紙の本
議論にもルールがある!
2002/04/16 10:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:saM - この投稿者のレビュー一覧を見る
知的で楽しい議論の世界へ、一歩踏み出すための入門書である。かみ合わない議論、すっきりしない理屈、納得のゆかぬままねじ伏せられた会議……。こんな経験に泣いたことのある人は、いますぐ本書を読もう! 論理的な議論の構造が分かりやすく解説され、テンポのいい文章ですらすら読める。そして、議論スキルを手に入れた瞬間から、会社の会議が、国会中継やテレビ討論会が、新聞のコラムが驚くほどよく見えてくる。「世の中の多くの議論がはらんでいる問題点に気付くことは、同時に、自分自身のものの見方、考え方を再発見することにもつながるはずである」という著者の言葉に、読み終わって納得。
紙の本
根拠と論拠
2008/12/23 22:51
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちまたで好評だからといって、良書であるとはかぎらない。本書については好評であるとの話を聞いた。そして、読んでみて評判にたがわないなと思った1冊だ。
対象は初心者向けで、ていねいな説明でわかりやすい。あまり概念を詰めこまずに、シンプルに構成している。ここで自分には関係ないやと思った方でも、トゥールミンの議論モデルをご存じなかったら読む価値はあると思う。
議論にもルールがある。そのルールとは、議論スキルを満たしたうえで議論を進行させることだ。ところが著者によれば、政治家・ジャーナリスト・大学教員のなかにも、議論のスキルに欠けた人がいるという。これらの人たちは、「議論して生活の糧を得ている」ようなところがある以上、当然のこととして議論のスキルをもっていてほしいにもかかわらずだ。
また、日本人の多くが、学校教育で議論について学んでこなかったのではないかと指摘する。
著者は、政治家・ジャーナリスト・大学教員はもちろん、それ以外の人びとにも、議論スキルを身につけて、議論につよくなることをすすめている。そうなることで、誰かと議論するときや、他人の議論を冷静に分析することに役立つからである。
本書の中心になるのが、トゥールミンの議論モデルの基礎的解説とその応用だ。議論の主役になるのが、主張・根拠・論拠の三要素だ。
根拠=ある言動の理由や考えの基盤となるもの。よりどころ。
論拠=議論の根拠となる事柄。議論のよりどころ。
(学研国語大辞典より)
根拠と論拠の違いであるが、辞書を引くとだいたい同じような意味あいで説明されている。実地での使用例も、はっきりと区別しているように思えないものをみかける。かくなる私も、本書を読んだあと忘れてしまってテキトーに使ったことがある(忘れっぽいもので・・・トホホ)。
トゥールミンの議論モデルによると、論拠は根拠の一種ではあるのだが、議論において、ほとんどのばあい表にはでてこない「隠れた根拠」である。著者は、「暗黙の仮定」とも呼んでいる。
こうもいっている。「主張は根拠を背景とし、さらに論拠(理由づけ)を介して導かれる」と。これが論証プロセスだ。主張の正当性は、論証プロセスの正しさに依存している。論拠が根拠と主張を結合させるのであるから、論拠は議論の根幹といっても言いすぎではないぐらい重要なものである。
さらに、三つの名脇役が登場し議論スキルが豊かになっていく。くわしくは読んでいただきたい。
練習問題もついている。
最後に著者は、議論のルールを段階別にしてすみわけを提唱するが、なるほどと思った。
議論レベル1=日常の議論 「論拠を明示しないでも問題にならないような日常の議論」
議論レベル2=公の場での議論 「必要に応じて論拠内容を確認することが前提となるような議論」
議論レベル3=科学的議論 「はじめから論拠の内容が明示されていないと議論が開始できないような議論」
もちろん、本書がターゲットにしているのは、議論レベル2になる。
余談で締めると、これに「議論レベル4=哲学的議論」をつけ加えたくなった。口の悪い人にいわせると「蒟蒻問答」ということになるらしいが・・・。
紙の本
論理的な議論のルールを身につけることは、社会人としての最低限のマナーです!
2017/03/19 16:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とある地方の公務員 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「議論とはそもそもなんであり、その議論を分かりやすくするためにはどんな予備知識が必要なのか」を分かりやすく解説しています。
職場などで会議や打合せをすると、本書で解説される、議論を構成する基本的な要素である主張(=自分が言いたいこと)、根拠(=主張の裏づけ)、論拠=言いたいことの理由)、とくに根拠や論拠が欠けて感情的・一方的な発言となっている、などの状況に遭遇することがよくあります。
こうした状況を繰り返さないように、「今すぐこの本で論理的な議論のルールを身につけましょう!」
ただし、「『論拠』の発見」(中級編)の「論拠と『やはり』の潜在パワー」の部分は、大学入試の国語レベルの難解さです。
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議論にもルールがある。
この本は2年次のゼミの初回の課題本でした。久しぶりに読み直してみました。
国会の討論を聞いててまったく何を言ってるか分からないことがありませんか?内容が難しいということの前に議員の討論が議論として成立していないのが原因でしょう。
議論にもルールがあって、それを大変分かりやすく解説しているのがこの本です。議論の構造を理解することは大変有用なことです。普段の授業の先生の話から新聞の社説まで「議論のモデル」を利用すると違った一面が見えます。
議論に留まらず、論文というのも実は同じルールの上で成立してるものです。つまり論文・レポートでの論理構造と議論のモデルは同一と言うことです。議論のモデルを理解していない論文は論文の体さえなしてないと言うことです。
この本は本当に良書です。
肩がこらずに読めますので、一押しの本です!
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大学に入って数多くの本を様々な教授に勧められたが、この本はその中の一冊。タイトル通り、議論を行う上で必要なことを述べた議論の入門書。
まず日本人の議論は実は議論になっていないという現状からスタート。議論とは根拠に基づいてなんらかの主張を導く言動行為のこと。「根拠の適切性」「根拠から主張への飛躍」「隠れた根拠(当事者間の暗黙の了解)」の明示が、きちんとした議論の中では不可欠だとか。著者は議論のルールについて、「トゥールミンの議論モデル」という根拠・データ(事実)から主張を導く際に、両者を結びつける役割をしている「隠れた根拠(=論拠)」に注目した議論モデルを元として、そこに独自の見解を加えて、わかりやすく有益な議論を行うためのルールやテクニックを紹介している。
議論のルールの話の他には、「経験的事実(データ)は客観的なものと考えがちだが、ある特定のデータを選び出す時既に主観的な力が働いている。すなわちデータは論拠によって意味づけられる」という話が面白かった。また、パラグラフ構造についてのコラムや日本人が多用する「やはり」は多くの場合根拠と主張の結びつきを曖昧なものにするという考えなどなど役立つ知識が満載だった。
どちらかというと話すより書く方が得意な自分だが、どちらにせよこの本で述べられているような議論の構成を理解していないと意味不明になってしまうのだろうと強く感じた。そう、このブログのように意味不明…良く言えば有りのままに話したり書いたりしたらリアルでは困ることだろう。
おすすめの一冊。
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I塾生がローの合格体験記ですすめてた本。主張には明確な論拠が必要、ということがよくわかった。相手の話や文章を分析的に考えるきっかけになる本
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とても読みやすい本でした。
演繹とか帰納といった言葉も出てこないし、例も分かりやすい。
日本語の段落と、英語のパラグラフとの違いについてはなるほど〜と思いました。
この本では、議論には「主張」と「根拠」があり、主張と根拠の間の暗黙の了解のようなものをつなぐのが「論拠」であると説明しています。この論拠を誰にでも分かりやすく説明するのがコンサルタントのお仕事。
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議論の構造についての本。
議論の基本としては、主張とそれを支える根拠、そしてこの二つを繋ぐ論拠が揃うことが条件です。さらに、良い議論を行うための補助項目を理解することで、議論がより有意義になるでしょう。といった内容。
感想
議論をしているようで、主張しかしていないと感じる時がけっこうあります(私もですが)。これを読んだのを機に、ちゃんと議論ができるように努力しようと思います。
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一般的に「日本人は議論が下手だ」と言われますが、議論の技術を知らないからだと著者は言っています。議論の技術を基本から考えさせられる一冊です。
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本書では、主に議論における「論拠(=隠れた根拠)」の重要性を説いており、個人的には視点として新しく、参考になった。
ただ、論拠の重要性を強調しすぎている感は否めず、それについては注意が必要。
書評:http://d.hatena.ne.jp/gantyan821/20080408/1207657582
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コミュニケーション学からの流れで読んだ。
主張をするには、反論をおそれてはいけない。
反論のない主張なんて、主張していないのと同じなんだから。
だって。
そして主張するには、根拠と論拠が必要。
あー、議論するのって難しいー。
どれだけの日本人がよい議論や主張をすることができるんだろう。
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主張とその根拠、そして論拠が必要である
議論には3フェーズある
1.日常会話
2.MTG
3.科学的
新聞とかも意外と論理構造は不明確であるので、
分析対象になる
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トゥールミン・モデルの解説。主張(claim)、根拠(data)、論拠(warrant)を基本要素とする、いわゆる三角ロジックの紹介。
三つの基本要素のうちの、非顕在的な根拠である「論拠」を明確化することが、議論の構造を把握するポイントである。
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議論にもスポーツと同じようにルールがある。そのルールの主役は「主張」「根拠」「論拠」。
メモ。
議論レベル1は日常会話、「主張」「根拠」でよい。
議論レベル2は公の場での議論、「主張」「根拠」に加えてある程度の「論拠」を準備すること。
議論レベル3は科学的議論、「主張」「根拠」に加えて、データに基づく「論拠」の議論が中心となるもの。
高校でアメリカ人教師からライティングの授業で習った「パラグラフ構造」がそのまま掲載されており、昔習ったことはこれか、と再発見できて嬉しかった。
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[ 内容 ]
会議、新聞、友達の忠告…。
日常私たちは、根拠をともなって主張されると簡単に受け入れてしまっていないだろうか。
考えをいったん整理したうえで表現する「論理表現」の力を身につけて、議論を評価し、結論の正しさを判断する力を養おう。
議論の構造を解いたロングセラー『議論のレッスン』の著者による、日々の話し合いを明快にするレッスン第2弾。
[ 目次 ]
序章 議論の現状
第1章 観察語vs理論語
第2章 理論的に負荷のかかった質問(loaded question)
第3章 論証とはなにか
第4章 論証と証拠
第5章 演繹的論証と帰納的論証
第6章 論証の妥当性・推測力・健全性
終章 論証の評価
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]