紙の本
家族の肖像
2005/09/23 18:35
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある家族の物語だ。
構成員は、73歳の祖父、42歳の母、27歳の長男、17歳の長女、14歳の長男。
この須藤家には複雑な事情がある。
会社でリストラされた父親が蒸発してしまったのだ。
残された家族は、「ギリギリのところで均衡を保って家族している」状態で、本書は、その不安定感を5人それぞれの視点から描いた短編集だ。
この構成が面白い。
初めは、14歳の次男の視点から描かれた短編でこの家族のだいたいの様子が分かり、次の17歳の長女が主人公の短編で意外な事実が分かり、さらに次の27歳の長男が主人公の短編で…、というふうに章を追うごとにこの家族が抱える秘密が明かされていく。
同じ家族でも、一人一人全く違うふうに自分の家族のことを考えていることも分かる。
実際そうなのだろう。一緒に暮らしていたとしても、全く同じ見方をもって日々生活している家族なんていないのだろう。
27歳の長男が実の母親に「何を考えてるかなんて、分かる筈がないでしょ。何をやっているか見えてればいいと思うよ」と言われるが、まさにその通り。
この母親には「家族といっても色んなパターンがある」というセリフもあるが、本書を通じて著者が伝えたいのはこの一言に尽きるのではないかと思った。
家族のことで悩んだことがない人なんていないと思うが、本書を読むと、肩の力が抜けるというか、前向きな気持ちになれることは確かだ。
紙の本
同じタイミング?
2024/04/27 11:02
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれも自分の中で問題を抱えてた家族が
ほぼ同じタイミングで、その悩みをなんとなく消化して。
肝心の父親の自己描写は無いのね。
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全体的に冷めた感じが漂うけど、家族それぞれに悩みを持ってて、それぞれの視点で各章かかれてる本。イカツイ装丁に惹かれました笑
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ある意味リアルなこの年頃の少年像は共感できる反面、個人的にはそれ以上にちょっと嫌な感じでした。それ以外の家族では同年代のためか長男の章が面白かったです。
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信じれば裏切られるし。でも、どこかで信じていたい、家族も友達も。厭世「フレーバー」なだけ。迷いを抱えながら、奴等と一緒に駆け抜けろ!
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物語は14歳の次男・ケイ、17歳の長女・カナ、27歳の長男・リュウ、42歳の母・薫、73歳の祖父・新造という順番で、5人それぞれの視点から描かれて進んで行きます。この章の配置の仕方が何とも面白いですね。
5人が語って行く中で次第にこの家族の謎が明かされて行ったり、父親の人となりが分かって行ったり、と物語の流れが良いです。それに加え、章を追うごとにそれぞれが少しずつですが前向きに成長して行っている、と言うか確実に前進しているのが分かるんです。う〜ん、なかなか上手い。
同じ屋根の下に住んでいる家族であっても、それぞれが見て捉えている「家族」や「父親」の印象が、こんなにも違うものなんだなぁという面白さもあります。それは年齢の違いであったり、立場の違いであったりする訳ですが。で、その失踪した父親、ものすごい強烈キャラのニオイがプンプンです(笑)この父親から見る「家族」というものも見てみたい気がします。
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2006.9.読了。 家族それぞれの視点から語る家族小説。だけどこの家族は、血のつながりが薄い。ほとんど繋がっていないと言っていいいほど、薄い。他人のような家族の中が少しづつまとまりつつある予感がして、血が繋がっていようと繋がってなかろうと家族ってそんなもんだと思う。ってか、こんなオヤジが家族だったら、迷惑や!
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父親の家出をきっかけに、【長男】→家長意識に突如目覚める【長女】→連日の深夜帰宅【次男】→高校進学やめます宣言【母親】→酒浸り&家事放棄【祖父】→ボケが進行。それぞれの胸の内は…。
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リストラされた父親が失踪したことで変化する家族関係、目覚める自立心を面白おかしく描いています。
クドカンのドラマを見ているような感じの通快感がありました。
そんなに長くないし、読みやすい作品です。
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今の世の中いろいろあるし、家族でもわからないことがあるけれど、意外なきっかけでいいほうにいくのかも
娘?の話がよかった
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久し振りに読めた長編がこれ。
この方の文体が好きみたいです。
みんなやりきれない思いを持ちながらも
なんとなくまとまっていく家族の様子。
前提はびっくりするほどありえないと思うんだけれど、
でも、ありえないと言い切れないこと。
不思議な空気です(笑)
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変わった父(夫)がリストラされ失踪し、それぞれ複雑な思いを持った須藤家の話。
末っ子ケイ、長女カナ、長男リュウ、妻、爺、それぞれが主人公となって心境を描いた各話に分かれている。
いままでばらばらだった家族が、それぞれ小さな出来事のおかげからか、徐々にまとまっていく。
このそれぞれの立場で思いが語られていく系好きで、割と面白くて後味も悪くなかったんだけど・・・まあ。
途中で「じいちゃん実は惚けてないんじゃね?」とか読み入れてたりしたけどやっぱり惚けてて
「結局親父ドコいったんだよ!?」とかまあまあいろいろ。
他の有名作家さんとかのレビュー見てなんか全然自分と違うとこ見てて「ああ〜そいう見方ですか〜」とか思って
おれ読み方間違ってんのかなー・・・ってちょっとショック。
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この本は、新聞で書店員が紹介する本ということで知って読んでみた。
ある時、須藤家の父がリストラになりその後ある時家を出ていってしまう。残された妻と父方の祖父(ちょっとボケている)、前妻の息子、現妻との間の娘と息子が残される。
それぞれの人間が、それぞれ父や家族に対して思うことをそれぞれの章の別けて書かれている。
それぞれのタイトルはそれぞれの人間の年齢。
前妻の子がいたし、ボケた祖父がいたり家族構成は複雑だが、やはり家族は1番身近な人間なだけに会話は大事なんだと思う。
とりたててどこが1番おもしろかったかと聞かれたら特別ないし、
まだ作者もこれが2作目らしく粗削りの所もあるが、こういう切り口もあるのかと思ったりもした。
最近、女性の作家を読む機会が続いたので、男性の作家はまた漂っている空気感が違い、それはそれでおもしろかった。
※2006年2月20日 読み終わる
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父親がリストラされ、失踪してしまって、残された家族の物語。
爺・母・兄・妹・弟がそれぞれ勝手なようでいても、いろいろと考えていて、でも、なんか照れくさくて素直になれないみたいな感じ。
必要以上に暗くならずに、なんとかなるさって思えるトコがイイ。
飯を食ってばかりいるボケ爺が、なんともいい味出してた。
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入れるところもあるけれど、少し設定がガチャガチャし過ぎ。
爺さんのくだりとか面白いけど、う~~ん。