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収録作品一覧
ペルソナ | 5-84 | |
---|---|---|
犬婿入り | 85-153 |
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紙の本
鮮やかな異界入り
2011/08/28 23:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白い。
表題作と「ペルソナ」の二作収録。
「犬婿入り」で芥川賞受賞。
「犬婿入り」の主人公は、自由人のもう若くない女性。
塾講師の主人公が子供達に聞かせた「犬婿入り」という話と同じことが主人公の身におこる。
場面設定等はどこにでもあるものだが、「なんだか変」という歪みが物語全体にある。
途中から、歪みが、さも歪んでないかのように変容していく。
「犬婿入り」が現実化したように、一般的な、善良で卑小な人間が、どこか違っていく。
その様は、まさに「憑かれて」いくようだ。
何よりすばらしいのは、抜群にその入りがスムーズで歪みの原因が本か私か分からなくなることである。
すーっと変になっていくのである。
こういう異界入りを正常に静かに描ける作家はすごいと思う。
そしてこのラスト!
まったく何も解決していないのに清清しい!
完全に「ラストもやもや系」だが、それでいてそんな不自然なことに自然と納得してしまう自分に驚く。
また、「ペルソナ」でもそうだったが、おそらく主人公の投影かと思われる、主人公の女性がイイ味出している。
非常に、魅力的な文系女性。
そういう点も本書を勧めるポイントの一つである。