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紙の本
カンブリア紀の怪物たち 進化はなぜ大爆発したか (講談社現代新書)
著者 サイモン・コンウェイ・モリス (著),木下 智子 (訳)
【カンブリア紀への招待】――バージェス頁岩はありきたりの化石層ではない。ここでは腐敗の過程が一時停止してしまっていて、古代の生命の豊富さをありのまま見ることができる。堅く...
カンブリア紀の怪物たち 進化はなぜ大爆発したか (講談社現代新書)
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商品説明
【カンブリア紀への招待】――バージェス頁岩はありきたりの化石層ではない。
ここでは腐敗の過程が一時停止してしまっていて、古代の生命の豊富さをありのまま見ることができる。堅くて丈夫な骨格を持つ三葉虫や軟体動物ばかりか、全く骨格の無い軟組織だけから成る動物も遺されている。これらの驚くべき化石においては動物体の輪郭だけでなく時には腸や筋肉のような内部組織までもはっきりと眼にすることができるのだ。ちょうどガラパゴス島のダーウィンフィンチという鳥が「適応進化」の重要性発見の代名詞とされるように、あるいは、また、ショウジョウバエが分子生物学の発展のシンボルとなっているように、バージェス頁岩は、生命の歴史の研究に生涯を捧げる人々にとって、イコン(聖像)になりつつある――本書より【商品解説】
目次
- ●「生命の歴史」の五大事件
- ●カンブリア紀への招待
- ●バージェス頁岩の発見
- ●ウォルコットの手柄
- ●タイムマシーンに乗って
- ●遊泳する生き物、浮遊する生き物
- ●新たなバージェス頁岩の探求
- ●バージェス頁岩の重要性
- ●門の起源
- ●別の世界
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紙の本
分岐分類学への誘い
2002/07/15 14:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の柱は2つ。カンブリア紀の生物たちはどのようの生活をおくっていたのか、又、なぜ、そのようなことが分かるのか。という話とスティーブン・ジェイ・グールド「ワンダフル・ライフ」に対する反論です。
カンブリア紀の生物については細かい図があまりなく、あるのは化石の写真とカラーの口絵(カンブリア紀の生物がうごめいている海の中の絵)のみです。「ワンダフル・ライフ」を読んでからでないと、話題となっている生物のイメージがつかめません。目が5つあるオパビニアでさえ印象に残りません。しかし、「オットイアはどうやって捕食したか」というような話はとても面白いです。「なんでそこまで分かるのか!」と驚くしかありません。
また、「動物の異質性はカンブリア紀に極大に達していた」というグールドさんの主張に対し、モリスさんは「分岐分類学の手法によると異質性の程度は変わらない」と主張します。「ワンダフル・ライフ」には節足動物の分類方法について説明がありますが、その考え方自体が誤っていると主張します。グールドさんの「悲運多数死」にも、「生命のリプレイ」にも疑問を投げかけています。
この本が書かれた段階でも、まだまだカンブリア紀の爆発の謎は解けていません。今後の展開が楽しみです。
紙の本
遺伝子研究から見たカンブリア紀の生物たち
2010/01/26 20:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る
グールド「ワンダフル・ライフ」で、バージェス動物群の記載の見直しを行った三人の英雄として描かれていたうちのひとり、コンウェイ・モリスによるバージェス動物群についての著作。
新書判で手頃だが、やはりまずはグールドのものを読んでからこれを読むべきだろう。一応本書でもバージェス動物群についての解説は行われているけれど、図版や個々の動物についての記述は薄手で、ある程度の知識がないと楽しめないと思う。二肢型付属肢などの用語が説明なく用いられていたりするので、節足動物の分類などについてもある程度の知識があった方がよい。
その点「ワンダフル・ライフ」では個々の動物についての記述や、動物分類の具体例などがかなり詳しい。コンウェイ・モリスは「ワンダフル・ライフ」を冗長と評しているけれど、初学者にとってはきわめて丁寧かつわかりやすい基礎知識の解説を含んだ、秀逸な概説書だ。知ってる人には冗長だろうけれど。
本書ではグールド以降のバージェス動物群研究のエッセンスを知ることが出来、またグールドのバージェス動物群観に見直しを迫るものとなっていて、非常に興味深い。特に、グールドのものでは生物の外形ぐらいでしか分類を判断する術がなかったのに対し、本書では分子発生生物学、遺伝子研究などの最新知見を動員した議論が付加されている。そこでは、バージェス以前のエディアカラ動物群の時代には基本となる遺伝子セットはすでに用意されていたという見解がある。では、カンブリア紀で爆発が起こったのはなぜか、という疑問に対して、ある程度有力な見解として、捕食生物の登場をはじめとした、摂食行動の多様化が挙げられている(これに関してはアンドリュー・パーカー「眼の誕生」に詳しい)。
「ワンダフル・ライフ」を読んでいると三章くらいまでは復習みたいな感じでさほど新鮮味はないが、四章あたりからはアップデートされた研究を基になかなか新鮮な知見が多く、特に発生学と遺伝という視点はグールドのものにはまったくなかったものだけに、非常に面白い。