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ルンガ沖夜戦 (PHP文庫)
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紙の本
日本海軍最後の大勝利
2005/12/19 16:54
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和17年後半は、ガダルカナル島での日米両軍の攻防戦が熾烈を極めた。海上では、制空制海権を握った米軍に、日本側輸送船団は狙い撃ちにされ、日本軍守備隊の物資の欠乏は深刻だった。鈍足の輸送船に代わって、高速の駆逐艦に物資を積み込み、敵航空機の飛ばない夜間に輸送を済ませることが考案されたのも仕方のないことだった。
昭和17年11月、月のない夜に、補給物資を積み込んだ第二水雷戦隊8隻の駆逐艦は、ガダルカナル島に接近していた。
いち早くレーダーで日本艦隊を捕捉した米艦隊はこれを叩くべく、戦闘準備を整えてこっそりと接近する。
米艦隊の動きを知らない8隻の駆逐艦は、島に接近すると無防備にも微速からほぼ停止状態に入り、物資の陸揚げ準備に入った。しかも、物資積み込みのため、各艦は魚雷の半数を陸に残してきていた。
手ぐすね引く米艦隊は、1万トン級の重巡洋艦4隻を中心とする11隻の艦隊である。勝敗は戦う前から決したも同然だった。
・・・ところが、なんということか、戦端が開かれるや、16分間で米艦隊は重巡洋艦1隻沈没、3隻再起不能の大破、残存艦も逃走してしまったのである。
大逆転の日本艦隊大勝利である。何が起こったのか。本書のクライマックスだ。
日本側の損害は?ところで物資の輸送はどうなった?
本書は、高らかに勝利を謳い上げるだけではない。明暗きちんと書かれている。
通常、海戦史では、戦艦や空母機動部隊といった攻撃力に優れた大型艦の活躍にスポットライトが当たる。
本書は、補助艦艇を代表する駆逐艦(水雷戦隊)に焦点を当てた「海の男」たちの物語でもある。