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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.5
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/276p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-16-368170-1
紙の本
遺伝子が解く!万世一系のひみつ
著者 竹内 久美子 (著)
出生率低下対策、腰のくびれの魅力、ペットと飼い主の相似…。世間を騒がすあの大問題から、幼き頃より抱き続けたあの疑問まで。地上に生きるものたちすべての真実を、動物行動学が解...
遺伝子が解く!万世一系のひみつ
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商品説明
出生率低下対策、腰のくびれの魅力、ペットと飼い主の相似…。世間を騒がすあの大問題から、幼き頃より抱き続けたあの疑問まで。地上に生きるものたちすべての真実を、動物行動学が解き明かす!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
竹内 久美子
- 略歴
- 〈竹内久美子〉1956年生まれ。京都大学理学部卒業後、同大学院博士課程を経て著述業に。専攻は動物行動学。著書に「男と女の進化論」「小さな悪魔の背中の窪み」「シンメトリーな男」など。
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紙の本
潜在的な天皇を求めて──全国一斉のY染色体調査!?
2006/08/11 15:36
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るりぴーのママ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「万世一系のひみつ」というタイトルのインパクトに引かれて、思わず手にした一冊だが、読んでびっくり、「へぇー」「なるほど」と、「眼からウロコ」で驚き、納得させられることばかり。
本書に取り上げられている、50余りの疑問の中で最も印象に残ったのは、やはり、タイトルにもなっている「皇室」のこと。
今、皇室と言えば、まず頭に浮かぶのが、お世継ぎ問題だろう。紀子様の御懐妊発表を機に、一旦は沈静化したが、その決着が気になるのは、誰しも同じはず。
この問題について、私自身は、男女同権の現代、天皇だけ男に限ることもないだろう、という理由で、男女どちらが天皇になってもいい、と考えていた。ところがどっこい、筆者の意見は180度異なっていた。
つまり、皇位継承を遺伝子の観点からみると、「男系の男子でつなぐ。それは、男にしか存在しない性染色体、Yをほとんどそのままの状態で代々、男から男へと受け継がせる──そういう極めて重大な意味がある」ということになり、たとえ愛子さまが皇位に就かれたとしても、その結婚相手としては、皇室に受け継がれてきたY遺伝子を持つ男子が望ましい、だから、その皇室タイプのY遺伝子を持つ男子を求めて、「全国一斉のY染色体調査!?」なるものを行なってはどうか、という突飛な案まで浮上するのだ。
科学者ってとんでもないことを考えるのね、でも、ちょっと面白いかも‥‥というのが、私の正直な感想だ。
この「女帝論争」の他にも、「腰のくびれはなぜステキ?」「石を大事にする生き物は?」「あなたと私のご先祖様は‥‥‥」「イヴとアダムはどこにいた」「人が犬に似る? 犬が人に似る?」などなど、話題になる疑問をみるだけでも、どんな回答になるのかと好奇心をかき立てられて、興味深い。筆者は、その一つ一つについて、わかりやすく丁寧に、かつ面白く解説してくれているし、こうして全体が一問一答式に細分化されているので、興味を引かれた項目から読んでいくことができて、とても読みやすかった。
また、一答ごとに添えられている、独特の作風の寄藤文平氏のイラストも、アジがあって良かった。
宮本輝や宮部みゆきといった、ストーリー性のある物語が大好きな私でも、気軽に楽しく読めた理系の読み物、という意味で、総合的に見て、かなりお買い得感のある、うれしい一冊である。
紙の本
男系男子でつないでいくのは「すかすかのY染色体」ゆえですか?
2006/08/27 10:05
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「動物行動学から見れば、すべてが違って見えてくる。女系天皇論もタケウチさんにおまかせ!」との帯の言葉にひかれて読んでみました。「遺伝子が解く!」シリーズというのでしょうか、読者の質問に生物学の観点から答えていく週刊誌に掲載された連載をまとめたもので、「万世一系のひみつ」に関係するのはごく一部です。
タケウチさん(帯にもカタカナになっていたからそれに従っておきます)はこのような「生物学の知識で素朴な疑問を説明する」記事をたくさん書いてこられています。今回のタイトルのような話題にも、科学的に解明されていることで説明できることを広めてくださることは大変よいことだと思います。ただまあ、シリーズも長くなりますと、無理やりなんでも利己的な遺伝子、そのための性行動に結びつけるのはつらいのでは、と思われるものも出てきて、ちょっと食傷気味になりそうではありました。フロイト博士への評価みたいですね。大事なことがかすんでしまう、というのでしょうか。あるひとつの原理でなんでも説明ができれば確かにとても気持ちはすっきりするのでしょうが、現実はそうでもないものなので。。。
で、「万世一系のひみつ」ですが、「女帝論争、ここに決着!?」と題する週刊誌掲載文と、「(番外編)女帝論争、もう一考」新聞掲載文、「(番外編その2)女帝論争、もう一言だけ」という月刊誌掲載文の3つが主な関係する文章。この3作を通じて、「男性だけが持っているY染色体が家系を明らかにつなぐものとして実体がある」ことを説明します。確かに、変化が少なく、確実に世代を追いかけられると言えば、ヒトならば男性のY染色体、ということになるでしょうか。
さらにタケウチさんは、いざとなれば「皇室タイプのY染色体」を捜しては、と提案。現在の科学ではそれも可能でしょう。しかし、「イブとアダムはどこにいた」という別の連載記事にはこうも書かれています:「ちなみに現在の皇室が何にこだわっているのかといえば、Y染色体。同じYをもった個体(もちろん男)で家系をつなごうとしているのです。ところがこのY染色体、他の染色体と比べて著しく小さいうえに、情報量も少ない、すかすかの存在なのです(p128)」。このあたり、新聞と週刊誌にスポット的に載った記事だけを読んだ読者と、週刊誌連載を読んだ人では違う印象に到達してしまう感じがします。意見の著し方も難しいものですね。
すかすかでも、なにか大事なものがまだ知られずY染色体にのっているのかもしれません。それも今後解明される可能性もあるでしょう。でも、そのために解析チームを作ろう、なんてことになったら、事件を起こして名前を変えた、宗祖の血液を研究するために研究所をもっていた宗教団体と同じになってしまう気がします。また、科学とはそいういものであるので、解明されてわかった遺伝子が必ずしも優れた形質に結びつかない場合も十分考えられます。その場合にはどうしましょうか。いや、そもそも遺伝子の機能の「優劣」を判断することができるのでしょうか・・・?
タケウチさんは「男系」である必要についても行動学的に言及されていますが、父系集団だと結束が本当に強いのか(追い出されるオスもある)など、他のコラムでもたまに見られる「少々強引な論法では?」と思える部分があり、素直に納得するにはまだ遠い説明のようです。
「万世一系のひみつ」については、遺伝子でわかったことだけ、生物学的に考えられることだけ、では解明できない部分が多すぎるということがこの本でわかった気がします。「何故、続いている家系であることが重要なのか」など、考えるべき重要なことをいろいろな方面の方が、いろいろな知識で、考えで、誰でもわかるような説明をして欲しいと思います。「あたりまえ」でかたづけてしまわずに。