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紙の本
フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書 ヴィジュアル版)
著者 朽木 ゆり子 (著)
日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ17世紀オランダの画家・フェルメール。欧米各都市の美術館に現存する全30余枚を丹念に見て歩き、作品の魅力や絵が辿った経路、真贋論争などを、新...
フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書 ヴィジュアル版)
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商品説明
日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ17世紀オランダの画家・フェルメール。欧米各都市の美術館に現存する全30余枚を丹念に見て歩き、作品の魅力や絵が辿った経路、真贋論争などを、新情報を整理しながら紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
絵画の宝石が待っている。37点全点カラー収録!
日本でもゴッホと並ぶ人気のフェルメール。その作品は30数点と少なく、そのすべてを欧米現地に訪ねる旅が成立する。『盗まれたフェルメール』の著者が全点踏破の野望を抱いて旅に出た。
【商品解説】
著者紹介
朽木 ゆり子
- 略歴
- 〈朽木ゆり子〉東京生まれ。ジャーナリスト。コロンビア大学大学院政治学科博士課程に学ぶ。『日本版エスクァイア』誌副編集長を務めた。著書に「盗まれたフェルメール」「パルテノン・スキャンダル」など。
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紙の本
絵画の居場所
2007/05/23 12:59
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェルメール・ファンなら誰でもやってみたい
「フェルメールのすべての絵を見て歩く旅」。
なにしろ三十数点ほどしか描かず、
43歳の若さで亡くなった画家なのだから。
その細やかなタッチで光と静寂と物語を
小さなキャンバスに閉じ込めてしまった画家は
17世紀の生活風俗を美しく描き出している。
見ている者の心をしんと落ち着かせる
不思議な力と魅力にあふれている。
著者の朽木ゆり子はすでに『盗まれたフェルメール』
『謎解きフェルメール』の著作のあるジャーナリスト。
この『フェルメール全点踏破の旅』では
都市ごとにフェルメールの絵画について書かれているので
その絵画の来歴が重要なポイントになる。
重ねて、その美術館の特徴や都市の歴史といったものからも
フェルメールを分析していて興味深い。
ナチスやロシアによって移動させられた履歴、
アメリカの黄金時代に大西洋を渡った経緯など
絵画の居場所について考えさせられた。
この旅では運よく個人コレクターで門外不出の
『ヴァージナルの前に座る若い女』を見ることができ
これはもう数年、展覧会にも出てこないと思われるので
とても貴重なルポになっている。
フェルメールの作風も他者の著作からの引用を
丁寧に解説していて誠実。
フェルメール初心者もわかりやすいルポになっている。
紙の本
これ一冊読むのと読まないのとでは、フェルメールの作品の見方が随分違ってくるだろう
2011/05/17 23:15
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チルネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずフェルメールは非常に寡作で、一般的に現存する作品は37点だと言われている。その中でも真作か贋作かと意見が分かれていたりもするので、フェルメール作品は34点だとか30数点だとも言われており、真相は竹林の中だ。だが絵画についてまだまだ浅学な僕にもここには持論があって、僕の中では〔フルートを持つ女〕と〔聖プラクセデス〕は疑わしいのではないかと勝手に勘ぐっている(笑)まず〔聖プラクセデス〕はフェルメールらしさが全く感じれない。宗教画のようなので初期の作品だろうけど、それにしてもタッチやフェルメールの雰囲気が皆無な気がする。〔フルートを持つ女〕は人物像やその佇まいなんかはフェルメールっぽいといえばそう見えるのだが、こんな構図でこんな光の使い方をするのかな?と思ってしまう。本書に書いてあった「フェルメールが描きはじめたが、彼の死後力の劣った画家、おそらくヤン・クーレンビアが仕上げたのだろう」というようなほかの画家が仕上げた説ならなんとなくではあるが納得できるのだが。。。
おっと、少し本書の紹介から脱線してしまったけど(^^;)、この著者・朽木ゆり子はフェルメールないし絵画に関する専門家ではなく、どうやら好きが高じてフェルメールを研究し始めたようで、本来はジャーナリストや翻訳家としての面が大きいようだ。だが、本書は『フェルメール 全点踏破の旅』というだけあって、フェルメール全作品を網羅している。専門家ではないのでフェルメールの専門家や絵画評論家、他のフェルメールに関する著作などに頼って記述されている部分も大きいが、それぞれの展示場所やその特性、その絵の寓意、そしてジャーナリスティックな面白い持論などが書かれていて、フェルメールの絵を見る前にこれ一冊だけでも読んでおくと見方が随分変わるだろうなと思う。
例えば〔デルフトの眺望〕をとってみると、この作品はカメラ・オブスクーラ(暗箱)の助けを借りて描かれていると推測されているが、風景画レンズに写ったままを描写をしたわけではないと言われていたりする。また、フェルメールは建物の高さや重なりを微妙に操作して、空と水の間に細い帯のように建築物が並んでいる効果を出した。さらにX線写真から修正箇所も判明していて、フェルメールは写実的に描写したのではないということがわかるのである。写実的なようでいて写実的でない。それでこそフェルメールだ。
また、この絵をあのプルーストも絶賛しており、「世界でもっとも美しい絵」との賞賛を送った上に、『失われた時を求めて』で登場人物の小説家に「小さな黄色い壁の絵の具をいくつも積み上げて、文章(フレーズ)そのものを価値あるものにしなければいけなかったんだ」というセリフを言わせており、その後この登場人物はある言葉を残して展覧会場で発作を起こし死んでしまうのだ。プルーストは病床からこの展覧会を見に行きその後『失われた時を求めて』を書いて他界したというから、この登場人物も行動はプルーストのフェルメールに対する賞賛以外の何物でもないだろう。
だが、僕が個人的に好きなフェルメールの絵というものはもう確固たる地位を僕の中で築いてしまっている。実物は見たことないが、ダヴィンチやラトゥールやモローなどといった好きな画家の中でも、特に気に入ってるフェルメールの作品が2点あるのだ。それは〔地理学者〕と〔天文学者〕である。フェルメールといえばやはりトローニーである〔真珠の耳飾の少女〕とか〔牛乳を注ぐ女〕など、女性の内面が浮き出てくるような絵の方が人気があるだろう。僕も〔レースを編む女〕を直で観たときには、こんな小さな額縁に嵌ったもっと小さな絵が、女性的で可愛らしい効果を生むと共に、直向きにレースを編む女性に親しみやすさと優美さすら感じてしまったくらいだ(ちなみにこれにはダリによる贋作もあるw)。
もちろんフェルメールが描く数少ない男性の被写体だからという理由でこの二つを好きなのではない。嫌、少しはあるかも知れないが、女性の被写体描写にはないものがここには詰まっているからなのである。
この2点を見比べるととても似通ってる共通点が見えてくる。ます被写体も似ているし構図も似通っている。家具の配置や小物の類似、全体的な光に色合いは違うが、光の差し方は同じような陰影なのである。しかし、何度もじ~っと凝視して見比べていると、そこから読み取れるものは違ったものが浮かんでくるように思う。
実は描かれている人物は共通の人物だと思われていて、両者とも科学者・レーウェンフックという人物であるらしい。またレンブラントやレンブラントの弟子・ダウも好んで書いた「書斎の学者」という主題であり、これも共に共通するものだ。だがこの作品2つは対の作品ではないのである。これだけ似通ってる要素があるのに、別々であるというのは不思議で魅力の一つだろう。
〔地理学者〕のほうはこれぞフェルメール!といったフェルメール的な作品。光が左の窓から射し込み、地理学者は作業の手を止め窓の外を眺め何かに思い耽っている。何に思いを馳せているのかは見るもの次第だと思うが、この光の射しかたや光の充満具合から、この考え事によって後々何かを閃くような、または爽快な気分を感じさせるような雰囲気だ。また、フェルメールが地理学者や天文学者を描くことでその時代の科学的なものにも関心があったことがわかる。
〔天文学者〕のほうは地理学者と違って左の窓から同じような光の射しかたをしてはいるものの、全体的に暗めなトーンになっている。これはたぶん天文学者ということで夜の月の光をイメージしてるようにも観れる。その為、地理学者では爽快感なるものを感じたが、天文学者では何か叡智すら感じる雰囲気なのだ。光の射しかたがこうなので、全体的にソフトになっているのも面白い。「天球儀」に右手をかざし何を考えているのだろうか?(ちなみに地理学者のものは地球儀)。また机上に置かれている本も実在するものでページ数までわかっており、本の後ろの置かれている器具は天体観測用のアストロラープだという。こういった小道具を細部まで繊細に描いているのはフェルメールの全盛期の作品で、後期では細部はぼかしたものも多く、この2点はそういった点でも好きなのだ。
このように自分の作品に対する想いと書かれている情報とを読み比べてみるのも面白い。また基本的な情報量ではあるが、ガイドブック的な役割を果たしてくれもするだろうし、解がめぐりの旅のお供に一冊持参するのもいいだろう。全点網羅されているのでフェルメール本として様々な楽しみ方ができると思うので、お勧めの一冊だ。
紙の本
フェルメール
2020/01/18 20:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェルメール全点踏破の旅。改めて、作品数の少なさに驚きました。自分も一緒に旅をしているように楽しめました。