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紙の本
誠実な人生
2016/12/07 05:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
101歳まで生きた日本画家奥村土牛が数えの86歳のときの自伝である。
土牛は両親が結婚してから12年めになる、父が28歳、母が27歳のときの子で、この前に1人母体内で、姉は1歳で亡くなっていて、実質の長子だった。
それゆえ、
「母は、せめてこの子だけは丈夫に育てたい一年ですべてを私にかけ、常に濃やかな愛情を注ぎ、深い注意を払ってくれた」
母は83歳で亡くなるまで、息子がどんな困った状況にあっても、不安を微塵も表さず、慈愛に満ちた表情で見守ってくれたという。
病弱な子供時代、なにもかも焼き尽くされた関東大震災、父の病気、妹の死、自分の病気、戦時中の空襲で逃げ回る生活の中での母の死、色々な苦難を誠実な態度で生き抜いてきた奥村土牛の絵には、
その人生観が表れている。
西洋絵画のような華やかさはないが、いつまでも鑑賞していたい日本画の巨匠、その語る人生は、私に静かに自分の生き方について考え直させるものだった。