紙の本
阪神淡路大震災から四半世紀を迎えて
2020/01/19 09:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
3人による対談や講演をまとめたもの。生きていく上で、どんなときにどんな絵本に出会ったかなど、悲喜交々のエピソードにうなずきながら読んだ。
近しい人の死や被災などの哀しい体験をした後のグリーフケアについても触れられており、阪神淡路大震災から四半世紀なのだと改めて感じた。
紙の本
絵本の底知れぬパワーの輪郭を知る
2001/11/14 11:45
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2000年11月に『絵本の可能性』というテーマで行われた講演をまとめたもの。前半が、河合隼雄、松居直、柳田邦男のそれぞれの講演の様子、後半はこの三者の対談の様子が収録されている。
講演者の中で絵本のプロといえば、福音館書店編集部で長年絵本の出版に携わってこられた松居直氏だ。松居氏は、絵本の読み聞かせの大切さを何度も繰り返す。耳から聴く言葉の体験が、言葉の体験ではいちばん大切だとのこと。子供の頃に接した古典の文体の美しさを知り尽くした松居氏は、絵本作りにおいても、音にした言葉がうまく絵に乗っかってくるかを綿密に計算する。絵本作りの舞台裏を十分に楽しませてもらえた。
また、対談中には絵本の歴史に話が及び、十二世紀に遡る絵巻の説明からその延長線上にあるのが絵本という結論を読み、絵本の歴史の壮大さに目を見張ってしまった。
柳田邦男氏が絵本に深くかかわるきっかけとなったのは、彼の次男の自殺であった。心の傷を負った柳田氏は、それまでは本人の子供時代、次に自分の子供ができた時以来は絵本を手に取ることがなかったが、次男の死をきっかけに再び絵本を手に取りそしてのめりこんだ。この経験をもとに、「人生後半に読むべき絵本」について語ってくれる。私自身を考えてみれば、すでに子供でもないし且つ育てるべき子供はいないので、実践的な面では柳田氏の講演が一番身近に感じることができた。これからどのようにして絵本と関わっていけばよいのかを教えてもらえた。
河合隼雄氏は、話の端々に「魂」「心」「癒し」という言葉が顔を出す。われわれ大人はなんでも知っていると思いすぎると指摘し、絵本というのは魂の現実がいちばん表現しやすい媒体かもしれないと語る。簡単な文章と絵によってそんなにすごい世界が表現できるものだろうかと、少なからずショックを受けた。
本書を読み終わると、絵本を読みたくてたまらなくなってきた。 本屋さんに行こう。そして、普段は素通りの絵本コーナーに直行だ! では、これにてご免。
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「だいくとおにろく」は絵巻物を意識して作ったということ、
「今子どもをめぐる事件が多いが、昔話にはありとあらゆる悪が書かれているから是非、こどもに語ってほしいということ」
「悪を話の中で避けて通って、現実には心の中でガッと起こってくるから、コントロールができない」「親子の信頼関係の中で語られるからこそ、怖い話の疑似体験が生きる」など興味深い話が満載。
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この本も、記憶が定かではありません。ただ、講演を聞いたときに買ったものだと思います。私の場合、壁にぶつかった時、それぞれのテーマで本を買う事が多いので、多分、この時も絵本についていろいろ考えていたんだと思います。
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著者の顔ぶれがすごい。河合隼雄、松居直、柳田邦男。読書好きならこの中で最低一人は知っているよね。彼らの語る「絵本の力」とは。ましてや出版社が岩波・・・。これだけ揃って手を出さないとは、あなたは本当に読書家ですか?なんちゃって。さっそく図書館で探してみよう。
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河合隼雄氏、松居直氏、柳田邦男氏の講演と対談の記録です。
3氏より色々な絵本の紹介があり、また、絵本体験の重要性などが語られています。
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なんと言っても松居さんの言葉、絵本に対する姿勢が素晴らしい。
松居さんの本を読むきっかけとなりました。
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絵本は0歳から百歳までが楽しめるという河合氏の言葉や、絵本は人生に三度という柳田氏の言葉が心に残った。臨床心理士の河合氏、編集者の松居氏、ノンフィクション作家の柳田氏という組合せも面白い。
最近は子どもや親のウケを意識した作品も多くて、こういう絵本は20年も30年も読み続けられるのか心配になります。
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絵本の力はスゴいと思う。文字の読めない0歳児から、大人、老人までいろんな人に感動を与えることができる。そして感じ方も人それぞれであり、大人になって読み返して新しい発見があるもの、子どもの想像を大きくかき立てるもの、不思議と驚き、怖さや哀しさをいつも教えてくれる。そんな絵本の力を、河合隼雄、松井直、柳田邦男が語っている。3者の立場のちがいから見た絵本の魅力のすばらしさに共感し、改めて自分で読んでみよう、子どもに読んであげようと思った。
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シンポジウムの記録をまとめて作った本です。河合 隼雄さん、松居 直さん、柳田 邦男さんの絵本に対する思いがひしひしと伝わってきます。その中で、柳田さんのお話は、私が4月に聞いた講演と同趣旨の内容でしたが、じ~んときてしまいました。この本の中に出てくる絵本を片っ端から読んでみたくなりました。
こんなきれいな表紙だったのか。ブログに書き込むまで気づかなかった。図書館から借りてきた本なので、カバーがしてあるせいか、表紙が地味に感じられます。
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河合さんの発言が示唆的だった。松居さん、柳田さんはどこかですでに聞いている話で、新鮮みに欠けた。
ただ、松居さんがバーレイの『わすれられないおくりもの』は危険と発言されていることは、そういう見方もあるか、メッセージが強すぎる絵本のイデオロギー性の危険に気づかされた。あくまで与え手の問題が大きいと思うが。
・絵本というのは実に不思議なものである。0歳から百歳までが楽しめる。小さい、あるいは薄い本でも、そこに込められている内容は極めて広く深い。一度目にすると、それがいつまでもいつまでも残っていたり、ふとしたはずみに思い出されて、気持ちが揺さぶられる。それに、文化の異なるところでも、抵抗なく受けいれられる共通性をもつ。
・(IT革命に象徴される他者性の喪失やリアリティのなさがあるが、絵本は)本当に自分がめくって、自分がその中に入って、自分という存在がそれに関わってみていくもの。:河合
・絵本の面白さ。1.昔、子どもに聞かせてやった本を読んで、懐かしく楽しみながら、その意味とか感動を再発見する。2.この20年の新作に触れることで、こんなにも絵本の世界は創作が行われているのかと驚く。:柳田
・日本の子どもの本の海外への翻訳は三千点を超えている。言語数は40言語以上。:松居
・人間の心の深いところは事実としては語れないことが多いから、どうしても物語るか、イメージになるしかない。:河合
・絵本と恐怖
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絵本は、子どもだけの読み物ではありません。大人になってから読んでみると、子どもの頃には気付けなかったメッセージ、大人だからこそ味わい深く感じるものなどが必ずあります。各々異なる分野で活躍する3人の文化人による、絵本の可能性、絵本と人との関わりについての講演と討論の記録です。
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心理学者の河合隼雄、児童文学家で福音館書店のこどものともの編集長松居直、ノンフィクション作家の柳田邦男の絵本についての各々講演と、鼎談。松居の絵本は読んでもらってこその言葉に改めて絵本本質に気付かされた?
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河合隼雄、松居直、柳田邦男、講演・討議。
おとながこどもに読んでやる本。おとなでも絵本を。
C0095
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2016年11月。
私はおじいちゃんを知らない。物心ついた時には両家とも亡くなっていたので、子どもにとっておじいちゃんとはどんなものなのかがよくわからないし、でもちょっと憧れたりもする。現実でも物語の世界でも「こんなおじいちゃんいいな」と思う人が何人かいるけど、その中でもトップスリーに入るおふたりがなんと一緒にこの本の著者として名前を連ねている。河合隼雄さんと松居直さん。読まないわけにはいかない!だーいぶ昔、学生の頃に読んでこの度再読。親として書店員として絵本に携わる今だからわかるお話がたくさん溢れている。特に心に残ったのは、悪や怖いことを知るために、物語でそれを体験することがいかに今の子どもたちに大切であるか、そしてそれには昔話や古典が大きな役目を果たしてくれるということ。そして何かを教えこんだり説教じみた絵本はやっぱり違うということ。子どもへの愛に溢れているから絶対的に信頼できる、厳しくも優しいお二方の言葉。大人として親としてこうあらなければいけないと思う。さっきからおじいちゃんおじいちゃんって失礼極まりないけど、もし自分にこんなおじいちゃんがいたらものすごい自慢だなあ。