電子書籍
生きるって…
2013/12/28 19:25
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投稿者:はな - この投稿者のレビュー一覧を見る
生活保護を受ける人々とケースワーカーの息を呑むほどの攻防が本書には書かれています。様々な過去を背負った受給者たちはしたたかに高らかにケースワーカーたちの思惑に関係なく生き抜こうとしています。倒れ汚泥にまみれても立ち上がっていこうとするその強さ、したたかさはいったいどこからわきあがってくるのか…読後の胸に少しだけ残る爽快感は必見です。
紙の本
ケースワーカーたちの戦い
2001/12/10 18:40
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投稿者:アクエリアス - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく面白い。しかも「ああ、面白かった」だけでは終わらない。
タイトルを見たときはホラーなのかと思ったがそうではなく、市の福祉事務所で働くケースワーカーと、そこで起こる事件を描いている。短編8編。
72歳の女詐欺師大牟田マサは、住んでいたアパートを追い出され、福祉事務所にやってきた。しかし生活保護を受ける一人暮らしの老人が借りられるアパートはなく、一時的に入った養護老人ホームでもトラブルを起こしていられなくなる。困り果てたとき、「家賃1万円」という破格のマンションが見つかり、そこに入るが、実はその部屋には……(緋の襦袢)。
富樫由梨江が、栄養失調で倒れた「自称作家」の女性を病院に訪ねる。しかしそこには由梨江が少女時代に夢中で読んだ本の著者がいた。彼女は「自称」ではなく、過去には書店の棚一つを独占したほどの人気少女小説家だったのだ(ファンタジア)。
家族にも勧めて、結果も好評。とにかく読んでみて下さい。
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福祉事務所のケースワーカーたちの仕事を描いた連作短編集。タイトルだけ見ると怖そうだけど、全くそんなことはありませんでした。一見「弱者」の物語を読んでいるようで、いつのまにかそれが逆転している気がする瞬間がおもしろい。読んでいくうちに自分の立場の不安定さに気付かされてしまう作品。「女たちのジハード」読了後に似た不安やコワさが湧き上がってきます。
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購入詳細不明。おそらく17年ものの積読本。
2016/7/13〜7/16
タイトルから、篠田さん得意のホラー系ミステリを想像していたが、全然違った。福祉事務所で働くケースワーカー達の苦悩を描く連作短編集。こういう職場で働く人たちは、人間の暗部を否が応でも見なければならず、自身は相当メンタルが強くないとやっていられないんだろうなぁ。
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世の中って、キビしいよなあ・・この小説を読んでつくづくそう思った。
「ケースワーカー」とは、福祉事務所において生活保護を受けている人に対して、様々な働きかけをする職員のことを呼ぶそうだ。
この小説の舞台は新宿に近い「稲荷町」という町の福祉事務所。
そして8つの短編に、この福祉事務所に勤めているケースワーカーがそれぞれ登場する。
ドメスティックバイオレンス、幼児虐待、アルコール依存症に精神分裂症...
ケースには様々な事情がある。それを理解して、この仕事を貫いていく精神は並大抵のことではない。
しかし同情するだけでは仕事にならない。
社会的弱者たるケースに福祉の手を差し伸べることは重要だが、中には生活保護を不正受給しようと考える悪い輩もたくさん存在するのだ。
そんな中でこの福祉事務所のケースワーカーたちは、ケースと正面から向き合いながら問題を解決していく・・。
「ファンタジア」という短編では、ケースワーカー富樫の元にかつて自分があこがれていたファンタジー作家があらわれる。
それも「生活力の無い栄養失調の中年女」として・・。
うーん、これはいささかリアルな話なのかもしれない。
夢だけを食って生きていけたら幸せだ。
しかし現実という世界では、夢だけでは飯の種にはならない。
世の中には運の悪い人は確かにいる。
しかし、どんな人間でも現実を生きていかなければならないのだ。
フィクションの小説を読むだけでも、オレにはこの仕事は無理だな・・と思った。
現実に、ケースワーカーとして日々仕事を全うしている方々に心より敬意を表したい。
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『女たちのジハード』と同じように,同じ福祉事務所に勤める人々の視点をうつりながらケースワーカーという仕事を見る。
人間が生きていくということ,お金がないということはきれいごとじゃ済まされない苦労が存在するということが分かった。
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福祉事務所に勤務する人々の抱える、様々な問題を描いた短編集。人生やらなければいけないことがあって、辛い時も面白い時もあると思います。生きていくために頑張らなければいけないのである。
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作者のバックボーンが強く反映されていて解説にも会ったが弱いものの味方でいたいという視点の読者の方にはいいだろうけど自分には少々綺麗過ぎた。この作者にはリアルで妙にグロテスクなホラーを書いてほしい
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短篇の連作。ケースワーカーが遭遇する「弱者」のあれこれ。
重く、時に滑稽で、身も蓋もなくて。でも最後の一編には、したたかな希望を感じます。
読むのに少々エネルギーが要りますが、時々無性に読みたくなる作家です。
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社会福祉のケースワーカーが遭遇する様々なケースを扱う。
「死神」を含めた8つの物語で構成される。
生活保護を認定される人々の話なので、
そこに至るまでに確実にドラマがある。
そうした人々のそれぞれの人生と、
ケースに対峙する役所の人間の感情の機微を描いているのが面白い。
人間の生き方について、改めて考えさせられる。
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福祉事務所に勤務するケースワーカーたちが、様々な生活問題を抱えた社会的弱者たちを目の前にし、一筋縄ではいかぬ救済劇を描いたお話。
生活保護の業務は、福祉の中でもひときわ「救済」や「措置」といった色が濃い。どうにかして最低生活を保障しなければならない、そんな状況で、個別ニーズを解消し、その人に適した方法でより良い生活を、などという文句はどの程度成り立つものなのだろうと考えさせられる。
何をもって幸せというのか、その行きつく先は人によって各々である。そして、それを追い求める自由をたいていの人間は持っている。
しかし、生活保護の場合、幸せや充実の追及とは程遠い、死なないための措置、まさにセーフティネットと呼ばれる最低ラインの保護であり、その最低ラインに立つためには、自らの「生きる」ための努力が欠かせない。
望むように過ごすことと「生きる」こと、その二つが一致しない社会的弱者たちの苦悩。
その現実を誰よりも知りながら、被保護者のために措置による保護を繰り返していくケースワーカーたちの苦悩。
その情景が鮮明に描かれれば描かれるほど、その苦しさは想像もつかないようなものに感じられてくる。
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福祉事務所に勤めるケースワーカー、彼らが担当する様々なケースたち。
虐待、家庭問題、アル中、浮浪者etc・・・
単語を見ると、新聞で目にすることだって珍しくない。
けれどそれらにはみんな、個別の背景があって。
「社会的弱者」が、必ずしも弱いわけじゃないし、ケースワーカーだってそんなに強くない。
登場人物が、「人間」っていう同一線上で描かれている。
実習で生活保護世帯の人たちと接するようになってから見えてきた世界が、この小説からも少し垣間見れた気がします。
それが単に綴られてるのではなく、フィクション小説として織り上げられてる。素敵な織物のような小説でした。
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ケースワーカーという仕事がこんなにも大変でこんなにも深いものとは。
世の中には、こんな生活をしている人もいるということを知った。日々を大切に仕事ができる喜び生活を苦がなくできることへの感謝を忘れずに生きて行こうと思う。
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福祉事務所のケースワーカーたちの事件簿。といっても、殺人や窃盗などを扱うミステリーではなく、あくまで福祉事務所が扱う「ケース」の人々をめぐる話。女性の強さ、こわさを感じた。
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福祉事務所をめぐる事件の数々。
作者が勤務していたこともあるので、機密の漏洩にならないことに気をつかったとのこと。
なら書かなきゃいいのにと思いながらも読み進んだ。
それで何が言いたかったのだろう。
まだ分からない。