紙の本
オスマントルコ帝国において生涯477もの建築物を作ったとされる建築家シナンの生涯を描いた傑作です!
2020/10/06 09:26
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『秘帖・源氏物語 翁』、『大江戸釣客伝』、『宿神』、『大江戸恐龍伝』、『怪獣文藝』などの話題作を次々に発表されてきた夢枕獏氏の作品です。同書は、中公文庫から上下2巻シリーズで刊行されているうちの下巻にあたります。同書は、上巻に引き続き、オスマントルコ帝国において、477ものモスクなどの建造物を手がけ、かたちなきイスラムの神を空間に描こうとしたシナンという男の物語です。悠久の都イスタンブールに刻まれたその軌跡を辿り、薫り高きイスラム文化の根源に迫る渾身の歴史長篇となっています。ぜひ、読んでおきたい一冊です。
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
大宰相イブラヒムの最期が特に心に残りました。自分の死に際して、人はこれほど優しくなれるものなのでしょうか。もちろん創作でささやかな救いを与える作者の意図であるわけなのですが、自分は土壇場で他者を思いやれるほどの器の大きさはないだろうと思ってしまいました。シナンがちゃんと覚えていて、スレイマンに伝えるところも作者の優しさを感じます。ミケランジェロがシナンに「仕事をしろ」と励ますところは(厳しくもありますが)優しいなぁと思います。シナン自身がそれをいつまでもよく覚えているところもミケランジェロに対する深い尊敬の念を感じます。偉大な政治家や芸術家、人類共通の遺産として残るものを作る人には自分自身を超えるような大きな愛というか、この手の優しさがあるのかもしれません。
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トルコにもう一度いきたくなりました!
シナンという人物像に人間臭さをあまり感じなかったです。ちょっとパーフェクトすぎないかな?
でも歴史読み物としてはbreath taking 約一日で読めきってしまう面白さです。
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観光地としてトルコは最高の所だが、モスクもその重要な要素。シナンはその建築家。
幾何学模様(多分フラクタル構造)に神を見出す部分に共感。宇宙の始まりに想いを馳せた。
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もう少しシナンの建築のお話をしてほしかった。
権力闘争や周辺諸国との戦いの話は、そこまで必要だったのでしょうか。
「解説」の中のシナンの建築についてのガイドが一番ためになったかもしれない。イスタンブールにまた行きたくなってしまった。
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後書きにやられた。。作者の要望を下回ったけど八年かけて書かれた作品をいっきにふた晩で楽しんでしまった。。(要望は一晩)
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16世紀、その百年の生涯で、477もの建造物を手がけた石の巨人・シナンの軌跡を辿る。
再読だったのだが、とても面白く読めた。
神が降りてくる場所。そこにたどり着くまでのシナンの軌跡が、とても丁寧に、それでいて違和感なく描かれている力作であると思う。
特にシナンがミケランジェロと会うシーンがいい。この二人は確かに同世代の人物で、地理的・歴史的にも会っていた可能性はあるそうだが、実際にはわからないと作中でも言われている。しかし、この二人が出会って話をしていたと考えるだけで、物語の声が聞こえてきそうではないか! そこを書いてくれるのが夢枕氏(サービス満点!)で、この二人の会話はとても面白い。
とくに「仕事をしなさい」のくだりは、とても印象に残る名シーンである。
イスラム建築という、日本ではあまり知られていない文化を、このような雄大な素晴らしい物語に仕上げてくれた夢枕氏に拍手。
この本を読むと、トルコに行きたくなりますよ!
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帯文(裏表紙):"100年の生涯で477もの建造物を手がけ、かたちなきイスラムの神を空間に描こうとした男の物語"
目次:第10章 ヴェネツィア、第11章 ロクセラーヌ、第12章 愛人、第13章 神の宿、第14章 陰謀の都、第15章 蜜月の終り、第16章 宮廷建築家、第17章 神の水、第18章 スレイマニエ・ジャーミー、第19章 巨星墜つ、終章 チューリップの丘、…他
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ベネチアへ渡ったシナンは、なんとミケランジェロと出会う。史実ではないそうだが、なんともロマン漂う出逢いである。
ベネチアとイスタンブール(スレイマニエ・ジャーミー、リュステム・パシャ・ジャーミー、ミフリマフ・ジャーミー、ソコルル・メフメット・パシャ・ジャーミーを訪ねて)、さらにはエディルネのセリミエ・ジャーミーを巡る旅に思いは募るのであった。
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スレイマン1世を称えるスレイマニエ・ジャーミーをやっとのこと建設することになったシナンだが、そのモスクのドームの高さは結局のところ、アヤ・ソフィアを超えることはなかった。シナンのもつ知識ではまだ造れなかったのだ。 後年、建設したセミリエ・ジャーミーでは遂に超えることができたが、この物語では描かれていない。
建築のことがほんとに少なくて、下巻はスレイマン1世の側近イブラヒムと正妻ロクセラーヌの権力争いがメインで、シナンは蚊帳の外のように感じなくもない。でも、そのままシナンは蚊帳の外に置いといて、権力争いに意識を集中して読んでいれば、それはそれでイスラム文化の意外な面が知れて面白い。
シナンの伝記として読むには脚色が多そうだし難がある。モスクの建設って大事業だと思うんだけど、どのように建築資材を集めて、どのような人々が、どのような動いて、どのような危険のもとに、どのような信念で建てたのか、とか、そういうことが書いてないから、受ける印象は、一夜にしてポンッ!っと造ったみたいだ。著者がそういったことに興味がなかったのかもしれないけど、もうちょっと上手くストーリーに織り込めなかったのかなとは思う。
上巻でも書いたが、そういうことを期待せずに読めば、まあまあ面白かった。
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聖ソフィアを凌ぐジャーミーを築くまでのシナンの旅。
当時のオスマントルコを取り巻く世界の状況も垣間見れてよい。
特に、ヴェネツィアとの関わりが興味深かった。
塩野七生氏の「緋色のヴェネツィア」と被る部分が好き。
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アヤソフィアを超えるモスクの建造に挑む、建築家シナンの話。
目に見えない神を、「数学」「空間」など、様々な考えを繋ぎ合わせながら1つの建築として表現するのが私にとっては新鮮な感覚で面白かった。
シナンの言葉1つひとつが素敵で、物語に引き込まれる。
好きな場面はシナンとミケランジェロの会話。
トルコに行きたくなった。
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セリミエ・ジャーミーやスレイマニエ・ジャーミーを見に行きたくなる。
あとコーヒーが飲みたくなる。
チューリップを植えたくなる。
章の間に入る詩が良い感じ。
読後感も良い感じ。
塩野七生の『小説 イタリア・ルネッサンス』と合わせて読むと面白い。
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下巻は政治的に事が大きく動き全体を通して非常に面白かった。
首席建築家になったシナンが建てていくジャーミーを画像検索しながら過去に思いを馳せる馳せて読むのも一興かと思います。
個人的には終わり方がとても好みでした。
大当たり本。
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上下巻合わせて、最初3/4はスレイマン時代のオスマン帝国の話、最後1/4がシナンのモスク建設の話。シナンのモスク建築家としてのキャリアはなかなか始まらないが、やっと始めたらすぐに上り詰めてしまった。肝心な建築家としての格闘っぷりをもっと読みたかった。
シナンの私生活についてもまったく謎のままで、結婚や家族の話は一切なし。イスタンブールのミフリマー・ジャーミーについて検索すると(真偽はともかく)シナンの恋の逸話が見つかるが、物語には登場しない。神と、神をとらえる建築にしか興味がないひたむきな仕事人として描かれている。
人間くさい部分は創作上の人物ハサンに託されていて、私はけっこうハサンが好きだったけど、同郷の友人であるハサンの死もシナンにはあまり響かなかったように見える。最後に伏線回収があるものの、ちょっと白々しい感じがした。