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商品説明
ビールについての冒頭から、天才トランペッターや心太へ話題は移り、最後は子供の頃に抱いていた謎の解明へと至る—。虚実の狭間を、流れる意識のごとく縦横に語る表題作他、ホラー、ミステリ、SF、ショートショート等々、恩田陸のあらゆる魅力がたっぷり詰まった、物語の万華鏡。【「BOOK」データベースの商品解説】
ビールについての冒頭から、天才トランペッターやところてんへ話題は移り、最後は子供の頃に抱いていた謎の解明へ−。ホラー、ミステリ、SF、ショートショート等、恩田陸のあらゆる魅力がたっぷり詰まった物語の万華鏡。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
水晶の夜、翡翠の朝 | 7−48 | |
---|---|---|
ご案内 | 49−52 | |
あなたと夜と音楽と | 53−89 |
著者紹介
恩田 陸
- 略歴
- 〈恩田陸〉1964年宮城県生まれ。早稲田大学卒業。92年、日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を受賞。
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紙の本
あなたの好みはどの恩田陸ですか?
2007/05/17 23:14
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕の場合、長編小説には抵抗がないのだが、短編となるとどうも腰が引けてしまう。短編の場合一般に印象が薄くなるのが怖いのである。そして、そのことを考えると短編というのは書き手にとってもとても難しい仕事ではないかなと思うのである。
いずれにしても短編の場合は余韻勝負みたいなところがある。鮮やかな余韻でも良いし、どんよりした余韻でも良いのだが、どちらの場合も書き込み過ぎてはいけない。かといって説明不足のまま終わってしまうと、読者に「こんなんだったら俺にでも書ける」と思われてしまう。そこんところのバランスをうまく突くことができる作家にしか短編は書けないのである。
この本の著者は変幻自在の恩田陸であるだけに、予想した通り、さながら彼女の作風のショーケースのようになっている。たとえば冒頭の「水晶の夜、翡翠の朝」は水野理瀬シリーズの寄宿舎ものである。いや理瀬は出てこないので、今で言うスピンアウト企画である。このシリーズの熱狂的なファンもいるのだろう。僕も何篇か読んではいるが、これは僕のストライク・ゾーンではない。僕の好みで言えば、最後から3番目の「楽園を追われて」あたりかな。この2つが一番長くて40ページほど。2番目に収録されている「ご案内」は3ページしかない。非常にバラエティに富んでいる。
本人によるあとがきを読むと、それぞれにアガサ・クリスティや稲垣足穂を意識していたり、児童文学であったりスプラッタ・ホラーであったりで、いちいちなるほどと思ってしまう。読者はそれぞれ自分の好きな恩田陸を楽しめば良いのである。
この短編集で僕が一番ニヤッと笑ってしまったのは最後に収められた表題作である。僕はこの作家がこんな風に「知に働きかけてくる」ところが大好きだ。こじつけや嫌味にならないところで寸止めにするのがこの人の技だと思うのだが、心太の下りは「ちょっと知に走り過ぎちゃったねえ」という気がする。逆にそういうところがとても可愛いのである。
多分僕の感想は多くの恩田ファンとは異なるのだろう。でも、ご安心を。この短編集の中には必ずあなた好みの恩田陸が見つかるだろうから。ただし、それは全作品ではないはずだ。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
お好きなときにお好きな場所で
2007/05/25 00:20
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集の良いところはどこからでも読めるということではないだろうか。お菓子の詰まった箱を開けてどれから食べようかと思案するように選ぶ楽しみを与えてくれる。たとえ選んだ作品が貴方好みのものではなかったとしても大丈夫。まだまだ一杯詰まっているのだから。
まさに色々な味が楽しめる作品集である。ホラーありミステリあり寓話あり私小説風あり。長くても40ページほどの作品だからいつでもちょこっと楽しめる。その手軽さもいい。一日のほんの隙間にこそっと入り込める感じ。この作品集には入り込むっといった感じがぴったりくる。まるで押入に隠れている時のようなちょっと湿っぽくてひんやりとした薄暗い世界。そんな感じを味合わせてくれる作品集である。
貴方のお好きなときにちょこっと開いて観て欲しい。きっとお気に入りの世界がみつかるはずである。