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紙の本
「お前らにできるわけがない。ざまぁみろ」
2011/02/22 00:41
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波ジュニア新書で読んだ保立氏の「平安時代」が面白かったのだけれど、ちょっと通説の方も確認したいと思って、これを読んでみる。日本通史全集のうちでも名シリーズと謳われる中公文庫の「日本の歴史」、そのなかでも特に評価の高い一冊で、どんなもんかと思ったらこれが確かに面白い。
源氏物語に登場する光源氏のモデルの一人が藤原道長だという話を枕にして、そこから道長の一代記を中心にしつつ、平安時代の歴史を語っていく。
この巻では道長による摂関政治の興隆を描いていき、道長の死で幕を閉じる。そのあいだ、要所要所に当時の日記がいかなるものだったのか、儀礼はどういうものだったのか、天皇の外戚がなぜそこまで重視されるのかを当時の婚姻制度に基づいて説明したりと、基礎的な知識の解説にも余念がない。素人としてはこうした基礎の話はとても助かる。さらに、史料の読み方の具体例なんかも説明されていて興味深い。
他の巻だとわりあい読んでいて息切れしてしまうものもあるのだけれど、この巻は道長という著名人の権力獲得のドラマという題材の強みと、それを支える叙述の隙のなさが非常に巧く噛み合って実に完成度の高い本になっている。叙述の難度としては新書クラスの印象で、読みやすく分かりやすい。
解説では、土田氏の叙述にはところどころ、日記等の信頼できる史料ではなく、根拠の怪しい歴史物語から引っ張ってきた記述があるという指摘がされている。土田氏がつねづね日記等を史料とすべきで、歴史物語を史料とすべきでないと述べていたことと矛盾しているのではないか、と解説者は述べている。たぶん面白さと一般性を重視した書き方を選んだ、ということなのだろうけれど、叙述にやや史料的瑕瑾があるのは確からしい。
とはいってもこの時代の通説的理解を得るには非常に重宝する一冊。なお、保立氏の「平安時代」で批判対象となっている通説が、まさにこの本に書いてある説だったのが面白かった。たぶんこのシリーズはそうした叩き台としても使えるシリーズなんではないかと思われる。ただ、やはり古いのは否定できないので、近年の本と対照した方がいいかと思われる。
本書で特に面白かった(というか笑ってしまった)のは、解説にある土田氏の遺言紹介のところ。酒の入った歓迎会の席上でやおら居住まいを正して、二人の学生に「俺が死んだら紙に書いて国史の研究室に貼っておけ」といって述べたのが以下の「遺言」だという。
一、現代人の心で古代のことを考えてはいけない。
二、古代のことは、古代の人の心にかえって考えなくてはならない。
三、俺は長い間そうしようと思ってやってきたが、結局駄目だった。
お前らにできるわけがない。ざまぁみろ。
「ざまぁみろ」が素敵すぎる。かなり笑ってしまったのだけれど、「俺は道長なんかと酒を飲みたくない」と言っていたという話とか、本書で歴史物語を平気で史料にしていたこととかあわせて、この土田氏はずいぶん人を食った人物だったようだ。
Close to the Wall
紙の本
平安時代の生活と思想が、様々な史料から読み解かれていく、興味深い一冊です!
2020/07/20 08:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中公文庫から刊行されている「日本の歴史」シリーズ全26巻の第5巻目です。副標題に「王朝の貴族」とありますように、平安時代の貴族の生活を中心に解説されています。同書を読まれることで、源氏物語はどのような世界から生まれたのか?藤原道長はどんな布石によって天皇家外戚の地位を完成したのか?といった素朴な疑問が解けるとともに、洗練の極みを誇りながら権勢の争いに明け暮れた平安貴族の生活と思想がよくわかります。同書の内容構成は、「源氏物語の世界」、「安和の変」、「道長の出現」、「家族と外戚」、「身分と昇進」、「中宮彰子」、「一条天皇の宮廷」、「清少納言と紫式部」、「儀式の世界」、「日記を書く人々」となっています。
紙の本
日記を物してくれた人々、それを伝えてくれた人々
2023/01/09 02:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
中央公論の「日本の歴史」叢書の第五分冊が
本書です。
藤原道長と源氏物語の時代が、その主な内容。
紫式部も清少納言も当然出てきます。