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紙の本
メタフィクションという器
2003/01/05 12:56
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻の名作と言われる「梟の巨なる黄昏」そして「天啓の宴」これら作中作をめぐるメタフィクションであってミステリ、いやまてよ、前にもそういう設定の話を読んだような気が。
もういい加減にしてほしいものである。まあ一種の定番ものになりつつあるかもしれない。
このスタイルは笠井に合っているのかもしれない。
1册の書物に含有される思索があり、それから触発されて展開される思索と人間の行動に与える影響が物語の起爆点となる。常に時代性、政治性と切り離せない笠井のテーマにリアリティを与える道具立てとして、そして一人の人間である読者に与えるインパクトの強さから、本という形態は都合がよい。
アンポ、ミシマ、そこから始まる物語がいくつもの本の中に外につながり、20世紀末に収斂していく。そして、ある人間の生死が常に世界の中のピースの一つとしてはまりこむ、それが「バイバイ、エンジェル」からずっと笠井の描く物語でありミステリであるように思う。