- 販売開始日: 2016/09/30
- 出版社: 英治出版
- ISBN:978-4-86276-010-4
芸術の売り方 ― 劇場を満員にするマーケティング
著者 ジョアン・シェフ・バーンスタイン(著) , 山本章子(訳)
芸術・文化事業を成功に導くマーケティングを明快に語る
クラシック音楽、演劇、オペラといった芸術ビジネスの市場は縮小する一方だと言う人がいる。余暇の過ごし...
芸術の売り方 ― 劇場を満員にするマーケティング
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商品説明
芸術・文化事業を成功に導くマーケティングを明快に語る
クラシック音楽、演劇、オペラといった芸術ビジネスの市場は縮小する一方だと言う人がいる。余暇の過ごし方の多様化や競争の激化、若者の芸術離れを嘆く人もいる。だが、本当にそうだろうか?
今日、多くの芸術団体が苦境にさらされている元凶は、作品の問題ではなく、マーケティングの不足ではないだろうか。世界には、効果的なマーケティング戦略によって観客数の劇的増加を実現した団体がいくつもあるのだ。
本書は、基本的・現代的なマーケティング戦略を活用し、芸術ビジネスを成功に導く効果的な方法を提示する。ロサンゼルスの「カジュアル・フライデー・コンサート」、ロンドンで大人気の「クラシック着信音」や「スーパーマーケット交響曲」、ピッツバーグの「大騒ぎオーケストラ」など、世界各地の楽しい事例を満載。
マーケティングの大家フィリップ・コトラー推薦! 今日の芸術・文化産業に必須の「アート・マーケティング」の教科書
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芸術団体の関係者が読むべきマーケティング必読書
2009/01/12 21:36
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
米国でアート・マネジメントを専攻するノースウェスタン大学のバーンスタイン助教授がまとめた書である。
芸術団体は、それを聴きにくる聴衆を集め、収益を上げて組織を維持しなければならない。とはいえ、聴衆におもねってばかりいても優れた芸術家が集まらなくなる。ときには前衛的なプログラムを演奏しなければ、社会的な役割も果たせなくなってしまう。その経営のバランスが難しい。
本書では様々な調査結果や実例を盛り込んで、米国内の芸術団体(管弦楽団、舞踏団、歌劇場など)が如何に聴衆を集めることに腐心しているかを紹介し、同時に著者の得意なマーケティング的な見地からの提言を随所に行っている。
ここでは様々な例が引用されているが、これをそのまま我が国の芸術団体に持ち込むことは間違いである。彼我の事情が異なるからである。しかし、手法には見習うべき点が多々あることも確かである。
米国では聴衆を集める手段として定期会員制度が幅を利かせ、これによって多くの固定収入を得てきたが、この制度に陰りが見えてきたという。我が国の管弦楽団でも聴衆を集めるのには苦労しているのだが、ここ10年以上定期会員は大幅に増加しているように見える。ただし、その傾向も頭打ちでいずれ飽和状態になるのであろう。その際には米国での具体的な手段が役に立つし、実際、制度自体が徐々にしかもすでに改善されてきているのも事実である。
もう一つ、印象的であるのはITの利用である。定期会員制度が低落傾向にあるのはパッケージになると、自分の好きなプログラムを選択できないという当然の結果に行きつくからであるという。それが定期会員の減少の大きな原因であるという。その結果、1回券を買い求める人が増えているそうだ。その1回券を買う聴衆をITが支えている。昔に比較すれば、簡単に1回券がWebサイトで購入でき、それを郵送してくれるからである。
そればかりではない。定期会員券の更新の際にWebをうまく利用しない手はない。更新時に簡単なアンケート等で顧客(聴衆)の意向が調査できるからである。サービスにおいてもITの利用によって、格段に質を向上させることができるのである。
我が国の芸術団体もITへの投資は不可欠であろう。その点、まだまだ遅れていると言わざるを得ない。事情は異なるのだが、参考になる点はそこかしかに述べられており、関係者が学ぶ必要のあるマーケティングの実践論が述べられている。聴衆の期待が何であるかに着目し、それを調査していくのは、世界中どこでも共通した課題である。是非、関係者には一読してもらいたい書である。