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マッカンドルー航宙記 (創元SF文庫)
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紙の本
難しくないハードSFがあってもいいじゃないか
2006/03/23 20:56
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日夜マイクロブラックホールの研究をしていれば幸福なアーサー・モートン・マッカンドルー博士。彼は変人ではあるが太陽系随一の物理学者でもある。さて、天才博士の相棒をつとめるのは貨物船の女船長ジーニー・ペラム・ローカー。用心深く冷静な性格だが、いざマッカンドルーの相手となるとどうにも一歩譲りがち。やがてマッカンドルーが作り出した画期的な航法システムにより、宇宙を所狭しと飛び回る二人だったがそこには驚くべき事件と宇宙の脅威が待っていた……。
ハードSFと言えば、とかくとっつきにくいし読みにくいというイメージがある。昨年刊行されたイーガンの『ディアスポラ』などはその最たる作品で、全編を通じて展開される概念はとにかく難解、わたしにとってはもはや理解不能の文章が登場することもしばしば。しかし、読みやすいハードSFがあったっていいじゃないか。そもそもハードSFのハードは、難解で理系知識が不可欠であることと同義ではない。本書は、科学者でもあるシェフィールドによるやさしいハードSFである。
ブラックホール、彗星への到達、未知の放浪惑星、世代を超えた恒星間シャトル計画等々いかにもSFらしい題材を、ハードさを損なわずにさらりと解説し、いかにもな風に仕上げている。その上天才博士のユニークさが、ハードな部分を壊さずかえって説得力を持たせるんだから絶妙。このバランス感覚は、クラークの作品でも味わえない。
巻末には付録と解説で、本作品の中に使われたSFの中の科学を丁寧に説明している。これが興ざめにならないあたりからして、作品の構成力の高さが伺える。派手さや魂を抉られるほどの衝撃を持っているSFではないが、エンターテイメントなハードSFとしては間違いなく一級品。
紙の本
編集部コメント
2003/03/03 20:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東京創元社編集部 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『SFマガジン』ベストSF1991 第5位!
日々マイクロブラックホールと戯れる、太陽系随一の変人天才科学者マッカンドルー。相棒の女性宇宙船長と宇宙に乗り出した彼が出会う、5つの事件を収録した連作短編集。巻末には、シェフィールド自身の筆になる「ハードSF虎の巻」も収録されています。星雲賞受賞作。
紙の本
ハードSFの精髄
2002/04/17 04:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ以上硬いものはないんじゃないかというくらいのハードSFであ
る。ある種の窮極を行っているすがすがしさがあるほどだ。
主人公マッカンドルー博士が、宇宙のさまざまな不思議と戯れる短
篇5篇を収める連作短篇集である。出てくる不思議は、ブラックホー
ルをはじめとして、彗星雲の生命、放浪惑星、真空のエネルギーな
どなど。サイエンス系SF者が一度は興味を持ったことがある事物が
ぞろぞろと出てきて楽しませてくれる。
著者によるもの、翻訳の段階で付けられたものと、併せて50ページ
ほどの解説が巻末に付けられているハードぶりである。ハードSF者
はもちろんのこと、一般のSF者もぜひチェックしておくことをおす
すめする。