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商品説明
兄から引き継いだ経営不振のガラス工場は、売り払って整理するつもりだった。だが、元エリート商社マンは、物作りの復権に再起の夢を賭けた。ガラス製品を通して出会った男と女の心の交流を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐々木 譲
- 略歴
- 〈佐々木譲〉1950年北海道生まれ。札幌月寒高校卒業。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール読物新人賞受賞。著書に「エトロフ発緊急電」「ストックホルムの密使」「鷲と虎」「牙のある時間」など。
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紙の本
虻蜂取らず
2021/03/17 18:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐々木譲の著した初期の長編小説である。初出は平成10年に新聞小説として各紙に掲載されたもの。その後単行本として発刊されている。概要を見てみると、大田区の町工場(ガラス製品の製造)の経営者である実兄の体調がすぐれず、叔父からの依頼で已む無く、商社勤めをやめて自分の会社を経営していた弟が主人公である。
こうしてみると、如何にも中小企業の経営にまつわる小説のように見えるが、実際はガラス工場の炉を賃貸ししていた女性のガラス工芸作家との恋愛小説であった。中小企業の経営の話はつまらないかといえば、そんなことはない。中小企業の経営に関する小説としても面白く読めた。
それならば、わざわざ恋愛小説にする必要はなかったと思う。諏訪の先端企業、スウェーデンの有名企業、真空管に特化した隙間産業など、顧客開拓の中身もなかなか読ませるものであった。すべてがうまく行くのは小説ならではのことであるが、恋愛小説と一緒にする意味がよく分からない。
企業経営者、分けても中小企業であるならば、工場で働く社員の目を気にしないことはあり得ない。また、家庭を持っているのなら、それを壊してまで恋愛に入れあげる主人公には呆れてしまう。せっかくの素材はあるのに、雑音が大きくて、どちらにウェイトがかかっているのか分からない小説であった。