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紙の本
指揮官と参謀 コンビの研究 (文春文庫)
著者 半藤 一利 (著)
〔「コンビの研究」(1988年刊)の改題〕【「TRC MARC」の商品解説】陸海軍の統率者と補佐役の組み合わせ十三例の功罪を分析し、個人に重きを置く英雄史観から離れて、現...
指揮官と参謀 コンビの研究 (文春文庫)
指揮官と参謀 コンビの研究
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商品説明
〔「コンビの研究」(1988年刊)の改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
陸海軍の統率者と補佐役の組み合わせ十三例の功罪を分析し、個人に重きを置く英雄史観から離れて、現代の組織における真のリーダーシップ像を探り、新しい経営者の条件を洗い出す。【商品解説】
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組織マネジメント論としても優れる昭和史のコンビ事例集
2022/07/17 02:51
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
無口無学な一職人だった私の父親は著者と一歳違いで、戦時下の大日本帝国に少年時代を過ごし、青年期を占領統治下の新生日本国で迎えた共通点があるがゆえに、著者の言葉がともすれば親父世代の遺言のように感じられた。
「リーダーシップ」の在り方を考察する本書は、戦時指導者(リーダー)と参謀(補佐役)のコンビネーション(人的結びつき、相互補完的な人間関係)に焦点を置く優れた組織マネジメント論であり、国家存亡の危機を招いた昭和史を検証するためのコンビ事例集である。
かつてビジネス書では、ホンダの本田宗一郎と藤澤武夫、ソニーの井深大と盛田昭夫、マイクロソフトのポール・アレン、ビル・ゲイツとスティーブ・バルマーなどが格好のコンビに挙げられたが、「歴史探偵」を自認する著者は日本の軍隊組織にその事例を求める。
組織利益優先の謀略に明け暮れた関東軍を板垣・石原コンビが代表する。少壮の駐在武官時代に人事など組織改革の実権掌握に同期で協力し合う密約を交わしながら、性格と主義主張の違いもあって十数年後に袂を分かつ永田・小畑コンビの対立抗争は、その上司たる荒木・真崎コンビが招いた浅慮の一失だという。
決断力を欠く受身型指導者と独断に走る無責任極まる参謀の好例が東條に取り入る牟田口に鼻先を引き摺り廻される河辺という構図だ。インパール作戦での屍累々の悲劇を生むも、本人らは戦後二十年を生き長らえたらしい。コンビの最悪事例だ。
ノモンハン敗戦の責任者、引いては日英米開戦の推進者と指弾される服部・辻の組合せも悪しき事例だ。海軍での対英米主戦派の岡・石川コンビを語るに、著者は「悲劇的情熱」に根差した戦争宿命論(英米は打倒すべき仇敵、開戦は歴史的必然)の考え方が海軍幹部将校に支持されたと指摘する。
軍縮や国際協調よりも、「英米は日本に冷淡になり、もはや信用することはできぬ」という悪感情が先走り、ドイツへの親近感が強まるのは、第一次世界大戦後に日英同盟を反故にされた百余年前の日本の姿だ。
ロシアのウクライナ侵攻を目撃するに、狂気の指導者プーチンが「英米は(それにEUや日本も)ロシアに冷淡になり、もはや信用できぬ」と考えた気がする。戦争という重要な国策決定は独裁国家なら一人の最高指導者の胸三寸で決められてしまう。
この点、戦前の日本では最高権威者たる「天皇」が戦争遂行の最高責任者たる「大元帥」を兼ねていたが、内閣総理大臣(首相)、陸軍大臣、海軍大臣などが御前会議で天皇の質疑に応答し、主務大臣が天皇大権のために助言する「輔弼」が定められていた。
そして軍令に関わる統帥部の長たる陸軍参謀総長や海軍軍令部総長が大元帥たる天皇の下問に助言奉答する「補翼」がおこなわれた。立憲君主制という専制政体を採りながらも、決して独裁者を戴いた独裁国家ではなかったのだ。
「同一人格のなかの二つの顔」の副題を添えて著者が最終章で論じる「軍服を着た大元帥」と「背広姿の天皇」像は、大変示唆に富む。
電子書籍
組織をつくる難しさを痛感
2020/08/02 07:11
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投稿者:KazT - この投稿者のレビュー一覧を見る
満州事変から終戦まで、日本軍における指揮官と参謀の組み合わせを13例紹介し、そのコンビネーションが生み出した歴史を解説します。
どの事例も、良い成果を生み出すことなく失敗に終わるものばかりですが、その原因が指揮官と参謀のコンビネーションにあるのか、回避不可能な歴史的背景にあるのか、それとも日本軍全体の組織にあるのか、考えさせられる内容です。
沖縄戦を指揮した牛島司令官と長参謀長の事例では、まさに当時の日本軍の精鋭コンビで、かつての日露戦争における大山巌と児玉源太郎を彷彿させる関係であったにもかかわらず、その結果を考えれば、このコンビネーションが必ずしも最善のものではないことを示します。果たして、完璧な組み合わせが理論的に存在するのか、組織をつくる難しさを痛感させられます。