紙の本
「あーわかる」「うひょーそれは最悪だ」「えーそんなことで」と色々な感想を持ちながら読んだ11組の恋人達の物語、読み終えた後は「そうそう完璧な相手なんていないのだから目くじら立てるのはやめよう」と寛大な気分になれる1冊
2009/05/10 18:42
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きでこの人が自分のベストな相手だと思っていたのにある日突然相手の性癖が気になり始め、一度目につくとそこだけが目に入りイライラしてしまう。
でも別れるにはとても小さな事・・・・11組のカップルの小さくて大きな悩みを書いた短編集です。
きっと誰にでもどうしても好きになれない性癖というのはあると思うのですよね。
完璧な相手などいないですし、作中にもありましたが100%の相手なんていません。この中に出てくる11人の性癖も深刻なものから笑えるものまで様々。
その中で私が特にダメだと思ったのは万引き女と風呂に入らない女。
犯罪者なんてもっての他だし不潔で臭い人なんて一緒にいたくない。後は記念日に拘る人も嫌いですね、疲れるといいますか・・・。この3つに関しては相手にイライラする気持ちがわかります。
逆に何でこんなことで別れをいわれるのか相手に不快に思われるのかがわからないのがお菓子が主食、買物依存症、酒が止められないの3人。
ここで大事なのは彼らが夫婦ではなく恋人だという部分、そして同棲していても家賃など全て折半なところなんですよね。例え恋人で一緒に暮らしていても力関係が同じであれば相手への口出しには限度があって、自分の稼いだ金で何をしようが、何を食べようが自由だと思うんですよ、夫婦じゃないしただの恋人なのに口出ししてくる人は私はダメですね。ただの口煩い親と同じように思えてしまうので・・・。
「あーわかる」「うひょーそれは最悪だ」「えーそんなことで」と色々な感想を持ちながら読んだ11組の恋人達の物語、読み終えた後は「そうそう完璧な相手なんていないのだから目くじら立てるのはやめよう」と寛大な気分になれる1冊でした。
恋人に対してどうしても我慢できないことがある人にオススメ。
紙の本
誰もがタオルケットをもっている、ということ
2008/08/25 23:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小さいときに、タオルケットとかぬいぐるみを、
どんなに汚れても諭されても離さなかった、という人は多いと思います。
この本に載っている小説は、
そういう汚いタオルケットの部分が、
すごく丹念にえがかれていると思いました。
(注:タオルケットはたとえで、実際タオルケットの小説はありません)
大人になっても手ばなせない、
自分だけのルール。
それが異性と一緒にいるときにどうなるか。
汚いものであっても、
変えたくない、変えられないルール。
他人事とは思えません。
ただ、この本、
表紙の絵と裏表紙の解説で、少し損していると思います。
表紙の絵は太陽と雲のかわいい絵で、
それ自体に文句はないのですが、
毒ぐもっててっきり毒蜘蛛だと思っていたので、
戸惑いました。しかもなんで絵本調の絵にしたんだろう。
裏の解説は、「キュートな11のラブストーリー」
って書かれてるんですけど、
単行本等で読まれたかた、どうですか?
キュートっていうのは無理があるんじゃ、と私は思います。
投稿元:
レビューを見る
初めて読んだ角田光代の本。なんていうか、意外にも若い内容でびっくりしました。イメージとしてはけっこう角ばった旧式なイメージの内容を書かれていると思ったので。なのでそれなりに言葉遣いも今風だし、とりあげてる話題も新しいものなので面白く読めます。これを読んでわたしはさらに誰かと暮らすことは無理だと思ったです(苦笑)好きなんだけど、だけど許せないこと。お互い少しずつ譲歩すればよいものの、それだけど好きだからそれさえも出来なくなって、それでいてだから自分はほんとは相手のこと好きじゃないんじゃないか、とまで錯覚を起こしてしまうあの気持ち。11個の短編集です。
投稿元:
レビューを見る
角田光代、短編もいい。
角田さんの書く物語は、どこか情けない登場人物ばかり出てきて、人間って実のところくだらなくてどうしょうもない日々を送ってるものなんだ、ってことを飾らずにちゃんとまっすぐ見つめていて、でもそれは温かいまなざしで、という感じ。
なんかダサいとおしい。
特に、読んでるこっちまで息苦しくなってくる「旅路」、東京ではつつがなく日々を送っている恋人同士が、スリランカでの旅の道中で互いに相手の嫌な点を許せなくなり、互いに憎悪を抱きつつ旅を続ける・・といのが、すごくリアルに感情を切り取っていて、心に残った。
こうやって人間のダサい日常をまっすぐ見つめる角田さん、大好きだぜ。
投稿元:
レビューを見る
4/21 角田光代の中では比較的好きなほうだったけど、やっぱ会話とかが気持ち悪い。というかどうでもいい感じ。伝えたいことはわからなくはないんだけどわたしには何か足りないように思われる。
投稿元:
レビューを見る
雨と爪
おれたちは自分の意思で何かを決めて、
少なくとも決めようとはして、
そのとおりに日々過ごしているのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
未来
きっと彼らは、
平日の昼間に電車に乗っても、
目的地をたやすく思い浮かべることができるのだろう。
自分はどこへいくのかなんて、
子どもじみた疑問をふと感じたりはしないのだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だれかを強く愛することと、
冷蔵庫を空っぽにするそのだれかに苛立つことは、
決して矛盾しない。
遥か上空で太陽が光り輝いていても、
ときとして濁った色の悪い雲に遮られ
私たちに届かないのと同じように。
投稿元:
レビューを見る
角田さんの書くラブストーリーは私でも読めます。
そのくらいさわやかではっきりしていて後味がいいんです。
投稿元:
レビューを見る
恋は成就しても、きっとその後はどうなるか誰も知らない。
どんなに愛し合っていても、本当の内面は分からない。
男と女、人と人はそういう汚い部分の隠し合いで寄り添って、一緒に生きている。
投稿元:
レビューを見る
思わずギクリ、としてしまうような短編集。
好きだけれども、それだけは許せない…
そんな恋人として長く暮らす人々の複雑怪奇な心境が描かれています。
「愛がなんだ」や「幸福な遊戯」において、
角田さんは登場人物の心情をリアル以上に生々しく描くなぁと思っていたのですが、
今回も読んでいてなんだか不安になるよう生々しさが随所に漂っています。
投稿元:
レビューを見る
初めて読んだ光代作品。
思っていたよりも普通の話だった。
世の中にはいろいろな女性がいる。
投稿元:
レビューを見る
「糧」という題の物語の中で、
「憎しみというものはとても長く抱えることができる」
というところがあって、それになんだか安心してしまった。
安心ってなんか変だけど。
能天気に生きているようで、全然能天気じゃない自分を
発見してギョッとしてたから。
投稿元:
レビューを見る
ラブコメディってこういう作品のことを言うんだろうな、と思う。
ラブコメという響きは、なんだか安っぽくてチンケなテレビドラマを連想してしまうのだが、この【太陽と
毒ぐも】は、たしかに安っぽくてチンケな要素満載だけれど、テレビドラマではなくて単館映画的な、
淡い色合いがする。あえて言うならシュールな作品とでも言おうか。
以前にここで山崎ナオコーラの【人のセックスを笑うな】の感想を書いたときに書いたかもしれないが、
恋愛ってやつは、やっている本人たちはとても真剣に愛だの恋だのやっているけれど、傍から見ればただの
喜劇でしかなく、けれども本人たちは真剣だからどうか笑わないでやって欲しい、っていうそんな感じの
言葉がこの【太陽と毒ぐも】にもピタリと当てはまるかもしれない。
男と女はなんてくだらないことばかりを繰り返すのだろう。誰も彼もが間抜けな色恋を繰り返す。
でも、間抜けだから素晴らしい。恋愛が間抜けなものではなくて、とてもとても崇高なものでしかなけ
れば、僕らは色恋に気持ちを躍らせ、うつつを抜かす青春や情事を過ごすことなどないのではないか。
身近にあるからこそ間抜けで素晴らしく、笑えるものになる。高嶺の花では笑い飛ばすこともできないく
らい人というものはその扱いを変えるものだ。
【太陽と毒ぐも】にはそんな間抜けで身近な恋愛模様がたくさん詰まっている。
角田光代はあとがきでこう言う。
「だれかを好きになって、相手もこちらを好いてくれて、とりあえず関係性としてはハッピーエンド。
そのハッピーエンドからだらだら続くしあわせな恋人たちの日常を書いた。書きながら、また読みながら
ばっかじゃねえのこいつら、と私は思ったが、けれどページのそこここに、些細なことで恋を失ったり
愛をだだんと踏みつけた私自身のばっかみたいな影がはりついている。恋愛を喜劇だと蓮っ葉にとらえた
ことなどただの一度もないが、書いたものはみな情けないコメディのようである」
僕の知人女性で「恋愛は人生で最大で最高の暇つぶしだ」と言った子がいたが、その言葉の意味が、
この本に詰まっているような気がした。
投稿元:
レビューを見る
癖のある登場人物たちの短編集…。んー。こんなひとたちって普通にいるんだろうか?私の知り合いには全くいないけど。
投稿元:
レビューを見る
付き合っている相手に対して、「きっと誰も、自分ほどには相手を嫌いになれないだろう」と思うことがすごくリアル。あぁ確かにそうだなぁと、少しの痛みと滑稽さを伴って胸に迫ってくるものがある。
好きなのに許せないというよりは、好きだからこそ許せないのほうがいろいろと言い得ている気がする。好きだと思うのと同じ分だけ、相手のことを憎いと思う。それでも、我慢して喧嘩して仲直りしてを繰り返して一緒にいる。なんなんだ。好きってなんだ、他人同士が一緒にいようとするってなんだ。
無駄なことだと思うのと同時に、その無駄こそが一番大事なのかもと思ったりもする。相手のことが憎くてしょうがない、もう疲れたってなったときはこれを読むようにしよう。嫌いなところではない何かを、思い出せると思う。
投稿元:
レビューを見る
ひゃっほーい。
未読の角田作品、もはや珍しくなってきた。
なんて表紙なの?!
天気予報みたいじゃないですか!
最初の2、3話がすでに!
すでに角田さんぽいですわ!