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新聞連載という形を最大限実験的に活用した筒井氏お得意のメタ・フィクション。この複雑で緻密な作品を、展開に読者の意見を取り入れるというファジーな方法で、かつ連載という細切れな形態で、完成させたということが何より凄いと思う。
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メタ・フィクションの真骨頂を見せつける小説だった。この作品が朝日新聞連載だったということがまず驚きである。新聞に連載される「小説」という概念の破壊を試み、パソコン通信や投書(その数23,805に及ぶ)による読者の提案によって話が変化していく。恐らくその変化も作家の予想範囲なのだろう。
ハードSFかと思わせる冒頭、それらを見事に処理をする手腕、螺旋状に構成される虚構の世界は読む価値がある。
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このタチの悪さは異常
こんなのを中学生の時に読んだら
そりゃ一生ついてこうと思うわ
でもこれを上回るのはないかなー
個人的には『残像に口紅を』には近いものを感じたけどこんなに成功してない
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新聞連載小説の特性を生かし、読者からの投書によって
内容を変化させるという新手法を取り入れた作品。
現実/虚構の壁の崩壊を楽しめます。ただしテンポ悪。
(作中ではテンポ悪という批判について反論するコメントも有るが、
それでもなお、テンポ悪)
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朝日新聞に連載された小説です。当時広がり始めたパソコン通信やネットゲームをふんだんに取り入れた一種の作品です。
実際のネットでのやりとりを、時には実名で作品に取り入れる手法は、連載の時から読んでわくわくしていました。今から10年近く前のものだと思うと驚きます。実験小説という何はとどまらない、実は画期的なイベントだったのではないでしょうか。
しかし、今改めて読んでみると、それにはとどまらない小説としてのおもしろさを強く感じます。ネットが当たり前になった今こそ、「小説」としてのおもしろさが際だってきたような気がするのです。
さすが筒井康隆、すごいです。
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朝日新聞連載当時、執筆に際して毎回読者の反響をくみ取りながら著した前代未聞の小説。
こうした読者参加方式が実験的なら、小説の内容を大きく左右する5つの『層』もまた実験的である。
第一層 我々読者と作者の存在する物語外世界
第二層 作者としての(小説を実際に書く人としての)筒井の世界
第三層 木樂沢・澱口ら作品の中で世界を語る存在達の世界
第四層 主とした舞台になる世界
第五層 虚構内虚構としての「まぼろしの遊撃隊」の世界
物語はこの5つの世界のうち、主に第三~第五層において展開される。
また、小説でありながら小説の批評、読者の態度の批評、作家の内なる声を論評、すなわち第三層で行っているというのも特徴的である。
らせん構造で展開される物語はスピード感をあまり感じさせないものの、それが逆に読ませる力となって非常に効果的である。作者の饒舌が際立ち、同時に作者の魅力が大きく発揮された作品。
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ゲーム「まぼろしの遊撃隊」の世界、そのプレイヤーたちの世界、そしてその世界を執筆する作者(の分身)自らが、「朝のガスパール」そのものに対する読者の意見や要望をもとに小説を批評する世界……“新聞連載”という舞台を使ったスパイラル構造が生み出す虚構と現実の物語。
今ではもう当たり前になってしまったネットの世界が、まだまだ一般に広まっていない十五年前に、ネットの会議室(チャットルームのことだよね。あるいは掲示板? HNありの2ちゃんみたいな感じかな)で喧々諤々の意見を飛ばしあって、それを小説の進行に反映させてしまうという、時代先取りし過ぎなところはやはり筒井御大のなせるわざか。これ、今だったら絶対にTwitterとかなんだろうなーwと思いながら読んでました。
筒井文学らしいメタフィクション手法やドタバタ劇、あとすんごい口悪い罵倒っぷりも久々に楽しみました* ずっと積読してたしね。くぬぎ沢のターンが一番好きでしたね。奥さんも手刀でテーブルぶっこわしてるしw あっあとパプリカの敦子と浩作も出てきてびっくりしました^^ニヨニヨ。
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朝日新聞での連載は早々に脱落。あとで単行本になってから読めばいいやと思っていたが、実際に単行本になってから読んだときの悔しさときたら。リアルタイムで読みたかったなぁ。
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筒井康隆の実験小説の真骨頂、とでもいうべき作品。「新聞連載」という形を最大限活用し、90年代初頭にしては斬新なネトゲやオンライントレードなどの概念も盛り込みつつ、投書やパソ通の投稿を巻き込んだメタメタしい世界を作り上げていくその勢いにはただただ圧倒されるばかりです。
まぁ、作中でも度々公言されているように、いろんな意味で読者に優しくないので、その辺は覚悟して読んだ方がいいのかもしれませんがw
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メタ・フィクションっていう言葉を初めて知りました。
朝日新聞の連載小説で、読者の意見が反映されながらストーリーが進んでいきます。
そのために、合間合間に筆者(それもまた虚構)が登場して現実に引き戻されます。
現実やら作品中の世界やら5つの世界があって、それが最後に収束していくSF小説。
伊坂さんが横なら筒井さんは縦、みたいな。
ちょっと違うかな?うまく言えません。
こういった試みは斬新で面白い!
筒井さんの魅力に気付かされた作品ですね。
でも、読者への罵詈雑言をユーモアと受け取れない人もきっといたんだろうなぁと。
好き嫌いが分かれそう。
きっとコアなファンが多いんだろうな。
今、これをやったら掲示板が炎上しちゃいそうだな。
ちょっとだけ株に興味が湧きました。
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良くも悪くも筒井康隆。これだけの実績のある作家が、これだけ実験的な作品を書けるというのは本当にすばらしい。ただ、成功しているかというと、うーん。
どうやら、この作品単体で読む物ではなく、同時期のパソコン通信ログの出版もセットで読むということのようだけれど…この作品を、単体の作品として完結させることができたら、よりすごかったと思うのだが。
何にしろ、時代ならではの作品であり、先にも後にもこの時代の筒井康隆であったから実現できた作品であることは間違いない。
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虚構、虚構内虚構、虚構内虚構内虚構……、そして現実。それぞれの間にある壁を、時に批評し、時に壊し、ついには乗り越えて、進行する物語。タイトルに隠された意味も最後に明かされるのだけど、それさえもシニカル。
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内容(「BOOK」データベースより)
コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。窮地の聡子を救うため、なんと“まぼろしの遊撃隊”がやってきた。かくして債務取立代行のヤクザ達と兵士達の銃撃戦が始まる。虚構の壁を超越し、無限の物語空間を達成し得たメタ・フィクションの金字塔。日本SF大賞受賞。
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さすが筒井康隆と唸らされる。タイトルもモーリス・ラヴェルの『夜のガスパール』を文字って『朝のガスパール』とはなんとも洒落てる。
『残像に口紅を』『ロートレック荘事件』も相当実験的だったが、本作品は今で言えばTwitterを用いたような視聴者参加型小説を書き上げたのだから凄い。新聞投書とパソコン通信を活用してデイリーで物語が変化していくさまは当時リアルタイムで味わえた読者は相当のダイナミズムがあったであろう。
作品自体は途中放り投げたようなやや支離滅裂になりながらも、最後にあのキャラクターが登場すると本作品は読者の反応はまやかしで元々計算しつくされた構成なのではないかと思わされる。筒井康隆氏の発想の凄さを感じさせられる。
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5段階のメタフィクションというのはすごく、それなのにエンタメ性を失わないのがすごい
罵倒語の豊富さに笑った
「殺しなさい」も笑った