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戦争と平和 2 (岩波文庫)
アウステルリッツ戦で負傷し行方不明だったアンドレイが帰還した夜、妻リーザは男子を出産し死亡する。ピエールは愛のない結婚をして妻の不貞で決闘へ。ロストフ家の恋する若者たちは...
戦争と平和 2 (岩波文庫)
戦争と平和 (二)
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商品説明
アウステルリッツ戦で負傷し行方不明だったアンドレイが帰還した夜、妻リーザは男子を出産し死亡する。ピエールは愛のない結婚をして妻の不貞で決闘へ。ロストフ家の恋する若者たちは…様々な人生の一方でナポレオンはロシアを屈辱の講和へ導く。【「BOOK」データベースの商品解説】
目次
- 第 一 部(続き)
- 第 三 篇
- コラム8 ロシアとイギリス
- 第 二 部
- 第 一 篇
- コラム9 ロシア人の食事
- コラム10 決 闘
- コラム11 ギャンブル
- コラム12 ロシアの学校
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紙の本
人物の一人ひとりが丁寧に書き分けられていくので長さを感じさせない
2006/05/20 16:04
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トルストイの、ナポレオン戦争を描いた不朽の大作の新訳の第二巻。
全6巻の内この第二巻には第一部の最後三篇と二部の一、二篇を収録。第一部三篇では、周囲の流れに押されて結婚を決めるピエール、皇帝に熱狂するニコライ、アウステルリッツの戦いで負傷し、捕虜となるアンドレイなど、登場人物の変遷がいくつか描かれる。ロシア軍側からみた戦闘の情景は臨場感があり、映画をみるようである。第二部に入ると、休暇で帰郷した兵士たちの日常、その中で変わっていく心境などが綴られる。フランスとの講和で「昨日の敵」と手を携えている皇帝や軍の人々などもニコライの眼を通して描かれていく。
第二部に入り、「何のために生きるんだ、そして、おれは一体何物だ?」と悩むピエールの言葉や、帰郷した日に妻を亡くし、自らも戦場で死を覗き込んだことで「何が正しくて、なにが正しくないかーそれは人間には判断できない」「僕を信じさせるのはそんなものじゃなくて、生と死だ。」というアンドレイの言葉。トルストイの問い続けたことがこの物語でもこのあたりで言葉の形をとって現われてきた、というところだろうか。
数人の登場人物の心の変化を丁寧に書き分け、書き込んであるところはまさに不朽の名作。それぞれに感情を移入し、「なぜそう思ってしまうのか」「どうなのだろうか」と共に心を揺らしてしまう。一人ひとりを丁寧に描いていくので、この物語はとても長いものになったのだろう。しかし、場面場面では少しも長さは感じさせない。
新訳版の工夫については第一巻の書評にも書いたが、登場人物の名前を簡単な表記に統一したことで、10人余りの主要な登場人物の混乱は少なくなったことを感じた。原文での書き分けに込められたニュアンスはなくなるかもしれないが、ストーリーを追いやすくなったことは確かだと思う。また、この巻には人生に悩むピエールがフリーメーソンに入会するところの「コラム:フリーメーソン」やアンドレイの家に出入しマリアが世話をしているという流浪の宗教者「神の人」についてのコラムがあるが、これらは状況の理解を助ける、新しい工夫が活かされた部分だといえるだろう。 「ロシアの学校」や「ロシア人の食事」のコラムは、本文との繋がりがあまりみえなかったのが残念。「ロシア人の食事」の方は、訳者自身が垣間見えてくる面白さはあったのだが。