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紙の本
中村俊輔の成長は認めます。でも、やっぱり私にとってのジョカトーレはこの人、ヒデさま。思うようにならないポジション、監督との対立の中で苦悩する男は、日本に戻るたびに人間としての成長を見せてくれる
2003/08/23 15:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピアニストの話でなんだけれど、一時代前にルビンシュタインとホロヴィッツの演奏についてよく言われたことがある。ピアノという楽器の性能のなかで曲を捉える前者。作曲者の頭の中にあるであろう音楽を優先し、楽器の性能を無視してあるべき音楽を求める後者。時に音は割れ、ピアノが悲鳴をあげても強い打鍵で弾き切る。作曲者がもっと巨大な音を考えていたなら、それを再現しようとする。
中田英寿と小野伸二のパスの違いは、これに似ている。あくまでも、仲間の能力を見極め、最適な位置に性格に優しくパスを置く小野伸二、勝つためには、得点のためにはここに選手は走りこんでいなければならない、と無人のスペースであってもボールを通そうとする中田英寿。この二人が手を繋いだ時の素晴らしさは、ワールドカップでも証明済み。
そういったことが、この小松のレポートで浮かび上がってくる。この本は、小松成美が様々な雑誌などに発表してきた中田19〜23歳までの記事を集めたもの。中田英寿がマスコミに嫌われる理由、そして若者が中田を支持する理由がよく分る。中田のパスの意味についても、誰にも分る易しい言葉で説き明かされ、文句のつけようが無い。
日本人好みが、中田ではなく小野や、悲劇のヒーローのイメージを持った中村俊輔であることは、マスコミの操作を加味しても確かだろう。そしてそれが過去の物となりつつあることも。正に新世紀、常に前を見つづける男の孤独、理想を追い求める美しさ。驚くのは、今の中田ではなく、19歳のときに、中田が考えていたことである。すでに世界を見ていた男がそこにはいる。出来すぎかもしれない、虚像かもしれない。しかし、そうした人間がいる、それだけでも嬉しくなる。
自分たちに靡かなければ、見えている成果でも黙殺しようとする日本のマスコミ。たかだか、インタビューできないというだけで、どうしてあのアシストを無視して、最後にゴールをしただけの稲本を持ち上げる?嫉妬、僻み、なんて小さいんだ、日本の男たちは。カルチョを追い求める男を、常に他の相手を持ち上げることで貶めようとする日本マスコミに、私はあくまでレッドカードを出す。