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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.7
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/397p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-06-209127-5
紙の本
海賊オッカムの至宝
著者 ダグラス・プレストン (著),リンカーン・チャイルド (著),宮脇 孝雄 (訳)
海賊の遺した莫大な財宝が洞窟に眠っている。その財宝を護るのは、17世紀の天才建築家が設計した「水地獄」。今、最先端のテクノロジーとコンピュータで武装した専門家集団が挑む。...
海賊オッカムの至宝
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商品説明
海賊の遺した莫大な財宝が洞窟に眠っている。その財宝を護るのは、17世紀の天才建築家が設計した「水地獄」。今、最先端のテクノロジーとコンピュータで武装した専門家集団が挑む。はたして財宝を手にすることはできるのか?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ダグラス・プレストン
- 略歴
- 〈プレストン〉1956年マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。著書に「屋根裏の恐竜たち」など。
〈チャイルド〉1957年コネティカット州ウェストポート生まれ。
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紙の本
ブック・デザインも小説の舞台も、本の推薦者も最高だけれど、どうも登場人物が
2003/01/16 23:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒険小説の本の帯に、北上次郎や椎名誠の推薦などと言う文字をみたら「それだけで買いでしょ」と思ってしまう。これが同じ仲間でも沢野ひとし激賞となると、「なんだかなあ」となる。今回の本の決め技は、椎名誠の一本背負いとでも言っていい「絶賛」の一言にある。
主人公のハッチは祖父が秘宝探しで破産し、父は自殺、兄は彼のせいで事故死したと思い込んでいる医師。まず設定が上手い。幼い少年の心の痛みが伝わって来る。成長した彼の前に現れたナイデルマンという男は、ハッチが所有するメーン州のこぎり島に眠るといわれる海賊オッカムの至宝を、最新の設備で掘り出そうと持ちかける。
その組織サラサを運営するナイデルマンの登場の仕方は、私がドキドキしてしまうくらい颯爽としている。ベトナム戦争帰還後、トレジャリー・ハンティングに従事。彼の冷静でいて大胆な発想、豊富な資金と最先端技術、正確な読みなどは、私たちがイメージする宝探しとは一線を画する。最初は、自分の家族に不幸をもたらした実在すら怪しい宝を探すことに否定的だったハッチだが、次第に彼のことばに心を動かされていく。
チームを支えるコンピュータ専門家ウォプナー、潜水家ボンテール、ナイデルマンの戦友ストリーターたちの葛藤や、宝捜しを批判する牧師のクレイなど幼時ハッチを知る町の人々の生活もしっかり描かれている。昔の恋人クレイとの再会などのロマンスもあるが、なんと言っても圧倒的なのは、宝を守る罠「水地獄」との闘いだ。
20億ドルの秘宝、そして「聖ミカエルの剣」という謎の宝。島に埋もれた何十体もの謎の遺体。スリルとサスペンス、まさに古きよき冒険小説そのもの。椎名誠絶賛が分からないでもない。でも、フランス娘のボンテールは清潔感が溢れていて好ましいぶん、後半のハッチの愚かさはあまりに不自然。読んで判断してもらうしかないけれど、主人公の相次ぐ失策は、読者を愚弄しているとしか言いようがない。
いい部分が大きいだけに欠点も目に付く。シーナさん、今でもこの本を絶賛していますか?
紙の本
ノコギリ島の罠
2001/08/17 12:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kosaka - この投稿者のレビュー一覧を見る
海賊オッカムの残した宝を発掘する。主人公ハッチの所有するノコギリ島にその宝が隠されていると言われているが、その島には17世紀の建築家によって設計された罠「水地獄」があった。また、主人公はこの島のために家族が離散し身内を亡くしており、この島にトラウマがある。「水地獄」を克服した後にも新たな試練が待っている。罠、暗号を乗り越えるためにコンピューターやセンサーなどが使用される。また、宝の発掘には多くの人数が携わるがその人々の間にある駆け引きがドロドロしていて、そんな人間関係とハイテクの対比がおもしろい。子供に戻って、冒険物語でどきどきしたい方にはお奨めの書である。
紙の本
現代版『宝島』。呪われた宝探しの冒険譚をハイテク・スリラーに仕上げる上質のエンタテインメント小説。
2000/08/29 00:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中条省平 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「海賊」という言葉にはロマンティックな響きがある。幼いころ夢中で読んだ『ピーターパン』や『宝島』に存在感豊かな海賊が登場し、それ以来、彼らは未知の世界での冒険の象徴になったのだろう。そうした本のなかでは、『ピーターパン』のフック船長も、『宝島』のジョン・シルバーも、手や足を失った姿で登場し、未知の世界の冒険へ旅だつことがどれほど危険であるかを、毎夜毎夜、幼い子供たちに教えているのだった。
英国の作家たちが生みだしたこれらの海賊像に比べれば、アメリカ映画に見る海賊たちは、豪放磊落、明朗快活すぎて、あまりロマンティックではない。勿論、子供時代にリアルタイムで見るような海賊映画がなかったことも事実なのだが、その後、テレビや場末の映画館で見たアメリカ映画の海賊たちは、闘いの合間にお姫様との恋愛をうまくこなし、騎士道精神にもとづく善玉紳士みたいで、ぜんぜん海の「賊」らしくなかった。
本書『海賊オッカムの至宝』の著者は二人ともアメリカ人だが、そのあたりの海賊のアイデンティティの本質について十分よく分かっている。本書はまさに現代版『宝島』、海賊が孤島に隠した略奪品を求める不気味な宝探しのお話なのである。
オッカムは十七世紀に世界中を震撼させたイギリスの海賊で、英国海軍を抜け出して海賊となり、放火、拷問、食人などの残虐行為を重ねながら、莫大な財宝を手に入れる。ところがある日、オッカムの乗った司令船が海で発見されるが、オッカムを含めて乗組員は全員死亡し、莫大な財宝はどこかに消えていた。その後、オッカムの財宝の隠し場所としてアメリカ・メイン州のノコギリ島が有力視されるが、地下に通じる通称「水地獄」というトンネルの激流に阻まれて死者が続出し、次第に「水地獄」は呪いを受けた場所だという風評が定着する。
主人公はこのノコギリ島の若き所有者、ハッチ医師。ハッチのもとに発掘会社を経営するナイデルマンと名乗る男が尋ねてきて、ノコギリ島の発掘を許可してもらいたいと語る。「水地獄」を設計したマカランの暗号書を入手したので、完全なコンピュータ制御による発掘を開始したいというのだ。ハッチは自分も医師として発掘に参加するという条件で、この事業を許可する。オッカムの呪い、マカランの悪魔的な策謀、最新コンピュータ制御の発掘方式。三巴のスリリングな闘いが幕を切って落とす・・・。
著者のプレストン&チャイルドは映画化された『レリック』や『マウント・ドラゴン』などで知られるSFホラーの名手である。今回はかなり趣向を変えて、『宝島』の冒険をハイテク・スリラーとして再構成する試みに成功している。オカルト趣味とコンピュータ技術を巧みに絡みあわせて、上質のエンタテインメントとなった。 (bk1ブックナビゲーター:中条省平/フランス文学者・学習院大学教授 2000.08.29)