「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
巷説百物語 続 (C・novels BIBLIOTHEQUE)
著者 京極 夏彦 (著)
西に怪しき噂を聞けば馳せ参じ、東に珍しき事件あらば飛んで駆けつける。諸国を巡り怪談話を蒐集する御行の又市一味。江戸の闇を鈴の音が切り裂くとき、人の世で裁けぬ悪が裁かれる!...
巷説百物語 続 (C・novels BIBLIOTHEQUE)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
西に怪しき噂を聞けば馳せ参じ、東に珍しき事件あらば飛んで駆けつける。諸国を巡り怪談話を蒐集する御行の又市一味。江戸の闇を鈴の音が切り裂くとき、人の世で裁けぬ悪が裁かれる! 2001年角川書店刊の再刊。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
京極 夏彦
- 略歴
- 〈京極夏彦〉1963年北海道生まれ。「嗤う伊右衛門」で泉鏡花文学賞、「覘き小平次」で山本周五郎賞を受賞。他に「陰摩羅鬼の瑕」「ルー=ガルー」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
出版社が変わろうが、46版が新書や文庫になろうが、あの弁当箱のような分厚さだけは変わらない。江戸時代に何とも言えない仕掛けをする奴ら、再び
2004/01/07 22:52
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
京極夏彦の作品くらい、ジャンル分けしようとして無力感に襲われるものはない。ん? どこか「シクラメンのかほり」みたい? いやいや、馬鹿をいっている場合ではない。むしろ何も考えずに京極小説というジャンルを作りたいくらいだ。流石、出版社はそこをよく理解していて、京極の本に安易に「推理小説」などとレッテルを貼らない。よくみると。長編小説、とだけ銘打ってある。ようするに長さだけの分類だ。
しかし、その賢さが中途半端だとは思わないかい。例えば、彼の本を、文庫で見た殆どの人が「あの立方体の本」と騒ぐ。部厚くて、地震があってもひっくり返りそうにない姿は、それだけで笑いたくなるくらいだ。あれは長編小説というより、重量小説だろう。だから、京極作品を電車のなかで読んでいる人を見るだけで、うん、筋トレしてるな、と嬉しくなってしまう。いやあ、大脱線をしてしまった。
小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平といった、名前からは想像もできない不可思議な連中が活躍する怪異談の数々。「野鉄砲」「孤者異」「飛縁魔」「船幽霊」「死神」「老人火」という怪しげな題の中篇六編。江戸、北林、土佐の各地を「七人みさき」という言葉が結びつける。その壮大な輪のもつ魅力。怪異な事件の裏に張り巡らされた仕掛け。武士に越えられぬ一線。「御行奉為」という言葉が作る仕組み。
虚実が入り乱れ、空を飛び交う石礫が、人の命を奪う。前作『巷説百物語』は何が何だかわからないうちに読み終わってしまい、面白かったと言うよりは途方に暮れたというほうがあっていたけれど、今回の作品は楽しめた。でも、前作の記憶が全く無いのだから比較のしようも無い。この作品を読んだ感想は「これって『狂骨の夢』『魍魎の匣』『姑獲烏の夏』『鉄鼠の檻』『絡新婦の理』シリーズの江戸版じゃない」というものだった。
何か、霧の中と言うか、八幡の藪知らずのような表現不能な妖かしの世界。一度読んだら、中毒になること間違いない。喩えて言えば小説界の麻薬。季刊誌「怪」に連載されたものに書き下ろしの一編を加え、壮大な輪が閉じる。見事の一言。でも何だか騙されているような、後ろ髪を引かれる思いがする。以前、我が家の女子校に通う長女が合宿にいった時、先輩(中3)が『魍魎の匣』を読んでいたという。聞いていた夫が「その娘を紹介しろ」と言っていた、愚か者が! でも、それほどに魅力のある作家であることは間違いない。
ちなみに、このシリーズのだろうビデオを見たことがあるけれど、それはそれはオッソロしくて娘と思わず目を瞑り、そのまま見ずに終わった。いやあ、京極作品だけは安易に映像化して欲しくはないぞ。