紙の本
有言実行している外山氏ならではのタイトル
2016/08/14 23:23
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投稿者:mistta - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は1978年に刊行。1982年に「ライフワークの思想」と改題して
刊行された本。
したがって、当時の世界情勢や時代背景について書かれた部分に
ついては、時代が違うと思う。外山氏もその辺は注釈を入れている。
もっとも書かれていることに古臭さは無い。一章の「フィナーレの思想」は、定年を迎える校長先生が、それで人生実質終わりと思って
しまうように、「フィナーレ」を考えないことを嘆いている。それは
勿体ないと主張しているが、今の高齢化社会にあてはめれば、
正しく、定年後も続く人生という意味で必要なこと。
日本が模範としてきた同じ”島国”イギリスについて触れているのも興味深い。
イギリスが保守の国というのはどういうことかを外山氏ならではの
切口で語られており、その主張に大いに納得するものが有る。
かつての日本を指し、世界貿易が摩擦を生じやすいのは、文化原理を
欠いて人間の幸福ということに対する配慮が欠けているからだという
主張に同感。とともに、今の中国にも当てはまることだと思った。
ライフワークの思想を有言実行している外山氏。愛読者の一人として
その生き方を範として見倣おう。
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今読んでいる途中だけど、理論としては分かるし、その正しさも分かるけど、実際どういう行動に踏み出せばいいのかがわかりにくい。
『自由な時間を上手に使うというのは、やれゴルフだやれマージャンだと、ぎっしりつまったスケジュールをこなすことではない。まず何もしないでボーッとする時間をもつことだ。充実した無為の時間を作る。』
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ブームなので続けざまに外山本。『思考の整理学』と内容的に重なる部分もあり、また、『整理学』に比べるとテーマの古さを感じもするが、対象読者は学生を越えて大人向け、むしろ人生の後半生に差し掛かった年代の人々へと広がっている。「倒れる瞬間まで、自分の充実を目指して進んでいく」、そうして完成するのがライフワークであり、誰もがライフワークの花を咲かせることができるというメッセージは、高齢化社会における生きる指標として改めて新鮮に感じられる。言語が作り上げた「面食い」文化の話なども、充分現代に通じる内容で非常に興味深かった。
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ライフワークの花を咲かせることはあらゆる人に可能である。この花は晩年になって始めて結実する。そのためには自由時間の使い方を考えなくてはならない。自分の生きがいとなり、人生の豊かさにつながる、能力の備蓄をすることが必要だ。バッテリーは使い切るまえに絶えず充電しなくてはならない。輝かしい、円熟したフィナーレを迎えられるよう、一日一日の生き方を考えてみよう。
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いい本です。
簡明な言葉で鋭く「常識」に切り込んでいますよ。
生き急ぐようないままでの時間の使い方を見直したい方には最適でしょう。
自分人生の評価者は誰でもない「自分」なんです。
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「ライフワーク、フィナーレの思想」
10~45歳を往路、46~80歳を復路としてライフワークを設計すべし。折り返し点を回りゴール(=死)が近づくにつれ、フィナーレの充実感を増していくのが望ましい。
「発見について」
・数学的方法:①アナロジー、②因数分解、③順列組み合わせ
・幾何学的方法:①延長線、②補助線、③相似、④変形(面積一定で形を変える。言葉の言い換えなど)
・物理的方法:①破壊、②慣性(あえて途中でやめてみる)、③真空法(比較して他方に欠けているものを明らかにする)、④接触・衝突、⑤ショック(条件を変える)
・化学的方法:①触媒(きっかけ)、②合成(統合)、③醗酵(寝かせる)、④蒸留
・論理的方法:①モンタージュ(ある部分を強調し、順序を入れ替える)、②論理的帰納法(論理の積み重ね)、③関係づけの枠を変える、④弁証法
・虚心
「コンサヴァティブ」
後ろ向きの前進
「大西洋の両岸、島国考」
「英米の間では、言語が(文化の)防波堤の役を果たさない」これを踏まえて日本を考えると、日本は島国であることかつ言語が大きな防波堤となっている。日本人の英語下手が問題視されているが、文化の保護という観点からは悪くない。
また、文化交流下手な日本にとって、アニメや漫画などのサブカルは、貴重な文化的輸出品目と言えるのではないか。
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始まりはまだ良いものの、段々と雲ゆきが怪しくなり、なんの根拠があって書いてるんだかわからん与太話と誇大妄想に終始。
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人間というのは、いくつになっても学ぶ生き物なんだなぁと実感。
知ること、学ぶことの喜びを表現するのがうまい人だな、と思います。
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表題作ともいえる「ライフワークの花」「フィナーレの思想」は心に響くものがあったがそれ以外はどちらかといえばオーソドックス。(著者が文庫化にあたって頻りにエクスキューズを入れている通り)初出とのタイムラグがあることは割引いても最近の《外山滋比古再評価》のムードは個人的には理解しがたい面あり。むしろそのムードを生み出すものを分析すると面白いかも。
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集中力が前半部分で尽きてしまった。
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■「切り花」の知識ではなく、自分の育てた「根」からでたものを。
「カクテル」ではなく、「地酒」を。
□どちらも、青々とした葉を出しきれいな花を咲かすための時間、また、口当たりのいいまろやかさを出すためのねかす期間が必要不可欠。
別著にも使われていたが、外山さんの分かりやすい比喩。
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■『人間すべてがエディターなり』。独自のパターンで「編集」し、”雑誌”を創ることが、創造
人は忘れる。覚えるという作業は、今日一日あったことを自分なりに(著者のいうそれぞれの「モデル」に合った)編集をすること。
インプットとアウトプット。どちらも大切ということ。
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後半は、イギリスと日本の教育制度の比較から、日本人の考え方の「モデル」を考察しているが、途中で飽きてしまった。
また別の機会に。
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最初にちょっと余計なことを書くと、『ライフワークの思想』では幾つものエッセイが集まっていて、全体としてライフワークについて考えることになると思う人もいるかもしれないが、僕はその中でも「フィナーレの思想」という第1章が関心の強い部分で、何度か読み直してみたいと思った。
印象的な考え方は、ライフワークを考えるのに人生の折り返し点について思いを巡らしてみる、その人生の折り返し点は定年時では遅くないですか?、という部分だ。
人生80年と考え、最初の10年はまあ助走期間だとすると、45歳がマラソンで言うところの折り返し点になる。前半の走りと、後半の走りをどう組み立てるか。
もっとも、折り返し地点のないマラソンもあるだろう。しかし、僕らはキャリア(経験)を積むとか、会社生活の中でより成功したいといった中で前を向くことを余儀なくされる。最初の前半はそれで良いのかもしれない。しかし、定年後、いや定年の数年前から、そうした考えだけでは到達できないゴールがあるのだと思う。
そこで、折り返し地点、これももしかすると、その少し前からか、後半の走り方を考えるべきか。これは、趣味や交友関係を作るということで語っても良いのかもしれないけれど、より広く仕事に対する自分のあり方とか、仕事そのものに対する価値観や関わり方という面も含むのだと僕は考えている。
ボクのブログより:http://d.hatena.ne.jp/ninja_hattorikun/20090806
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南井所有
→10/06/27 小松崎さんレンタル→10/07/04返却
→10/07/11 片野さんレンタル→10/08/08返却
→10/08/08 影山さんレンタル
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最初は、本書の題でもあるライフワークについて論述されているが、次第に脱線してしまっている感が否めない。しかし、これは起承転結の転であり、最終的には収束するかもしれない。もし収束しなかったとしても、それはそれでおもしろいような気がする。なぜなら、まったく関係がない内容と思われても、よく咀嚼するとやはり深く関係しているような気がしてくる。転の論述を本書の主題と照らし合わせながら読むことで、文章の裏側に隠された意味を汲み取れる。これは深い読書方法ではないかと、著者の著書である「読みの整理学」を思い出した。
最後の章「ことばと心」はとても良い。病は気からってまじだと思う。あらゆる認識が言語を基礎としている人間はほんとに言葉に弱い。子供をダメな人間にさせたければ「おまえはダメな人間だ」といっていればおのずとダメな人間になる。その逆も然り。言葉には言霊が宿るのだと古人が考えたのもうなずける。昔の人って、現代人より「人間」とか「自然」とかを肌身に感じて理解していたのだろうな。
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外山先生らしい本です。
読みやすい部分と読みにくい部分があり,読みにくい部分は飛ばして読んでいます。でも,非常に勉強になるところもあります。
日本人の面食い文化の章(第4章)に私は共感しました。
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「ライフワークの思想」5
著者 外山滋比古
出版 ちくま文庫
p62より引用
“この世にまったく新しいものは決してなく、
どんなに新しいものでも、何らかの意味で、
これまでのものとかならず何らかの関係をもっている。”
英文学者である著者による、
生き方や言葉に関する事柄を取り上げ、
著者独自の視点で分析・解説した一冊。
創造の為には忘却によって調和をとる等、
少し驚きを覚えるような考え方が目白押しです。
上記の引用は、
発見についての章の中の一文。
どんなに風変わりで奇妙な物や作品であっても、
材料がまずなければ出来上がらないと言う事でしょうか。
この本にある通り、
ライフワークを花咲かせる為にも、
今はひたすら材料をたくさん仕込んでおこうと思います。
多くの材料を用意し時々忘れ、
いつかこれが自分のライフワークだと、
家族達に胸をはれる物を作り上げたい物です。
考え方の方法のひとつとして。
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