50年前の憲法大論争
著者 保阪正康
本書は、昭和31年(1956)3月16日金曜日に開かれた「第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の記録です。意見を聴いた案件は「憲法調査会法案について」(法案提出者は時の...
50年前の憲法大論争
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商品説明
本書は、昭和31年(1956)3月16日金曜日に開かれた「第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の記録です。意見を聴いた案件は「憲法調査会法案について」(法案提出者は時の自由民主党幹事長・岸信介ほか60名)。改憲派、護憲派ともにガチンコの議論を展開。論旨はじつにわかりやすく、議場の緊迫した空気も伝わってきます。白熱の論戦を読みやすく編集し、昭和史研究の第一人者である保阪正康氏の解説を付しました。
目次
- はじめに 現代新書出版部
- 凡例
- プロローグ──山本粂吉による開議
- 第一章 日本人の日本にしなくてはいけません──神川彦松の公述
- 第二章 国民の意思を反映したものと見るほかはない──中村哲の公述
- 第三章 議会制度にたいする国民の信頼はどうなってしまうのか──戒能通孝の公述
- 第四章 どのような成立の経過を経ようとも──石橋政嗣の質問
- 第五章 旧憲法に戻すつもりはないが──山崎巌の質問
- 第六章 日米安全保障体制のねじれ──片島港の質問
- 第七章 二人の旧軍人──眞崎勝次と辻政信の質問
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いままでつづく "からっぽの大論争" のはじまり
2007/08/10 01:01
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大論争」 というと,国民の権利のありかたや,憲法における天皇や国政組織のかたちなどについて論争がくりひろげられるさまを想像してしまう.ところが,この本のおもな内容はそれとはまったくちがっていた.日本国憲法はマッカーサーがきめたのか国会がきめたのか,国際法上有効なのかどうか,などなど,憲法の制定過程などに関する議論がほとんどである.民主主義にとって手続きが重要であることはもちろんだが,もっと内容に関する議論が必要なのではないだろうか.
この本の解説のなかにも「この 50 年間,憲法改正 (中略) の論議が深まったということはなかったのである」とかかれているが,それはいまだに議論のおおくが具体的な憲法の内容にふみこまずに,手続きなどに関する不毛な論争をくりかえしているだけだからではないだろうか.もっと条文の内容にたちいって議論しないかぎりは,いつまでたっても議論はふかまらず,気がついたら,むりやり国民投票にかけられているということになりかねない.
こういう "からっぽの議論" が 50 年前にはじまっていたことを確認する意味で,この記録は貴重なものだといえるだろう.