし、公平であれと思ってるから。
この本を通じて思った点、さらに二つ。一つは、「あぁ、アスペルガー症候群のようなタイプの方は、日本という国は生きにくいな」ということ。もう一つは、「見えないことに対する畏怖や受容があるのだな」ということかな。Amazon などの紹介ページを見てもらえたらわかるけど「大半の人が・・・の大半とは、何割の人を指しているのだろう?」みたいな書き出しがある。中国語では大半・多半・一半といった表現があるそうだ。「適当にやっておいて」「いい加減で終わらせて」なんて、人によっては気が狂いそうになるだろうよね。日本語(というか日本語が生まれて育まれた文化圏)は、もう、そういうものなのだよね。
「見えないこと=裏」ということに対しての感覚も、なるほど!な感じがする。谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」を是非、読んでもらいたい。我々日本人は、見えないところに美や恐怖を感じるのだよね。それを表に出してしまうと野暮になってしまうこともわかってる。でも、常連さんならではの「裏メニュー」的待遇も受けたい。こういった感覚があるからこそ、法治国家になれない(なりきれない)ところもあったりする。興味深いよ、本当に。
あと、良くも悪くも日本人は成熟していない民族だと感じた。それが魅力であり、それにフラストレーションを感じるところでもあるのだと思う。母子一体感がいっぱいで、口を開けてエサを待つ雛みたいに、国がなんとかしてくれる的な感じになってしまうのもそれが理由だと思うし、逆に不必要に衝突をせず、衝突を怖れるが故に角を削り「円」を求めた結果、職人の国となり、それがアドバンテージになってる。人によっては心地よく、人によっては息苦しい、世界からみても特異な国なのかもしれないね。
「英語学習者は読むべき」的な文を冒頭に入れたのは、特に speaking や writing について、日本語発想で英語を話すと、おそらくはかなーり「モヤっとした」ものになってしまうことが多いだろう、それを払拭するには、まず自分達が無意識で使っている母語・日本語のマインドを知っておくと、第二言語である(しかもハイコンテクストの対極・ローコンテクストの)英語を使う時に、きっと切り替えがしやすくなるだろうと思ったから。
言語は、いや、言葉は、記号じゃない。もちろん最初は暗記というフェーズを経ないといけないから記号のように扱われるかもしれない。でも、それはあくまで最初だけ。血が通うフェーズが必ずある。その血というのは、その言語の背景にある文化圏だと思ってたりする。
でもまぁ・・・第二言語としての英語が世界を席巻してて、その英語って、第二言語がゆえに文化圏とつながってなくて。ある意味「文化圏の具現化されたものの一つ」じゃない存在になりつつあるな、英語って。
まぁとにかく、読んでみて!作者の森本哲郎さん、新聞記者をされていらっしゃったこともあり文体も読みやすいし、エッセイのような感じでリズミカルだから。学問臭が少ないながら、楽しめるよ。
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古本屋で見かけてたまたま購入した一冊。買ってよかった。普段無意識に使うような日本語から日本人的な性格の分析をしている点が面白いのはもちろん、文章が軽妙で読みやすい。途中関係なさそうな小噺に脱線することもあるが、最後にはきれいにテーマに帰ってきて、そこも気持ちいい感覚だった。また、読む分にはとても面白いけど、この文章を書くための知識と経験値はものすごい量で、引用される内容にも勉強になる点が多かった。ルース・ベネディクトの「欧米は罪の文化、日本は恥の文化」や漱石の草枕についてはもう少し踏み入った内容を学びたい。
特に印象的だったのは、以下(面白かったポイントが多すぎる...)。
・よろしく:「よろしく心を配ってほしい」という責任の転嫁、よきにはからえ。
・やっぱり:日本風土(季節)に基づく、予測の習慣と同質社会の「世間」を大主語とした前提。
・虫:自分ではどうにもならない精神や生の本能、リビドーの類語
・いいえ:うなづいているのが日本人、肯定じゃないうなづき
・お世話様:欧米は罪の文化、日本は恥の文化(ルース・ベネディクト)
・わたし:日本人が「自分」に意識が向いているのではなく、相手によって心を配っている証拠
・ということ:中国から高度な抽象語が入ってきたせいで、抽象的な言語から具体化していくしかなかった。「動詞+ということ」とすることが日本的な言語の抽象化。
・おもてとうら:日本人は裏を重要視する。うら=こころ。裏を裏として認識するだけのおぼろの美学(抽象化が苦手の理由?)
・あげくの果て:日本の座談会の性質、何も決まらない、日本的な合意形成の過程
・かみさん:無手勝流
・ざっくばらん:四角張らぬ(四角四面の堅苦しい態度をとらない)が語源
・意地:夏目漱石 草枕
→智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
(人づきあいは、智と情と意地のバランスを上手にとらなければならず、なかなか困難なことだ)