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商品説明
私を訪ねてくるのは、やさしい恋人(妻と息子と娘がいる)とのら猫、そして、記憶と孤独。恋人の身体は、信じられないほど私を幸福にする−。とても切なく危険な恋愛長篇。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
江国 香織
- 略歴
- 〈江国香織〉87年「草之丞の話」で小さな童話大賞、89年「409ラドクリフ」でフェミナ賞受賞。著書に「こうばしい日々」「きらきらひかる」「すいかの匂い」「冷静と情熱の間」など。
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紙の本
切ない恋の話です
2005/11/06 09:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かお - この投稿者のレビュー一覧を見る
江国さんのお話にはよく姉妹が出てくる。これも例外ではない。
妹、妹の彼、自分、自分の彼の4人でワインをあけるところが何度も出てくる。普通であれば、はしゃいでしまうようなシーンでさえ静けさがある。
幸せと絶望が裏返しに常にいる。かといって暗さがあるわけではない。
最後のシーンはさすがだなーと思う。
あるのは日常、という感じで終わる。
ストーリーがあるという感じではないので、雰囲気を楽しみたい人にぴったりな作品である。
紙の本
切ないラブストーリー
2001/02/06 14:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かれん - この投稿者のレビュー一覧を見る
優しい色使いの表紙と同じくらい、ストーリーも優しい時間が流れています。妻と子どものいる恋人、そして私、いわゆる不倫ですが、不倫特有な隠れた関係ではなく、読み進むうちに、不倫だという事を忘れてしまいます。でも、優しい恋人が、家庭に帰ってしまうと、私に襲いかかるのは「絶望」。今は亡き父が繰り返した小言、そして、皆と一緒にしなければ異常と言われた理不尽な小学時代の記憶が次々と押し寄せてきます。
部屋を去った彼が、残していったものを見るたび切ない気持ちになり、そして、待っているのは、これから一人で過ごさないといけない長い孤独な夜。「死」を求めても簡単には、死は迎えにきてくれません。ちょっと出会いが遅かった為、こんなに愛し合っている二人なのに一緒になることはできない… 運命って残酷です。まるで、ウエハースで出来た椅子の様に座ることが出来ない切ないラブストーリー。
紙の本
自分にとってのかけがえのないものって?
2002/12/25 18:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HANA - この投稿者のレビュー一覧を見る
先がなかなか見えない恋に苦しくなって、行き詰まったとき、
何度も手にとって読んでいる本。
主人公は、普段は強いつもりで、妻子ある愛する人のいない夜も孤独と闘い、
わずかな時間のたくさんの幸せを愛しんでいる。
だが、だんだんと壊れていく自分を感じていく。
相手が、自分のことを本当に愛しているからこその発言にも、
疑いの心を持ってしまったり、幸せな気分ではなく寂しさが残ってしまう。
壊れる自分にささやかに抵抗しつつ、静かに対峙していく主人公。
そのストーリーの合間に、主人公が幼い頃に好きだったことや思い出が
断片的に語られていく。
本当に自分にとって大切なもの、他の人には分からなくても自分にとっては
かけがえのないもの、それを見失っちゃいけない。
読み終えると、思い余って離そうとした手を、もう一度掴み直そうという気になれる。
紙の本
ひたひたと、来る
2002/04/08 09:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆみゆみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江国さんの小説では、人々がよく音楽を聴く。この小説も例外ではない。主人公はカラヤンを聴き、ナイマンを聴いて、恋人と食事をしたり、愛し合ったりする。しかし奇妙なことに、江国さんの文章からは音楽が聞こえてこない。ただ、静けさだけがある。だから私たちは、江国さんの小説を読むときに、音楽を聴いてはいけない。静かな部屋で、一人で落ち着いて読むのがよい。
一人静かにこの小説を読んでいると、私の背後に、なにかが、ひたひたと、来る。なにが来るのか? 孤独だろうか? 死であろうか? それとも、子供のときの思い出? 私は、その「なにか」を、なんとなく「恐い」と感じる。なにに、なんとなく「恐い」と感じるのか、分からぬままに、読み終わる。
読み終わると、疑問がぷかぷか浮かんでくる。いったい、現実ってなんだっけ? 真実って、どこにあるっけ? つれづれなるままに、考える。そして、明快な答えを得られぬままに、私はとりあえず生活をしていくのである。
この小説の中にひそむ「なにか」は、私の毎日の生活の中にも、確実に、存在する。もちろん、あなたの生活の中にも。
紙の本
悲しい位純粋に
2001/02/07 21:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にむまむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分一人で許容できる事などはほんの少しですが、純粋に恋をして時間を使いつづける事はいい経験になるのだろうし、読んでいるうちに言葉の一つ一つがなんとも心に響いてくる。文章としてはうぅここでこんな展開かなと思ったら、とぎすまされた言葉によって惹きこまれるように物語が展開していくので、長編とはいふものの一気に読めました。同著者の作品は何冊も読んでいますが、題材がいままでになく微妙な面を文章化しているので、不安定さがなんとも味が出てよかったです。主人公はあくまで孤独に世界を持ち続ける中で、社会とも関係を続けていく危うさが表現の妙なのか不思議に心に訴えてくる一冊でした。
紙の本
絶望と戯れる悲しい女性の物語
2001/02/25 14:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジャコウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は「やさしい恋人」と不倫をしている。だが、物語中では不倫ということをまったく感じさせない。
なぜなら、彼女は妻に嫉妬しない。妻子ある男性とセックスしていることに罪悪感を感じない。ただ恋人のつくる料理を味わい、恋人との会話を楽しみ、美しい恋人の肉体とセックスをするだけだ。
彼女は、考えることを放棄しているかのようにみえる。嫌なこと、不快なことに対して思考をストップさせているのだ。そして「閉じ込められている」自分の周りを、美しいもの、心地よいものだけで構成しようとする。タフタのカーテン、カラヤンのアルバム、そしてハーブティーなど。まるで、絶望の入り込む隙間を埋めていくかのように。
彼女にはたびたび「絶望」が訪れてくる。だが、絶望とすら戯れているような不思議な感覚がある。彼女は死を選ぶときさえも、真には絶望していないように思える。1日1回シャワーを浴び、ハーブティーをいれて飲む…。死ぬことすら彼女の中では、ロマンティックな空想の中の遊びのようだ。
過去と戯れ、絶望とすら戯れ、夢見がちな女子高生がそのまま中年になってしまったような彼女。装幀の風呂場は作品中にも何回か登場し、成長し切った肉体と成長できなかった精神のコントラストを印象づける。中身は未熟でも容赦なく衰えていく肉体、そして妻子ある男生との不倫。現実は残酷だ。その残酷さから逃れるために彼女はあっさりと死を決意する。死を選択するまでの苦悩すら、彼女はとばしてしまう。個人的にはもうちょっと苦悩して精神的に成長する彼女が見たかった。軽く読めるので「雰囲気を楽しみたい」という人にはいいかも。