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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.4
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/237p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-215359-1
読割 50
紙の本
現職警官「裏金」内部告発
著者 仙波 敏郎 (著)
全国警察組織30万人を敵に回して、男はなぜ、孤高の闘いを続けたのか−。2005年、警察の裏金の実態を実名で内部告発した著者が、警察の腐敗、汚職、隠蔽、そして家族・友への想...
現職警官「裏金」内部告発
現職警官「裏金」内部告発
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商品説明
全国警察組織30万人を敵に回して、男はなぜ、孤高の闘いを続けたのか−。2005年、警察の裏金の実態を実名で内部告発した著者が、警察の腐敗、汚職、隠蔽、そして家族・友への想いなどを綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
仙波 敏郎
- 略歴
- 〈仙波敏郎〉1949年愛媛県生まれ。元愛媛県警巡査部長。2005年警察の裏金の実態を実名で内部告発。その後も職務を全うし、09年定年にて退官。
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紙の本
今まで、警察の腐敗については色々書かれてきていましたが、現職警官の内部告発ではなかった、というのは驚きです。そして告発の内容を読むと、とくにトップとキャリアの連中はだめだな、って思います。
2009/12/24 19:12
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察の腐敗については、正直、何を今更、という思いがあります。暴力団との癒着、キャリア大事、議員関連のもみ消し、などなど。特に、私の中では大阪府警がダメ。小説では東直己が繰りかえし道警の腐敗について告発しています。だから、仙波が「現職警官による告発は史上初にして唯一」という孤独な警察官だと知って、ああ、今まで本当の意味での内部告発はなかったんだ、とあらためて知った次第です。
ただし、裏金、についてはともかく、警察官にある先入観を抱いて接すると驚くことがあります。先日、大切な手帳を落として、JR東海、東京駅遺失物係、千葉の交番、東京の交番と色々聞いて回ったのですが、もっとも応対が優しかったのが交番の巡査でした。今までも何度か自転車の盗難でお世話になっていますが、そのときよりも一段と当たりが柔らかくなっています。
私の「大阪府警=腐敗」という先入観も、長い間の新聞報道で築きあげられてしまったものですが、警察官=権力の走狗、逮捕=誤認逮捕、民事不介入=犯罪許容、というマスコミが作り上げた幻影にではなく、現場の声にこそ耳を傾け、本当に求められる警察とは何かを真剣に考えるべき時が来ているのかもしれません。
カバー折り返しには
*
全国警察組織三〇万人を敵に回して、
男はなぜ、孤独な闘いを続けたか!
プロローグ 三六年間の孤独な闘い
第一章 たった一人の拒絶
第二章 誰も知らなかった「裏金」の実態
第三章 日本最大の犯罪組織
第四章 父として、夫として
第五章 警察を売った男
第六章 人はどこまで正義を貫けるか
エピローグ 友への誓い
*
と珍しく、目次が載っています。ブックデザインの鈴木成一デザイン室のアイデアなんでしょうか。以下、少し細かく目次を書き写します。
プロローグ 三六年間の孤独な闘い:全国警察組織三〇万人vs.一人/これは組織的犯罪だ!/警察の捜査能力低下の背景 ほか
第一章 たった一人の拒絶:母子四人の貧しい生活/アメ玉一個に学んだ人間の弱さ/「弱い者いじめをするな」 ほか
第二章 誰も知らなかった「裏金」の実態:知られざる警察組織の内実/厳しい階級社会・裏金づくりは犯罪のオンパレード ほか
第三章 日本最大の犯罪組織:盆暮れの付け届けが意味するもの/横行する休日手当の不正請求・性犯罪/肩書きがすべての閉鎖的な世界 ほか
第四章 父として、夫として:支えになった妻/母には言えない、昇進できない理由/家族との穏やかな時間 ほか
第五章 警察を売った男:偶然の出会い/告発の決意/運命の男 東玲治 ほか
第六章 人はどこまで正義を貫けるか:哀れな権力者/組織防衛は不正・犯罪を隠すため/告発は動機よりも目的が大切 ほか
エピローグ 友への誓い:東玲治との突然の別れ/拳銃ケース細工事件/友との三年一〇ヵ月
反逆者に対して冷や飯を食わせる、というのは世の常で、民間会社も公務員も変わらないなあ、と思います。地位があがりませんから、給料もあまり上がらない。それを外部から見れば、成績が悪いからいつもでも偉くならない、と短絡します。なぜ、その地位に留まっているかが外部から伺えない、という事情もありますが、所詮は他人事です。
でも、この誤解が本人にとっては最も辛いことになります。一緒に暮らしている家族はまだいいです。身近にいる人間の本当の姿を知っていますから、理解を示してくれます。ま、お給料があまり上がらないことは、楽しくはありませんが、無職ではないだけでもありがたいものです。
でも、離れて暮らす両親や親戚は、そうは見てくれません。母親くらいは理解してくれてもいい、と思うのは本人の勝手です。なぜって、何も説明をしていないからですし、仙波が1949年生まれとすれば、母親は80歳近いはずです。その年齢の地方に暮らす人の平均的な思考を考えに入れれば、親とはいえ、息子の出世にはなにか問題がある、と思う。これは仙波にとって苦しいことだと思います。
しかも、仙波のいうことが正論であるだけに本人も納得がいかないでしょう。何故、この腐敗、というか考えが改められないか。キャリア対ノンキャリアという対立図式、キャリアは単に学歴だけでノンキャリアの上に立つことができるということは、今も基本的に改められる気配はありません。
そして警察組織内部に隠匿されたお金は、キャリアに吸い上げられていく。無論、キャリアが要求することはありません。東大出の頭のいい連中がするわけがない。でも、その気持を汲んでノンキャリアが自らの意思で上納する。直接の見返りはありませんが、冠絶的なそれはありうる。
そして、それに協力しない人間は、公的に咎められることはないけれど、見返りではなく、有形無形の仕返しを受けます。で、最大の問題は、そこに注がれるお金が税金である、ということです。そして全員参加であり、継続されつづけているということです。自民党と官僚が築きあげてきたきた世界、社会がこれです。民主党に何でも期待するのは間違いでしょうが、でも、これをきっかけに警察も変わればいいな、とは思います。
ただし、私はこの問題が、冤罪や死刑制度などと一緒に処理されるべき問題だとは決して思いません。一つが悪いから、何もかも悪い、といった短絡をすることは、逆に、他の問題が温存される時、逆に、この「裏金」までもが延命することにも繋がりかねません。マスコミや人権屋の言動に惑わされることなく、冷静に判断して悪しき習慣を根絶したいものです。
40年の闘い、本当にご苦労様でした。そして陰日向で支えた家族の方、友人の方々にも同じ言葉を捧げます。