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女たちの幕末京都 (中公新書)
女たちの幕末京都
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再考(校)を乞う
2003/08/03 09:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
開国か攘夷かを巡り、幕末にわかに騒然とする京都。
安政の大獄で逮捕された老女村岡、皇女和宮と協力して徳川家を救った庭田嗣子と
土御門藤子、岩倉具視に手のつけられぬ女と言われた若江薫子、松尾多勢子らが
取り上げられている。人気TVドラマ「大奥」に登場する天璋院篤姫も
登場するので、現在参考として見るにも、また、来年の大河ドラマ「新選組!」
の予習ともなるので手に取ってみた。
しかし、とても読みにくかった。第一に、文章が長い。
小説ではないので、リズムをつけたり、一定の決まり事を
つけた改行をする必要まではないが、最低限読みやすい文章で
あって欲しい。
第二に、主語が途中で入れ替わっている。
一例を挙げてみる。本書50ページ。
京都の男女は夕暮れから美を競って蛾のように夕涼みとしゃれこみ、店に集まっては
弁当を開け酒を酌み、酔って歌う者、三味線を弾く者、舞う者、拳を競う者と千差万別、
「京都の賑わいここにきわまる」と書いた。
最初の主語は「京都の男女」だが、最後の述語「書いた」の主語は、清河八郎である。
おそらくこれは第一の要因、文章の長さゆえ生じる事だと思われる。
更に、主語が入れ替わった関係で、
客観的事実から筆者の主観に変わっている文章もある。
最初に客観的事実だけを述べ、最後に所感という形で主観を
出しても良かったのではないか。
第三に、かぎかっこで引用を示している部分もある一方で、
何もかぎかっこをつけない文章の最後に、(『資料名』)が
入ってくる文章もある。最後ではじめて、引用されたのだという事がわかるが、
どこからどこまで引用された箇所なのかがわからない。
やり方を徹底して頂きたい。
第四に、筆者が後書きにも述べている通り、必ずしも編年体で
文章が書かれていない。あるテーマに絞って書かれる場合は、
その書き方もある程度やむなしとは思えるが、そうならば、最後に
年表などつけて頂くとありがたい。
大河ドラマの放送も控え、新選組をテーマにした作品が漫画賞を受賞し、
また新選組をテーマにした映画や小説も随分出ている。これから
幕末について興味を抱き、読みたいと思う人達も増えている。
編集と著者がどのあたりまで文章の責を負っているのかわからないが、
せっかく間口が広がろうとしているのに、
折角興味深い内容を扱っていても、このままでは勿体無い。
再度校正を要したい。
おそらくこれらの箇所を訂正したところで、著者の持ち味が消えることはない。
取り上げる内容や主観で、いくらでも主張できる。