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紙の本
ガルガンチュアとパンタグリュエル 1 ガルガンチュア (ちくま文庫)
【読売文学賞研究・翻訳賞(第64回)】【日仏翻訳文学賞(第18回)】【「TRC MARC」の商品解説】
ガルガンチュアとパンタグリュエル 1 ガルガンチュア (ちくま文庫)
ガルガンチュア ガルガンチュアとパンタグリュエル1
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人文主義の大暴れ
2011/05/03 21:04
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルネサンス文学なんて言い方をすると、なんだかおどろおどろしいのだが、民衆パワーの爆発なのだと思えば、その陽気さ、破天荒さ、それに反権力志向などのほとばしりは、さもありなんという気がする「ガルガンチュアとパンタグリュエル」シリーズ。
古今の歴史、思想を下敷きにして、知謀とファンタスティックな巨体を持つガルガンチュアの大冒険活劇、成長劇の体裁でありつつ、大笑い、下品さがてんこ盛りとは、まさに民衆を湧かす要素に満ちている。ややこしいのは、この筑摩文庫版シリーズの1巻に当てられている「ガルガンチュア」が、その息子の物語である2巻「パンタグリュエル」の後に書かれたという事実だ。少なくとも戦争というものへの風刺は、この「ガルガンチュア」で深下されているように見えて、どちらを先に読むべきかが悩ましい。
実はまず、作者不詳の「ガルガンチュア大年代記」という謎の小冊子があり、その続編として「パンタグリュエル」を書き、次に時代を遡ってガルガンチュアの物語もまた書いてしまったということだそうだ。(年代記は2巻に収録されている)
荒唐無稽さという点では息子「パンタグリュエル」の活躍の方がハチャメチャ度合いが大きいようだし、そこを敢えて(たぶん)抑えめに書いた「ガルガンチュア」を後から読むのが味わい深かったような気もする。
ガルガンチュアは、生まれたときから桁外れで、大きくて、やることなすことがエログロナンセンスなのだが、勉学のためにパリへ出て、しかし父の領地で戦争が起きたために帰って来て、敵を撃退する。この巨人具合がまたふざけていて、ある描写を読むと2、3メートルぐらいの長身なのかと思えば、ある場面では50メートルくらいのゴジラ級のようでもある。つまりこれらもでたらめなのだ。服のサイズがでたらめ、飲んだワインや、食べたものの量がでたらめ、兵士の数がでたらめ。登場人物も作者も、いつも飲んだくれて、放言、放屁のし邦題なのである。
そんなにして笑いをとりながら、当時の新しい思想や宗教改革の芽を弾圧しようとする、権力や教会、それらの腐敗についてのキビしい風刺を紛れ込ませる。そこにはエラスムス「痴愚神礼賛」(というより「戦争は体験しない者にこそ快し」)など著作の影響が大きく有るらしく、またその思想を継承していくことを使命としているようにさえ感じられる。それが大人気を博し、次々と続編も書かれ、偽物も出回る。新しい時代の息吹きでもあり、笑い=不合理というものが堂々たる論理の手法として生きてもいる。僕もつい彼らと同じ「のどからから人」になって、ワインをがぶ飲みしたくなってしまう。
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ラブレーが気になったので
2019/05/08 15:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:undecane - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に述べておくと、ちくま版はあまりお勧めしません。というのも、ガルガンチュア以降の2~5巻がなかなか手に入らないからです(新品は多分無理、中古でも・・・)。
そのため全5巻揃えるつもりのある人は岩波版の方をお勧めします。
内容としては、・・・。まぁ、ラブレーだな。
フランス文学と云えばラブレー、という人も多いはず(多分)。
でも、高尚な感じがまったくないんだよね。