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ミステリーを楽しもう
2004/07/16 07:53
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
密室トリックバージョンの謎解きミステリーです。新興宗教の次期教祖がマンションの屋上で切断されて発見される。そのマンションにはその教祖の妻(前教祖)の息子が住んでおり犯人として逮捕される。その前教祖の死亡事件に次期教祖が絡んでいるという疑惑があった。双子の刑事がその謎に挑む。…と、2つの殺人事件に様々に関わり合人間関係が、より謎を複雑に。
全ての手がかりは300ページまでに読者に提示したと、作者は読者に謎解きを挑戦してきますが、どうなんでしょうね。何故、社会派と呼ばれる分野が台頭してきたのか? トリックや謎を重視するあまり動機が曖昧で殺人の必然性が希薄になり折角のミステリーな部分に疑問が生じてきたのではないか。あまりに絵空事過ぎて引きつけられなくなったからではないか。結果、それら欠点を埋めるように現在のエンターテイメントと呼ばれるミステリー分野が賞賛されているので、本格物に足りなかったものを埋めての新本格物であって欲しいし、新社会派であって欲しいと望んでしまいます。最初に川を挟んだ2つのビルからロープじゃイヤだなと思ったぼくとしては今ひとつ不完全燃焼であったのも事実です。エピローグ2で全てが解き明かされるのですが、力持ちには驚きましたね。読んでいたイメージと違うな。全ての手がかりが提示されたってホント?…と、文句言いつつも楽しんじゃったのも事実だから、まあ良いか。(^_^)v
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綾辻作品では異色!
2002/07/31 00:49
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投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
図や計算式が多用された、不可能でない犯罪の証明。
綾辻さんが正面から挑んだ本格ミステリです。
ある新興宗教の教主の死体が首と左腕を切断された状態でみつかっ
た。しかも教主は、おこもり中で外部とは基本的に接触できない状
態だったはず。それがなぜか川を挟んだ別の建物の上で変死体となっ
ていたのだ。教団では、2ヶ月前に教主が謎の死を遂げ、新教主が
おこもりの真っ最中だったのだ。
綾辻作品の中でもちょっと異色な作品でしょうね。計算式がたくさ
ん出てくるので、そういうのが苦手な人にはちょっと辛いかも…。
探偵役は双子の兄弟、明日香井饗と叶。弟の叶は血が大の苦手な、
警視庁の刑事。兄の饗は、京都で哲学を学んでいるはずの、大学六
回生(笑)。とても魅力あふれる探偵二人です。
計算式がなど、物理的に実行できるトリックであることを証明する
ことに力が入れられている作品であることは事実なのですが、それ
以外の部分はやはり綾辻さんらしい、どんでん返しも用意されてい
たりして十分に楽しめます。この犯人は私にはとても意外でした。
しかし事件が解決したあと、さらにお楽しみが…。こういう楽しみ?
があるから、綾辻作品はたまりませんねえ(^-^)
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方程式の解は?
2001/11/25 00:53
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投稿者:ひいろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宗教法人「御玉神照命会」教主、貴伝名剛三が首と左腕を切断されて殺された。 お籠もり中であったはずの彼が、なぜ川をはさんだ向かいの建物で死んでいたのか? そして、なぜ彼の首と左腕は切断されていたのか? この謎に、警視庁刑事の明日香井叶、そして双子の兄、響が挑む。
ガチガチの本格ものです。 綾辻作品で受けるラストの衝撃度ってダントツにすごいものがあると思います。 圧倒されるというか。今回もやられました。 トリックはなんとなく想像がついてましたが、犯人にはビックリ!
探偵役が双子というのは珍しい気がします。 ”双子”は推理小説でのひとつのテクニックだと思うのですが、 この作品での使い方は特にうまいなと感じました。
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犯人当て
2001/04/11 15:47
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投稿者:春眠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新本格の始祖、綾辻行人の書いたオーソドックスな犯人当て推理小説。
事件やトリックは館物同様の本格だが、館物と違い通俗味が加わっているため、珍しく主人公の兄弟に感情移入しながら読めて楽しい。
なお読者への挑戦は著者の後書きに入っているので、そちらを先に読んだほうがいい。
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双子探偵
2002/06/06 00:56
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投稿者:山猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
警視庁刑事・明日香井叶と双子の兄・響、叶の妻・深雪の三人を中心に話が進んでゆく。叶は血や暴力がまるでダメで、刑事には向いてないと思っているのだが、深雪が結婚の条件として刑事になることを要求したので仕方がないのだ。主な探偵役は響である。響は二年浪人し、留年だの休学だのでいまだ学生なのである。
ある宗教団体の教祖が轢断死体で発見された。自殺か他殺かは不明。次の教祖となるために「お篭り」中だった男がビルの屋上で死体として発見された。死体は頭部と左腕がなくなっていた。頭部は階下から発見され、左腕は被害者の息子の車から発見された。息子の恋人が響の元恋人だったこともあり、響が叶のふりをして捜査を始める。
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トリックの糸口は見つかるんですが、「何故」死体を切断しなければならなかったのか、その理由までは思い至らなかったです。館シリーズよりも柔らかい。
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館シリーズとは、一味違った作品です。館シリーズでは、割合心理的なトリックが多かったですが、今回は完全に物理的なトリックです。あとがきにも書いてありましたが300ページの段階で犯人への手がかりがすべて出ているそうです。私はまったく犯人がわかりませんでしたw。
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あまり期待しないで買ったのですが、いやぁ、予想以上に楽しめました。トリックはきっちりしてるし、物語の面もちゃんとしてる。次巻も読もうかしら、と思える作品。私の中ではアタリな一冊。
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◆あらすじ◆
首が、ない!?───警視庁刑事・明日香井叶は絶句した。
教団びるで"お籠もり"の儀式中だった「御玉神照命会」教主・貴伝名剛三が、なぜか別の建物の屋上で死んでいたのだ。
しかも、頭部と左腕を切断されて!
なぜ犯人は死体を切断したのか?
叶の双子の兄・響が怪事件の謎に挑む。
読者を必ずや驚倒させる極上の本格推理、待望の文庫化!
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首無死体…何故犯人は死体を切断したのか?
読了日:2006.09.15
分 類:長編
ページ:330P
値 段:408P
発行日:1989年5月カッパノベルス、1994年2月発行
出版社:光文社文庫
評 定:★★★+
●作品データ●
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主人公:明日香井叶、岬映美
語り口:3人称
ジャンル:ミステリ
対 象:一般向け
雰囲気:ホワイダニット系
解 説:由良 三郎(作家)
カバーデザイン:辰巳 四郎
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---【100字紹介】-----------------------
御玉神照命会の教団ビルで教主・貴伝名剛三が、
別の建物の屋上で、頭部と左腕を切断された死体で発見された。
警視庁刑事・明日香井叶と双子の兄・響が怪事件の謎に挑む。
何故犯人は死体を切断したのか?が鍵になる!
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さて、綾辻行人ですよ。綾辻行人といえば勿論、新本格の代表格なわけで、当然ながらばりばりミステリですよ。何かここまで正統派のミステリは久々な気がしますね。最近の菜の花、ライトノベルに走ってましたから…。
主人公は警視庁の刑事…だけどとっても気弱で、絶対的に刑事に不向きな明日香井叶…かな?…と思って読み進めて行くと途中から視点が変わります。容疑者の恋人・岬映美登場。更に明日香井刑事の双子のおにーさま・響も乱入してきて、すっかり影の薄くなる叶君…。ちょっと可哀想。あとから俯瞰してみると、事件部は明日香井刑事視点、推理部・結末部は主に岬映美視点、ということになりますか。
新興宗教である御玉神照命会が事件の主役。どうにも胡散臭い団体です。まあ現代的といえば現代的か?ここの女性教主さまが轢死。そして夫で悪名高い貴伝名剛三が新教主につくことになったのですが…、そのための「お籠もり」という教団ビルの上にある「神殿」から何ヶ月も出ないという儀式の途中に、別の建物で遺体で発見されるという。そんな事件です。
事件の鍵…、そして本作の読みどころは何と言っても「何故、死体は切断されたのか?」というホワイダニット。トリック自体は作中で著者自身も
「この物理トリック自体は、仮にこれをネタにしたミステリが
あったとしても、僕は大した評価はしないけどね」 (本文より)
と探偵役に言わせる程度のものなのですが、じゃ、何で死体は切断されたの?という次の段階の説明が「あー、なるほどね」というところです。この物理トリックが実現可能か?というのは謎ですし、可能だとしてもやる人はいないだろ!と思うのですが、そこはそれ、これはフィクションですから。そしてこの状況があってこそ次の段階で「あ、そっか」と納得なわけです。そのための舞台として描かれたのか、というのが、よく分かります。つまりは、たった1行の「あ、そっか」を書きたいために著者はこの1冊を書いたと言っても多分間違っていないかと。
リアリティという面で見ると全然ありえないですが、これこそが新本格と名乗るにふさわしい…!といえる雰囲気をもつ1作。
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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首が、ない!? ――警視庁刑事・明日香井叶は絶句した。教団ビルで“お籠もり”の儀式中だった「御玉神照命会」教主・貴伝名剛三が、なぜか別の建物の屋上で死んでいたのだ。しかも、頭部と左腕を切断されて! なぜ犯人は死体を切断したのか? 叶の双子の兄・響が怪事件の謎に挑む。読者を必ずや驚倒させる極上の本格推理、待望の文庫化!
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トリックがミステリーアニメっぽいが、小説っぽい鋭さがないから締まりが微妙。伏線が回収されてそうで、でも強引。
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副題は「切断された死体の問題」。再読。以前読んだのはもう四年くらい前か。
本格も本格、こんな物理トリック、現実でありえるはずがないよ、って感じのもの。双子の兄弟が主人公で、兄貴の響が探偵役、弟の叶が刑事。叶くんの奥さん美雪ちゃんが中々いいキャラクタ。
えーと、うん、なんつーか、そう面白いものでもないよなってのが、基本的な感想。
トリック自体はぶっ飛んでるというか、派手(?)なんだけど。うーん、やっぱりね、ぶっ飛んでて良いとはどうしても言えないなぁ。ああいうのは嵐の山荘とか、現実味がない状態で出てくるから許容できるわけで、現実味溢れる普通の町中で刑事とかが出てくる中で行われてもねぇ。
響くんが本気で「物理式を使って加速度云々を説明している」(空白反転)シーンなんて、苦笑しか浮かばないもの。
まぁ、綾辻らしく最後にはきちんとオチがあったけど。
05.03.06
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<ネタバレ有り>
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双子の明日香井兄弟が主人公のシリーズ。
川を挟んで向かい合う建物、建物の屋上の高さは同じ、犯人が出入りできるはずのない状態で屋上に放置された切断死体…とくればだいたいオチは読めました。いやいやまさかそのままじゃないよな…と思ったけどそのままだったし、切断の理由も全く同じものをどこかで読んだことがあったしで拍子抜け。トリックには「これなんて島田荘司」と思いましたが、後書きを読んで納得。編集部の無茶振りでしたか。
滑車を使った死体運搬で、滑車を犯人が回収しポケットにしまったというくだりがありましたが、本当にそんな小さいものであのトリックが可能だったのだろうかとか、滑車を取り付けたなら屋上の手すりに何らかの跡が残りそうだとか、警察がベッドの下の財布を見逃すのはさすがにザルすぎる…などなど、色々と釈然としない部分が多かったです。ただ、真犯人は意外でした。
安定の読みやすさと面白さだったけど、犯人があっさり自殺するなど2時間ドラマのような展開だった。
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舞台設定だけじゃなくトリックも意外な気がしました。館シリーズや囁きシリーズとも違う雰囲気が感じられるし、作者の新たな一面がみられて、新鮮な気持ちで楽しめる作品だと思います。