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紙の本
極限推理コロシアム (講談社ノベルス)
著者 矢野 竜王 (著)
【メフィスト賞(第30回)】夏と冬、2つの館に強制的に集められた7人の「プレイヤー」たちに「主催者」は命じる。今から起きる殺人事件の犯人を当てよ−。生命を賭けた、過酷きわ...
極限推理コロシアム (講談社ノベルス)
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商品説明
【メフィスト賞(第30回)】夏と冬、2つの館に強制的に集められた7人の「プレイヤー」たちに「主催者」は命じる。今から起きる殺人事件の犯人を当てよ−。生命を賭けた、過酷きわまるデス・ゲームの幕が開く! 第30回メフィスト賞受賞作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
矢野 竜王
- 略歴
- 〈矢野竜王〉昭和40年東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。「極限推理コロシアム」で第30回メフィスト賞を受賞しデビュー。
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著者/著名人のレビュー
舞台は2つの館。始ま...
ジュンク堂
舞台は2つの館。始まるは殺人劇。閉じ込められた各7人の参加者の助かる道は、犯人を当てる事のみ。一日一殺。間違えば全員死亡。もう一つの館に先を越されても全員死亡。過酷極まるルールの中、生き残るのは果たして誰なのか。
紙の本
サバイバルとミステリの融合、万々歳!!
2004/04/11 23:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々に一気読みをした。生きるか死ぬか正真正銘のサバイバルゲームと、アリバイ崩し&犯人当ての本格ミステリとの見事なまでの融合。記念すべき第30回メフィスト賞に選ばれたのも頷ける。そしてもう一つ、すでに発売前にドラマ化が決定していたというのももっともなことだ。
閉塞空間においての推理ゲームには、疑心暗鬼がつきもの。誰が怪しいのか誰が信用おけそうなのか、逃げ出したくても逃げ出せない、死にたくはないが“死”は楽そうに見える……次々と突き付けられる過酷な現実が、自分以外の存在を全否定しようとする。これに完全に囚われてしまうと、もはや破滅への一途を辿るしかない。どこで妥協するか、いや、どこまで妥協できるかの線引きが、非常に困難なのだ。
ただでさえ疲労困憊の主人公を悩ませるのが、ある女性の存在だ。「生死に関わる状況で行動を共にする男女間には、恋愛感情が芽生えやすい」といわれる。これは、心理学や行動科学の分野で証明されていることだ。パニック映画で必ずといっていいほど恋愛シーンが描かれているように、本書の主人公も恋の気配を感じ取る。だがその場所は、サバイバルゲーム開催中のコロシアムに他ならない。気持ちに素直になるべきなのか、用心に用心を重ねるべきなのか、その葛藤もしっかりと描かれている。
実は、読み出して少しして、トリックは朧気ながら見えてきた。だが、どうにもハッキリしない。はやる気持ちを抑えつつ読み進め、クライマックスを迎える段になってようやくスッキリした(単に私の頭の回転が鈍いだけなのだが)。ほんの少しだけ必要だったひねりが、とても気持ち良かった。「似たような内容で全く別の作品を、もっともっと読んでみたい!」 読後、真っ先に思った感想がそれである。素直に拍手を送りたい。
紙の本
究極の推理ゲームへようこそ
2004/06/04 21:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タカザワケンジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリの楽しみは、作者が仕掛けた罠を見破ろうと、読者が知恵を絞ることにある。ミステリファンは、いつでも極上の謎を求めていて、奇抜な設定にも寛容になれる。
ある朝、目覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。殺風景な部屋の外に出ると、自分と同じように、理由がわからないまま、そこにいる6人の男女がいた。外部との通信機能は一台のパソコンだけ。しかも、そのパソコンで受け取ったメッセージは恐るべきものだった。
これからここで殺人事件が連続して起きる。その犯人を当てるのが、このゲームに参加した「プレイヤー」に課せられた使命である。しかも、こことは別に、7人の男女が同じように「プレイヤー」として連続殺人事件の推理に挑んでいる。
犯人は「プレイヤー」の中にいる。別の7人よりも先に犯人を当てる以外に、この場所から生きて帰る方法はない。しかも、殺されるのは自分たち。
まさに極限状況での「推理ゲーム」である。語り手の「僕」は損保会社に勤める平凡なサラリーマン。特殊な能力もなければ、強烈なバイタリティーもない。無色透明とでも評するほかない、ありきたりなキャラクターだ。ゆえに、読者は「僕」をアバターとしてこのゲームに「参加」することになる。
映画『CUBE』ばりの密室サスペンスであり、ベストセラーとなった『バトル・ロワイヤル』や、貴志祐介の『クリムゾンの迷宮』のような、限定された状況でのサスペンスを思い起こす向きもあるだろう。テンポの良さと展開の早さは小気味よく、ムダが一切省かれた文体も、いかにも推理ゲームにふさわしい。人間ドラマのコクや深みを求める向きには物足りなさが残るかも知れないが、ミステリの持つ、ゲーム性に着目し、読者をいかに驚かせるかに目的を絞り、そのミッションを見事に達成している。作中、「主催者」が「極上の推理ゲーム」と自画自賛するが、その言葉に偽りはない。
森博嗣、新堂冬樹、舞城王太郎ら、ユニークな個性の人気作家たちを輩出しているメフィスト賞受賞作。ミステリというジャンルを軽々と超えるような異色のエンターテインメント作品を大胆にピックアップすることで定評ある賞だが、今回もまた新鮮な驚きがある。ミステリという、ある意味で特殊な状況を可能にするジャンルだからこそできることをやる──。エンターテインメントとしてのミステリの新しいかたちを示す野心作でありながら、その語り口が淡々としているところに新鮮さを感じる。次作が待ち遠しい新人がまた1人登場した。(タカザワケンジ/bk1エディター)