紙の本
悲しい恋愛小説
2019/11/05 18:57
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
恋愛小説と聞いて、なんとなく甘ったるいものを想像していたら、ものすごく悲しい物語だった。途中、ジャン・ポール・サルトルを髣髴とさせる哲学者が登場したり、結婚式の準備の場面など、笑える場面も多かったが、シックのとまらない収集癖は自分にも当てはまったり、おしゃれなコランがクロエのために馴れない肉体労働をし、失敗しても金のために働く場面などはやりきれない気持ちになった。
紙の本
「見者」だけが書けるラブストーリー
2002/06/16 12:43
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴァインもランボーやコクトーと同じく、れっきとした「見者」だったと思う。
オーソドックスといえば、これほどオーソドックスなラヴ・ストーリーもない。ただし、デティールに関してはこの限りではない。なにせ、恋人の死因は、「肺に蓮の花が咲いたから」、なのだから!
シュールといえば、これほどシュールな物語もない。が、同時にとてもありきたり、普遍的な物語でもある。
ま、基本的に「恋人と死に別れるラヴ・ストーリー」であって、それ以上でもそれ以下でもないわけですから。
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ボリス・ヴィアンの空想だが哀しい恋愛小説
2019/04/05 02:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鈴木健一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
パリ解放直後のクラブカルチャーの旗手でもあったボリス・ヴィアンの代表作。
前半は無尽蔵のお金を遣った贅沢三昧から一転して、後半はやりすぎだろうというくらいの悲惨な話で、主人公のコランとクロエを含む3組のカップルが誰も報われないという破滅的な話。
ボリス・ヴィアン自身の自己倒壊性もあるのだろうし、フランス語独特の言葉遊びの度が過ぎてわけがわからない事になっているのもある。日本語に訳するのもかなり難しいのではないかな?
なんでこうなっているのか、ちんぷんかんぷんかもしれないが、それが当時のユースカルチャーの若さゆえの勢いなのかもしれない。
まだボリス自身20代中盤のイケイケな時だから。
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作者のボリス・ヴィアンは文学のみならず、音楽、芸術その他サブカルチャー全般に通じた多芸多才な人だった。絶版みたいだけれど、その人生をいくつもの側面から描いた伝記まで出ているくらい。日本でだれがこれに当てあまるだろうと考えると、まあ、これが、ビートたけし(=北野武)だったりするのだが。作品は胸に睡蓮の花を咲かせて死んでいく女性の愛の物語。セカチューに不覚にも涙を流したあなたなら、その100倍は泣けるはずだ。
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設定はいたって普通なのかもしれないけれど、世界がふつうじゃなく、起こることはこの世界とは違っているし、作者の使う言葉も変わっているし、とにかく、不思議な世界の悲恋話。でも、思ったよりも悲しくはなくって、あーあ、ってかんじ。面白いとおもう。でも、間違いなく恋愛小説を期待してよむもんじゃない、帯間違ってると思う。あと、後ろの紹介文、すごく間違ってると思う。これって悲恋を描くためのおはなしだったのかなー?
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これは、映画『クロエ』が公開される頃、JR品川駅の本屋さんで買った。『うたかたの日々』と訳されている伊東守男さんの本とは別物である。と、アタリマエだが、姫は思っている。こっちの訳の方が悲痛で気に入っている。初めて読んだのは、1995年の夏休みで、大学の図書館で借りたハードカヴァーのものを読んだのだ。そして、さいきん、お手軽に切なくなりたくて、ポータブルな文庫本を、姫は買った。表紙のイラストも気に入っているし、『日々の泡』っていうにほんごもいとおしい。
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美しいものは同時に儚くなければならない。肺の中に蓮の花が咲く奇病というのが不気味だけど、いっそう綺麗な印象を引き立てている。
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とても綺麗な愛の話で非常に詩的な作品だが 全編を通じて猛毒が盛られている感がする。 恋愛小説の中では一番好き。
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うたかたの日々と一緒だということに後になって気付いたわたし。
でも昔2年前くらいに読んだときよりもなんだか自分の中でとても読みやすくなっていてびっくりした。とても悲しい美しい物語だけど、あまりに美しすぎて、好きすぎてわたしは泣くことができない。
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永遠の青春小説と謳われている作品。
最初は『日々の泡』っていうタイトルに惹かれて買いました。
ファンタジックで実に美しい。
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これを読んだとき、甘くておいしい毒入りお菓子を食べた気分になりました。
話はハンサムで純情青年コランが親友の恋人の愛犬の誕生パーティーでクロエという女性に出会い恋に落ちるところから始まります。2人はやがて結婚しますが、幸せもつかの間、クロエが不治の病にかかってしまいます。その病は、肺に睡蓮の花が咲くというものなのです。
印象的なのは、2人の絶望を反映するように彼らの家が日に日に狭くなり、例えば台所のカーペットが元は毛織物だったのがある日気付くと木綿に変わっていたり、みすぼらしい姿に変わっていくエピソードです。
現実では生き物でナイものが命を得て夢のように動き回っているところと、ストイックでありながら、どこかスネたような可愛らしさのある独特な雰囲気が魅力です。
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しかし、「日々の泡」より「うたかたの日々」のほうが訳としては正しくニュアンスを伝えている気がする。
いづれにしろ、享楽と没落、その中で変わらないのは、愛。
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美しすぎて息が出来なくなるような、胸に枯れた花が詰まって窒息するような錯覚を覚えました。幸せな若い恋人同士の、幸福の崩壊。原因は浮気みたいな、よくある世俗的なものじゃなくて、もうどうしようもない、もっと避けられないもの。肺に花が咲くクロエの病気。慌てても、手を施しても、必死になってもどんどん衰えていく愛する恋人。少しずつ少しずつ、何かが壊れていくこと。狂気にも似た美しさをどこまでも追求したような作品です。まるで長い長い抒情詩のようです。10代で読めてよかった。
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訳わかんないけどすき。
あと,死んだあと大事なひとが困らないように用意してから死ぬべきですっていう言葉に心が反応した。
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こまかな描写がひとつひとつロマンチックだったり、おとぎ話だったり、極端に巨大だったり、いろいろと表情が豊か。そして物語も切なくてね。肺の睡蓮が咲いてしまう奇病とか。貧しくなっていく若者たちとか。イマジネーションがたまらなく愛おしいと思わせる。