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紙の本
オペラ座の怪人の続編。フォーサイスの腕が別世界で冴える
2004/09/20 23:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
オペラ座の怪人。ガストン・ルルー原作で、近年劇団四季のロングランが話題となった作品である。私はこの作品のストーリーも知らないし、舞台も見たことがなかった。ただただフォーサイスの作品を求めていたに過ぎない。
しかし、フォーサイスは冒頭にオペラ座の怪人のあらすじを加えてくれた。おかげで続編であるマンハッタンの怪人にうまくつながったのである。オペラ座の怪人は、パリのオペラ座がその舞台になっているが、この小説はパリからニューヨークへ移ってからの怪人の物語である。
相変わらず、世間から姿を隠す怪人であるが、事業家としての才があったのか、莫大な財をなした。その財を使ってメトロポリタン歌劇場に匹敵する歌劇場を建設する。そこで演じるオペラにパリや豪州から歌手を招聘する。その中にパリで因縁のあった歌手が含まれていた。
数奇な運命がまた繰り返される。しかし、今度は怪人自らが招いた運命とも言えるものであった。ストーリー・テラーのフォーサイスならではの大河小説仕立ての続編で、当時のニューヨークの風俗、オペラ界の事情なども垣間見える。
最近はデザートとして影が薄くなってしまったが、ピーチ・メルバというメニューがあった。このデザートの語源である豪州の歌手、ネリー・メルバも登場する。メルバはメルボルンからとった名だそうである。
ニューヨークで成功を収めるところは怪人らしくなく、オペラ座に閉じこもっていた方がその不気味さがよく出るような気がした。しかし、その怪人が財をなすことは、原作では微塵も感じさせなかったと想像させるだけに、フォーサイスの本書こそ怪人の怪人たる所以を感じさせる作品であろう。