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商品説明
ひとは何故、時空をかけるラブストーリーに惹かれるのか。「ジェニーの肖像」から「ある日どこかで」まで。話題作「黄泉がえり」の作者による胸キュンのファンタジー・SF案内。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
梶尾 真治
- 略歴
- 〈梶尾真治〉1947年熊本市生まれ。福岡大学経済学部卒業。SF小説家。「サラマンダー殲滅」で日本SF大賞を受賞。
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紙の本
この本のデザインは、斬新ではない。ある意味、古典的な洋書の叢書を思い起こさせる。でもそれがとっても心地よい。先日、現代美術館で見た田中一光の仕事を見たときの心地よさを思い出す
2004/01/11 19:15
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
完全に洋書化したブックデザインがなんとも心地よい。暗闇に浮かぶ緑色の月(ああ、なんて平凡な喩えだろう! 出版社名を架けた駄洒落ではない、決して)の左肩に小さくserie‘aube‘と書いてある。うん、もう心憎い。装丁は岡本洋平、本文デザインは中島陽子。出版社は勿論、非凡な 平凡社。
全体は大きく三つに分かれる。最初が「タイムトラベル・ロマンス」で、「1 時間を超える」「2 タイムマシン」「3 想像の友人」「4 異人との愛」からなる。次が「プチ入門『センス・オブ・ワンダー』」。最後が「『黄泉がえり』について」。これに、あとがき、主要参考文献&鑑賞案内のリスト、初出一覧がつく。
で、目次に続いての章の扉にヤノット・シュワルツ監督の1980年の映画『ある日どこかで』のワンシーンが出ていて、これがまたいい。横顔を見せている俳優がいい男なので、ジーっと見てから本文を読んだら、スーパーマン役を演じて、今は事故で半身不随のクリストファー・リープと説明があった。どおりで、である。
自らの(ミーちゃんのことです)無知を思い知らされたのがロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』についてのコメント。この本を読まずに恩田陸『ライオンハート』を書評するとは、なんということだったのか。読書志からは痴愚魯鈍はおろか士農工商SF作家ミーちゃんと罵られようと反論のしようも無い、すみません、恩田さん。
さて、これを読んで思うのは梶尾の知名度を上げたのは、やはり『黄泉がえり』の映画化が大きかったということ。でも、それ以上に梶には時間を扱った小説が、私が想像する以上に大きな意味を持っているということ。だから、というのだろう、実に丹念に同業者の作品を読んでいることだろうか。
特に、思いついたようにしか梶尾の作品を読まない私には、彼が紹介する自作の『エマノン』シリーズの内容紹介に、「え、そんな面白そうな話があったの?」などと妙におろついてしまう。『時の果ての色彩』なんて、多分他の作家では絶対につけないだろうタイトル、多分、これじゃあ買う気しないよな、と思うけれど、内容を知るとどうしても読みたくなる。
タイトルの副題とおり、タイムトラベルものは、恋が絡んだとき、圧倒的に面白い。この本に載っている幾つかの本は、ともかく機会さえあれば読んでみたい。私の次に、この本を読んだ中学長女は「タイムトラベルものって、たくさんあるんだねえ」と小さな目を大きく見開いていた。わたしは『夏への扉』の再読から手をつけようか。