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商品説明
梁山泊炎上より三年、敗れし好漢、各地に健たり。渇求するはただ一人あの男、青面獣・楊令。【「BOOK」データベースの商品解説】
【毎日出版文化賞特別賞(第65回)】梁山泊陥落から3年。生き残った同志たちは中国全土に散らばり潜伏、次なる行動に賭ける。再起を担うあの男、青面獣・楊令はいずこに…? 北方水滸続編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
北方 謙三
- 略歴
- 〈北方謙三〉1947年唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。「破軍の星」で柴田錬三郎賞、「楊家将」で吉川英治文学賞、「水滸伝」で司馬遼太郎賞を受賞。
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なんていうのかな、中味が薄いっていうか。ベストセラーBOOK TVで、斎藤広達が絶賛してたけど、どこが? って珍しく怒っちゃいました。一つの話から延々書き継ぐのって、実は資料も使えるし、設定も利用出来うので案外楽な作業なんじゃないかな。やっぱり北方には全く違う場所、時代で新展開をしてほしい・・・
2011/02/17 19:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
北方謙三のデビューした頃の初版本が書籍整理箱からごっそり見つかりました。とはいえ、というか、だからというべきかはともかく、私は殆ど読んでいません。冒険小説の、ハードボイルド小説の書き手が現われたというので随分騒がれたようですし、本の雑誌あたりが、ということは北上次郎が褒め上げていた記憶があります。
ところが、私は少しも感心しませんでした。当時の私にとって、冒険小説といえばマクリーン、ヒギンズ、フランシスでしたし、ハードボイルドといえばチャンドラー、ロス・マクドナルドでした。日本で言えば、森詠、谷恒生、西村寿行であり、結城昌治、生島治郎でした。でも、そのころの私は、今もあまり変わりませんが古典的なミステリのほうが好きでした。読むのはクイーン、クリスティ、デビューしたばかりのデクスター、ラヴゼイであり、横溝正史、都筑道夫、西村京太郎でした。
ちなみに、トラベルシリーズに手をつける前の西村京太郎は、その才気において圧倒的な存在でした。都筑道夫よりミステリとしての完成度は高かった、そう思っています。とくに、当時の西村は作家が読者に仕掛けるトリック使用に長け、そのユーモア感覚もあって、他を寄せ付けない作家といってよかった。でも、マニアの間での評価は高くとも、彼の名前が有名になり本が売れるようになるのはトラベル・ミステリを書き始めてからで、私はその頃から西村作品を読まなくなっています。
で、北方謙三。私には彼のよさがわからなかった。北上次郎と評価が分かれた数少ない作家といっていいでしょう。その理由は、単純です。私にとって冒険小説もハードボイルドも、あくまでミステリの一種で、ともかく謎があってそれが合理的に解き明かされることは必要条件だったんです。チャンドラーだってロスマクにだって犯人や動機には意外性と合理性がありました。
つまり、私にとってハードボイルドは文体ではなく、行動的な私立探偵が登場する謎解きが主体ではないけれど、それを伴うミステリ以外の何者でもなかったのです。ヘミングウェイをハードボイルド作家とみなす主張には、鳥獣戯画を漫画の先祖だと言い張る漫画評論家に抱くのと同じ胡散臭さを感じる。で、です。少なくとも私が読んだ北方小説には、男のドラマはありましたが謎は無かったし意外性もなかった。これはミステリではない、当然、ハードボイルドでもない、ということになったわけです。
結局、北方本は積読本に分類され我が家のダンボール箱の中に埋もれることになりました。そして、西村京太郎が遊びに満ちたある意味マニアックな本格ミステリから離れたことで人気作家になったように、北方謙三も描く世界を現代の暴力的な世界から時代小説、そして中国の古典を自分なりに構築しなおした作品へと展開することで不動の人気を得るようになったわけです。ただし、私はその世界に入っていくことはありませんでした。
でも、です。この二人は常に気になる存在でした。西村についていえば、読まないけれど彼のトラベルミステリは我が家に積読されていますし、北方についていえばいつも書店で新刊が出るたびに、私が彼の世界から離れたことは正しい判断だったのだろうかと悩みました。その結果、2003年に『楊家将』がでたときに読んでみたわけです。確かに面白かった。でも、その当時、出ていた他の本はどれも何巻にも及ぶ長いもので、今さら読むのも気が引けました。
再び北方世界から離れたわけです。で、つい先日、といっても半年以上前だと思いますがBS放送のベストセラーBOOK TVで、斎藤広達が絶賛していたのが『楊令伝』でした。『三国志』『水滸伝』はかつて他の作家で読んでいますが、『楊令伝』は全く知らない本であり、人物です。そんなに面白いのか、でも出て方大分経つし、巻数も多いし、と今回もパス。ところがです、何故か我が家の長女がこの本を持っていました。頼み込んで貸してもらいましたが・・・
装幀 菊地信義
題字 武田双雲
装画 小山進 陳仁柔
というメンバー、少なくとも装幀の菊地信義と、題字の武田双雲は有名人です。でも、どうもこの装幀、私には色が派手過ぎる。それと武田双雲の字、私には上手いようには思えない。その点、小山進・陳仁柔の装画は悪くはない。いや、派手な色の中でもそれなりに存在感がある。イメージ的には、浮世絵スタイルで京劇世界を描いたというか・・・。
で、です。お話は面白くなかった。二巻の『辺烽の章』まで読みましたが、その印象は変わりません。私にはどうも話が間延びしているようにしか思えません。初出を見ると「小説すばる」2006年11月号~2007年1月号、とあります。短期間でこれだけの量を書いたから、もしかして中身が薄くなった? なんて思ったりもします。HPには
*
北方水滸伝、待望の続編スタート!
梁山泊陥落から3年。生き残った同志たちは中国全土に散らばり潜伏していた。青蓮寺による梁山泊の残党狩りが苛酷を極める中、元梁山泊軍の再起は楊志の遺児、楊令の戦線復帰にかかっていた…。
*
とありますが、『水滸伝』の続編? そういえば『水滸後伝』というのがあったかしら、なんて思ったりもします。それにしても、一応は完結した『水滸伝』に続編をあえて書くなら、もっともっとワクワクさせて欲しかったな、第一肝心の楊令にも、他の登場人物にも全く魅力がないっていうのは、何だろうなんて思います。
これは私が、北方版『水滸伝』を読んでいないせいじゃないか、って反省しました。聞くところでは、あれも随分北方の筆が入って、新たに創り出された人物もいるとか。そういう人間が、この『楊令伝』にはお馴染みの存在として出ているかもしれません。でも私には馴染みが全くない。そう、このシリーズは単独で読まれることを前提としていない可能性があります。そうでない限り、書評氏の熱狂の意味がわかりません。
この作品から北方の世界に入ろうとする人には、ある意味きわめて不親切な本といえるかもしれない。ということで、私は戦線離脱。やはり、長くても北方の『水滸伝』から入るのが正しいのかも。でもです、そのくらいならベストセラーBOOK TVで絶賛した人たちも、そう言っておいてほしかったなあ、これじゃ読者にとっても北方にとっても不満だろうし・・・
最後は、目次と初出データ。
天こうの夢
地闘の光
地刑の光
地損の光
天猛の夢
地進の光
地雄の光
初出「小説すばる」2006年11月号~2007年1月号