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商品説明
頭だけで生きようとするからこの凝視の地獄は避けられないのです。手と足を忘れています。部屋の中で寝てばかりいないで、立ちなさい。立つことです。部屋から出ることです…。圧倒的なその存在が甦る。87年刊の新装版。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
開高 健
- 略歴
- 〈開高健〉1930〜89年。大阪生まれ。大阪市立大学法学部卒業。小説家。58年「裸の王様」で芥川賞受賞。作品に「声の狩人」「過去と未来の国々」「オーパ!」など。
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紙の本
延長、また延長
2005/03/06 13:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北祭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読書は楽しむもの。こう考えて本を読むのはとても気楽なことである。しかし読書も度が過ぎると娯楽の域をこえ、一つの疑問がわいてくる。
夜、ラッキーストライクの箱と本が手もとにないと中毒の症状が出るという開高健もまた、読書人の抱くあの疑問に取りつかれていたようである。
「これまでの行路で生そのものに教えられたことと本から教えられたこととどちらが多いか。駅で電車を待つあいだにときどきそんなことを考える。
読書そのものが生の体験の一つなのであるからこれはおのずと答えがきまっているようであり、愚問のようにも思える。たいていハッキリした答えがつかめないうちに電車が来てしまうので、この返答はいつも先へ延ばされる。延長、また延長をつづけて今日に至る難問である」
今宵、この本の、この行を読んだとき、ページをめくる指が止まった。
「…延長、また延長…」
貪欲に、生き、そして読む。
さて。これからまた、存分に、終わりのない延長戦に挑むとしよう。