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司法は腐り人権滅ぶ (講談社現代新書)
著者 井上 薫 (著)
いま、裁判所がおかしい。国民は常識を働かせて司法の暴走を止めねばならない。小泉首相靖国神社違憲判決など3つの有名判決と裁判員制度を仔細に検討、世にまかり通る欺瞞を撃つ!【...
司法は腐り人権滅ぶ (講談社現代新書)
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商品説明
いま、裁判所がおかしい。国民は常識を働かせて司法の暴走を止めねばならない。小泉首相靖国神社違憲判決など3つの有名判決と裁判員制度を仔細に検討、世にまかり通る欺瞞を撃つ!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
井上 薫
- 略歴
- 〈井上薫〉1954年東京生まれ。東京大学大学院理学系研究科化学専門課程修士課程修了。元横浜地裁判事。著書に「狂った裁判官」「司法のしゃべりすぎ」「法廷傍聴へ行こう」など多数。
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この人は、手続きが正しいかどうかだけを論じているんですね。よく役所の小役人にそういうのがいるでしょ。本質はそうじゃあない、っていうのがわかんないのかなあ
2007/07/26 20:06
10人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ええ、司法関係の話っていうのは、結構、興味深いんですね。特にこの本のようなタイトルからは、私の大好きな「反権力」の臭いがプンプンしてくる。で、さらに以下のカバー後の折り返しの内容案内文を読むと、待ってました、っていいたくなるんですね。
「本書は、裁判所の活動、とくに判決になかに、越権の違法が数多くあることを、日本
国の主権者である全国民にお知らせするものです。いまマスコミで話題沸騰中の裁
判員制度は、法律にもとづく裁判ができないという憲法違反があり、もしこれを実
施すれば、たいへんなことになる点にも触れています。これらの違法に対する国民
からの批判は、これまでほとんどありませんでした。裁判官たちは、それをよいこと
に違法行為を改めようともせず、なんと違法な慣行さえ成立させ維持してきまし
た。・・・・・・国民は主権者です!このような裁判所の腐敗堕落に、泣き寝入りするこ
とはありません。積極的に批判の声をあげるべきです。それが、事態を根本的に改め
させる原動力となると信じて私は本書を書きました。―――本文より」
おうおう、です。しかも、井上の経歴には「1954年東京生まれ。東京大学大学院理学系研究科化学専門課程修士課程修了。元横浜地裁判事。著書に『狂った裁判官』『司法のしゃべりすぎ』『法廷傍聴へ行こう』など多数。」とあります。理系から法科、しかも著書のタイトルはどれも刺激的、いいじゃない・・・
ところがです、読み始めて???となります。それは目次を見れば分るんですね。写しておくと
序章 司法は腐り人権滅ぶ
第1章 憲法裁判所ごっこ──尊属殺重罰規定違憲判決
1 親殺しの罪を問う
2 最高裁が犯した違法行為
3 周囲の誤解と深刻な影響
第2章 「蛇足判決」の弊害──小泉首相靖国神社参拝違憲判決
1 請求は棄却、参拝は違憲の奇怪
2 裁判官のめちゃくちゃな思考回路
3 不要な審理は血税の濫費である
第3章 これぞ越権の違法──愛媛玉串料訴訟最高裁大法廷判決
1 当事者死亡
2 住民訴訟の特殊性
3 地に落ちた判例の権威
第4章 裁判員制度は廃止すべきである
1 あなたはこうして任命される
2 司法の民主的コントロールとは
3 この制度は憲法違反というしかない
終章 司法を変えられるのは国民のみ
です。取り上げられているのは、どれも現政権なり既成の法解釈が崩されて、マスコミが喜び、政官が怒ったものばかりで、しかも、共通するのは、その判決も、報道もおかしい、というものです。ただし、井上の論拠は分りやすい。基本的には、判決に越権行為があり、そのようなものは無効だ、ということです。
つまり、井上は手続き論を全面に押し出す。ですから、尊属殺重罰規定を井上自身がどう思うとか、小泉首相靖国参拝は正しいかとか、税金を行政側が神社に納めることが妥当であるかについては、全く触れません。彼にとって、問題は司法制度であって、そこで裁かれていることの内容ではない。結果、全て体制側の擁護につながっているわけです。
なんだか、法律に従っているのだから、そこで求められてもいない領収書を出す必要はない、と言い張る赤城農相の答弁を見ている気がします。国民が求めているのは、その法律の是非も含めた総合的な議論であるのに、小手先の手続き論でものごとの妥当性を判断しようとする。これって、ようするに議論がすれ違っているんですね。
たしかに、マスコミは愚かです。警察発表をそのまま流すし、中越地震の時だって、誰もが気にしている原発関連のことは、いつまでたっても報道しない。不祥事を起こした教職員の名前や事故に関連した業者の名前は、なぜか伏せられ、例えば今回の年金記録の不備だって、実は公務員の年金について、そのようなことが起きていないことは一切触れない。
国民を馬鹿にしているのか!とは思いますよ。でも、手続きに拘るあまり、例えば書類に不備があるから受けつけない、それが規則、とふんぞり返る井上のような小賢しい役人判断よりは、本当の問題はなにかについて意見表明するマスコミに、まだ誠意を感じます。この本を読んだ人が感じる不快さは、結局、理を盾に相手に一切話をさせず門前払いをすることこそが正しいとする井上の表面的な手続き論にあります。
これなら、岩波ジュニア新書・後藤 昭『新版 わたしたちと裁判』のほうを勧めますね。裁判の本質が見えるのは、裁判官の言葉ではなく、あくまで法学者のこちらです。
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独善的で説得力のない議論
2008/07/25 22:35
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
2 つの最高裁判決と 1 つの地裁判決をとりあげて司法の範囲を越権していると指摘し,さらに裁判員制度が廃止するべきものだと論じている.最初にとりあげられているのは尊属殺重罰規定違反判決であり,ひろくみとめられた判決に異論をとなえている.裁判は訴えられたことを判断するものであり,一般論すなわち尊属殺が平等原則に違反するかどうかを論じるのは越権だという.しかし,判決において本件に尊属殺の規定を適用しないときめたならその理由をのべるべきであり,理由がその一般論にもとづいているのなら,それを論じるのをさけるのはむしろ不自然だとおもえる.尊属殺の問題にかぎらず著者の論調は独善的であり,説得力がない.