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商品説明
幕末維新期の国内外の政治力学や資金の流れなどを、銀行審査マンならではの冷徹な眼で検証。「戦争に勝ったものが正しく、負けたものが悪い」という歴史観からは見えてこない真実を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
鈴木 荘一
- 略歴
- 〈鈴木荘一〉昭和23年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。日本興業銀行入行を経て、日本レストランシステム(株)勤務。現代政治経済と歴史の融合的な研究を進める歴史研究者。
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紙の本
人口に膾炙した「明治維新の伝説」のベールを引きはがす
2008/11/04 08:55
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末から明治維新までの時期を扱った小説を読んだり映画を観たりしているとしばし混乱する。あれ,こいつら「攘夷派」だったはずなのにいつの間にイギリス人と仲良く大砲を買う商談をするようになったんだ,とか,こいつの藩とこっちの藩は敵同士だったはずなのになんでこいつがここに遁げてくるんだ,とか。そう思ったことありませんか?
あれはつまり当時の人々を「勤王」か「佐幕」かとか「開国派」か「攘夷派」かとかで二つに分けようとする,こっち側のモノサシが原因の混乱なんだよね。現代の改憲論争を見ても分るように当時だっていろんな意見や利害思惑が複雑にからみ合って時勢を形作っていたはずなのだ。そしてその混乱のなかを勝ち抜いた側だけがいわゆる「正史」を遺すことができる。
本書で著者は,そうやって人口に膾炙した「明治維新の伝説」のベールを引きはがす。開国を迫る列強に対し,徳川幕府が如何に「日本政府」として責任ある行動を取ろうと努力したか,それに対して結局「勝ち組」となった「官軍」側が如何に無責任な暴論を振り回したか。教科書で習った歴史の見方が180度変わると言っていい事実が次々と明らかにされる。
「勝ち組」の筆頭,長州閥の末裔であるアベ元首相のキャッチフレーズだった「戦後レジームからの脱却」というお題目を再考するうえでも本書は重要な資料となるはずだ。脱却すべきだったのは,いやこれからでも脱却しなければならないのは「戦後レジーム」などではなく,いまだにこの国の底流に存在する「明治維新レジーム」ではないのか。
紙の本
新撰組でなく幕末の幕府の光跡
2004/09/08 22:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヘモ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで当然のように思われていた、「無能な幕府の外交能力により行き詰った日本を薩長による新政府が救った。」という“歴史的事実”を幕府側から記載しなおした意欲作である。
この本は、日本の殆どの地域から厳選された人材を抱えていた幕府には、一地方である薩摩や長州などと比較して、きわめて有能な能吏が多数存在したのかという、当たり前の事実を教えてくれた。
彼らは無理解な朝廷、野蛮な民意との板ばさみで、開国という未曾有のイベントをテロの脅威にさらされ、朝敵、賊などの汚名を覚悟でどのように成し遂げたかを、筆者独特の講談調の筆致で展開していく。幕府の役人たちは、武士道をわきまえた紳士であり、且つ洗練されていたため、外国に侮られることなく、貴族出身であるロシア提督のプチャーチンたちにも、欧州の社交界でも一級の人物であると評されるほどである。そのほかにも、品位のある日本人としての幕臣が多数紹介され、幕末の歴史を幕府側から記載している。
それに比して、いかに長州人の粗野なことか! 品位もなく、貪欲である彼らが、イギリスを利用して間違った、信義のない国づくりをしてしまったのかと、筆者でなくとも第二次大戦の遠因は彼らにあると同じ日本人として恨めしくさえ思う。特に、欧化政策のひとつ鹿鳴館の茶番は彼らの品性の無さ、無教養に基づいているのは明らかだと感じさせる。
また、会津戊辰の役に参謀として従軍した農民である世良修蔵ごときが、武士道にももとる方法で、すでに降伏している会津を攻め立てたこと、大久保利通が会津を破壊しつくしたことなど後味が悪くなるほどの悪行が記されている。それにしても、会津武士団(および家人)のなんと素晴らしい、そして理不尽な最期であることか!!
このような歴史物が出回ることは、薩長の閨閥が確実に消滅したことを示しているのだろう。今後もこのような書に出会えることを期待したい。
ただ、サブタイトルである新撰組と会津はあくまで本書の傍流であり、一考を要すると思われた。
紙の本
開国の真の主役は倒幕派ではない
2004/07/28 11:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経BP社 編集委員 木村功 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末と明治維新は日本人にとって巨大なテーマである。ここを舞台に生き、行動し、そして死んでいった者の姿は、多数の人に描かれ、多数の読者を感動させている。動乱の時代が人間の生を凝縮させ、登場人物を魅力ある人間に変えていくからだ。
本書は、薩摩藩、長州藩、土佐藩などの倒幕派が正義の英雄、改革者と見なされがちな歴史に異議を唱え、列強の干渉を巧みにかわしながら無事開国を果たした徳川幕府側こそ開国の主役、と主張する。開国論議に新たな視点を投じたノンフィクションである。
独立した米国が西進策をとりペリーが来日して日本に開国を迫るなか、イギリス、フランス、ロシア、オランダも幕府、薩摩、長州と結んだり離れたりして、近代国家に生まれ変わろうとしている日本に利権を得ようと動き回る。米国は開国と並び沖縄に海軍基地を設置することを強く望みながらも、結局南北戦争の勃発でアジアでの覇権争いから引かざるを得なかった。
イギリスはイギリス商人のトマス・グラバーを通じ長州藩と密貿易を進め、最新の兵器を提供していた。南北戦争の終結であふれ出た最新鋭の中古小銃が長州に大量に流れ込んだ。植民地を求め虎視眈々としていた列強が、自国内での戦争、政権の交代などで対日政策を変えてゆく様子や、親米の幕府にも親露、親仏と揺れたこと、薩摩、長州など国内倒幕派勢力と外国との込み入った関係、などが分かりやすく書かれている。
そして、筆者は言う。「厳しい国際情勢のなかで我が国が欧米列強の植民地にならず独立を保ち得たのは、京都守護職と新撰組が強硬な攘夷急進派を押え込んで幕府の対外協調方針を支え、無謀な対欧米戦争を回避したからである」と。この京都守護職が会津藩主、松平容保(かたもり)であり、会津藩は賊軍の汚名をきせられ維新で抹殺された唯一の藩となった。徳川親藩である越前藩の藩主松平慶永が守護職指名を逃れて、守護職を無理やり引き受けさせられた松平容保は、最後の将軍徳川慶喜を助けながら開国の難事をやり遂げたが、最後は錦の御旗を掲げる西軍に降伏する。
新撰組は、「京都御所に放火して京都守護職殺害、孝明天皇の身柄を長州に移して攘夷断行」を画策した長州藩攘夷派を池田屋で討ち、攘夷派のクーデター計画を頓挫させた。著者は、もし池田屋切り込みが無ければ開国の諸条約に勅許も得られぬまま幕府が倒れ、圧倒的な武力を持つ欧米との戦争に完敗し、日本は自らの力で近代を築くことができなかった、と主張する。
著者は、長州、薩摩に軍功で遅れをとっていた土佐藩倒幕派の板垣退助らが手柄を上げて新政府での地位を得るため、会津藩せん滅を強硬に主張し、実際に先鋒として呵責の無い攻撃をしたという。白虎隊の壊滅、会津鶴ケ城陥落など悲惨な戦闘を強いられた会津藩士、農民、商人などへの鎮魂の思いが、著者にこの本を書かせた動機の一つになっている。幕府の総帥、徳川慶喜への評価には異論が残るところだが、会津藩と新撰組に対する著者の熱い思いはよく伝わってくる。
紙の本
勝ち組が消した開国の真実
2013/04/02 23:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のんびり屋のカユ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末から開国するまでの日本を記述した歴史。
開国を前に長崎が諸外国と戦ったことは
中学校の時に教科書で習ったがその背景や
新撰組が活躍することになった理由などが
一つの物語としてよくわかった。
また開国の裏にイギリスとの坂本龍馬らによる
武器の密貿易があったことなど
「勝ち組」が知られたくない話がまとめられている。
日本人が知っておくべき一冊。
紙の本
幕末の真実を追究したら、新しい江戸と日本が見えてきた
2004/07/22 20:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
鈴木さんの書いた本、手に入ったので、昨日出張で持っていった。
新幹線の中で読み始めたら、 意外…面白い(^^;
読みふけってしまった。 これは、お勧めの本である。
読み進むほど面白くなる。
それにしても、隠された歴史の裏側をよく調べたなと。
書いてある内容は、社会経験がないと、その意味が分からないから、
一定の年頃になったら、面白く読めるような気がする。
これまでは、維新後、明治になって、成功した人たちの
立場からの幕末・明治維新物語しか目に入らなかったからか、
ものすごく新鮮な内容が多くて、社会人としては日本史が新鮮に
感じられ、かつ日本という存在に自信が湧いてくる。
あたかも戦後の日本史が、占領軍にリードされ検閲され、強制された
計画的な創られた歴史物語が、日本人にとっては暗黒の戦前だった!
ようなものである。
特に歴史喪失の戦後教育の中で、暗黒の江戸時代イメージの
ある人には、解毒剤にもなりそうです。
今、日本を振り返り原点を求める静かな潮流がありますが、筆者は
数十年の準備期間を経てライフワークとして、これに取り組まれた
そうです。