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商品説明
恋愛には物語がある。初めて異性を意識しはじめたとき、そして別れを予感したとき…。さまざまな断片から生まれるストーリーを、現在もっとも注目を集める6人の男性作家たちが紡ぐ、書き下ろし恋愛アンソロジー。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
透明ポーラーベア | 伊坂幸太郎 著 | 7-57 |
---|---|---|
魔法のボタン | 石田衣良 著 | 59-89 |
卒業写真 | 市川拓司 著 | 91-127 |
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紙の本
やっぱ恋愛小説でしょ、それもオジサンやオバサン作家が書いたんじゃなくて若い人が書いた薄汚くないお話。どれを読んでも満足です
2005/12/03 20:55
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ともかく洒落たデザインの本です。真っ白いカバーにあいた I LOVE YOU の穴から本体表紙の色が覗いているんですが、それがいかにもイタリアンといった暖かみのある多分6色の色で、それがシマになっていて心地よい。でも、もっと素適なのが本を開いたときの扉ですね。最初は見逃したんですが、今こうして手にして確認して、マジ?っていいたくなるような粋な技を使ってます。これって本邦初演?
収められているのは、6篇のラヴストーリー。先陣を切るのが、伊坂幸太郎「透明ポーラーベア」、次が石田衣良「魔法のボタン」、以下、市川拓司「卒業写真」、中田永一「百瀬、こっちを向いて」、中村航「突き抜けろ」、トリが本多孝好「Sidewalk Talk」です。で、各編の扉には色紙が使ってあって、それが本自体の横シマ(あのカバーから覗いている)の色とリンクしています。こんな素適なカバーデザインは、やっぱり鈴木成一デザイン室でした。
ちなみに、カバー表記は、表と背は全てアルファベット、これがまた実に格好いいです。デザインの本、っていっても通りますね。さすが鈴木さんです、はい。
お話は、どれも今流行の恋愛小説。でも、作者が若いせいで老人の影なんてどこにもありません。だから、不倫がない。ま、二股はあるんですが、汚らしくない、それがとても清々しいです。なんていうか二ノ宮知子の『のだめカンタービレ』読んでいるような感じですね。感動っていうよりは、微温的で、それでいて、うん、そうだったよ、きっとそうするよ、あ、そんな、っていう共感を誘います。
22歳の主人公が動物園で出会ったのは、姉の元彼氏、という伊坂の小説は、予想外の展開をします。ミステリタッチを上手く取り入れて、納得の一作。25歳の男が自分の悩みを打ち明ける、そんなありふれた展開が陳腐にならない石田のファンタジー風ラヴロマンス。24歳の私に声をかけてきたのは中学時代の同級生、顔も思い出せない相手との探りあいが面白い。この人が『いま、会いにゆきます』書いた人だったんだ。
美形同士のカップルの恋を成就させるための手伝いをさせられることになった高校生の話は、現実にはありえない物語なんですが、違和感なく読めます、中田は今まで読んだことがなかっただけに興味深い。週に三回電話をかけることを決まりにしている男の、奇妙な大学外生活を描く中村航は、その遠回りが面白い。そして、結婚をして5年、慣れないレストランで食事をする二人の心を男の側から描く本多の話には、正直苛つかされますが、これがまた妙にリアル。
とまあ、外身も中身も楽しんでしまいました。いずれ劣らぬ実力は揃いですが、深刻味では伊坂と本多、軽妙さでは市川、中田、中村でしょうか。石田については、私の中に偏見があって、一作読んで読まなくてもいい作家に分類してしまったのですが、この話で見直しました。メンバー唯一の直木賞作家なので、達者なのは当然でしょう。
というわけで、男女のことに悩み始めた年頃の長女に格好の本として、早速読了後、渡しました。ま、こればかりは教科書読むんじゃなくて実技が一番なんですけどね、とりあえずイメージトレーニング、はい。
紙の本
愛
2006/05/28 13:48
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かっし〜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
良かったです。何がって、愛し方が色々あるな〜って。この本はお分かりの通り、アンソロジーなんですが、それぞれの言葉の使い方、人間の描き方、考え方が違っていて、「自分はこの主人公と同じ愛し方をする!」一方では、「こんな愛し方をされたい!」またまた、「あ〜なるほどね」、「え、マジで!?」と思っちゃいます。
伊坂幸太郎さんの部分では、3行目で引っかかりました。「格好悪くいえば、運命的な」の部分。運命的ってかっこ悪いの??と。最後まで読むと、あ、そういうことか。と、納得するんです。3行目でひきつけてくれる、とゆうのも魅力ではないかと思います。
私のお気に入りは、本多孝好さん、中村航さんです。お二方とも人間味あふれる言葉使いをされます。オススメです。この後に本多さんの「moment」読みました。こっちも良いです。
昨今の有名著者さん勢ぞろいですので、是非、読んでみてください!
紙の本
本当に人間は、いろいろ
2011/04/23 16:11
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ルーティーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
I LOVE YOU。
なんとも気恥ずかしいタイトルだ。
普段恋愛小説は好んで読まないが、日本人には馴染みの無い一種のきまりの悪さに興味を持ち、この本を手に取った。名の知れた6人の作家の短篇集らしい。しかも全員、男性作家である。
この言葉をこれらの男性が使った後、どんな照れた顔を見せるんだろう、とニヤニヤしながら覗くような、半分冷やかしの気持ちで読んだ。
男性というものは、女性よりもロマンチストだ。読み終え本を閉じながらそう思った。なんて純粋で、繊細なんだろう。女性からしてみれば、単純であるからして面倒なのであるが、だからこそいとおしい。
それぞれの作家の視点の違いがとても面白い。方向性が大分違うので合う合わないがあると思うが、どれも読みやすく、短い話なのでサラっと読めてしまう。気合を入れたディナーというよりは、軽口のランチ、もしくはちょっと贅沢な3時のおやつという感覚だった。
特に印象に残ったのは、伊坂幸太郎さんの『透明ポーラーベア』、中田永一さんの『百瀬、こっちを向いて』の二作。
伊坂さんはあの独自の文章とストーリーで読み手の背中を押す。何より目の付け所がさすが、と言ったところ。後者の作品は人物設定のせいかどうしてもアニメ風のイメージが沸いてしまうが、それはそれで魅力的で、ストーリーの運びや終わり方にもワクワクさせられる。
ひとつの作品の中で動くそれぞれのキャラクターと、それらが作り出す空気感や風景。そして、それを描きだすひとりひとりの著者。
それを読む私。
一言にI love youといっても何重に広がる色がある。
たまに甘い物を食べるのも、悪くないなと思えた一冊だった。