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紙の本
予習本として最適
2006/04/19 08:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松井高志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「爆笑派」として幅広い層に人気の高い権太楼師による、安価でしかも気の利いた落語案内本である。50席の有名な噺を季節ごとに章分けし、梗概+蘊蓄+演者としての評釈が述べられる。この、演者の「腹の中」を読めるあたりが面白い。他の本だと、名人の芸談になってしまうか、評論家の美学が延々とご披露されてしまうところだが、あくまでも客と同じ、生活者としての今の噺家さんの高座での「現場感覚」が簡潔に分かる。そこがとても良い。(寄席でなく)落語会などでは、あらかじめ誰が何を演るかが分かっていることがある。それも善し悪しだろうが、そうした場合、あらかじめ「聞きどころ」をしぼっておくためには、こうした本がとても役に立つのではないだろうか。
特に、「鼠穴」に出てくる、弟に三文しか事業資金を貸さないケチな兄貴の性根を、本当は嫌な奴なんじゃないか、と筆者が述べているのは、個人的にほとんど共感した。落語に出てくる人物で、後になって「俺はお前のためを思って、あのとき五十両出せるのに、わざわざたった三文やって性根をためしたのだ」などと言う奴は、根性が曲がっているに決まっていると思う。私はこの兄貴が嫌いだ。今でもこういう目上の人間っているよね、と思いながら大抵この噺を聞くことになる。だからこの人をいかに嫌われないように造型するかどうかが、噺家の力量にかかっているのである。