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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2009.9
  • 出版社: 東京創元社
  • レーベル: 創元推理文庫
  • サイズ:15cm/426p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-488-27805-2
文庫

紙の本

水時計 (創元推理文庫)

著者 ジム・ケリー (著),玉木 亨 (訳)

11月、イギリス東部の町で氷結した川から車が引き揚げられた。トランクには銃で撃たれた上、首を折られた死体が入っていた。犯人はなぜこれほど念入りな殺し方をしたのか?さらに大...

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水時計 (創元推理文庫)

税込 1,188 10pt

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商品説明

11月、イギリス東部の町で氷結した川から車が引き揚げられた。トランクには銃で撃たれた上、首を折られた死体が入っていた。犯人はなぜこれほど念入りな殺し方をしたのか?さらに大聖堂の屋根の上で白骨死体が見つかり、敏腕記者のドライデンは調査をはじめるが—。堅牢きわまりない論理、緻密に張られた伏線。CWA賞受賞作家が描きあげた、現代英国本格ミステリの傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】

11月、イギリス東部の町イーリーで氷結した川から車が引き揚げられた。トランクの中には銃で撃たれた上、首を折られた死体が入っていた。犯人はなぜこれほど念入りな殺し方をしたのか? さらに翌日、大聖堂の屋根の上で白骨死体が見つかり、敏腕記者のドライデンは調査をはじめるが──。堅牢きわまりない論理、緻密に張られた伏線。CWA図書館賞受賞作家が硬質の筆致で描きあげた、現代英国本格ミステリの傑作。解説=杉江松恋

*第4位『2010本格ミステリ・ベスト10』/海外ランキング
*第9位『IN★POCKET』2009年文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家&評論家部門【本の内容】

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評価内訳

紙の本

原題をそのまま日本語に訳しただけなんですけど、『水時計』っていうタイトルで損してるんじゃないか、って思います。それと主人公に魅力がない。浮気をするから、っていうだけじゃあなくて、可愛くないんです。そういう意味では本当は☆一つ減らしたいところなんですが、ミステリ部分は悪くありません。ちょっと甘めの★4つ。

2010/03/08 23:34

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

小説を選ぶ時、惹きつけられることばというのがあります。私の場合、CWA受賞作、MWA受賞作、ローカス・ヒューゴー賞受賞作、星雲賞、谷崎賞、山本周五郎賞とまあ内外を問わず、○○受賞っていうのが多い。中でも英国推理作家協会賞(CWA)については、シルバーダガー、ゴールドダガーなんてみただけで飛びつくわけです。で、幸いなことに期待を裏切られたことが殆どありません。特にCWAは。

でこの本、カバーに
             *
11月、イギリス東部の町で氷結した川から車が引き揚げ
られた。トランクには銃で撃たれた上、首を折られた死
体が入っていた。犯人はなぜこれほど念入りな殺し方を
したのか? さらに大聖堂の屋根の上で白骨死体が見つ
かり、敏腕記者のドライデンは調査をはじめるが――。
堅牢きわまりない論理、緻密に張られた伏線。CWA賞
受賞作家が描きあげた、現代英国本格ミステリの傑作。
             *
とまあ、殺し文句があるわけです。おまけに「現代英国本格ミステリの傑作」ですからね、もう向こうから美脚を見せて誘っているような状態です。ただし、タイトルの『水時計』っていうのが、なんていうか野暮ったい。原題が THE WATER CLOCK なんで文句言えた義理じゃないんですが、カーの『死時計』とかランドンの『日時計』とかあるわけです。

いや、時計をタイトルにしたミステリって、たくさんある。ただし、どれも現代感覚は皆無、昔懐かしいガチガチの本格というのが多い。私としては何となくミネット・ウォルターズのことが頭を過ぎるんですが、でもねえこんなに詰まらないタイトルはつけていない。正直、躊躇しました。私は現代的な警察小説は好きだけど、本格はねえ、黄金時代の作品で間に合ってる、っていうか・・・

とりあえず David Toase/Stockbyte/ゲッティイメージズ とコメントが就いたカバー写真と、本山木犀の装幀も及第点ではあるものの、これまたタイトルを引き摺ってモダンというよりは古色蒼然。イマイチ、ピンとこないし。そういう意味で不安があるわけです、私としては。ついでに扉の言葉も書いてしまえば
             *
痺れるような寒さの11月、イギリス東
部の町イーリーで凍った川から車が引き
揚げられた。トランクには、銃で撃たれ、
死後に首を折られた死体が入っていた。
犯人はなぜこれほど念入りな殺し方をし
たのか? さらに翌日、大聖堂の屋根の
上で白骨死体が見つかる。ふたつの事件
が前後して起きたのは偶然か? 疑問を
抱いた敏腕記者のドライデンは、調査を
はじめるが――。ねばり強い取材の果て
に、彼がたどり着いた驚愕の真相とは。
堅牢きわまりない論理、緻密に張られた
伏線。CWA賞受賞作家が硬質の筆致で
描きあげた現代英国本格ミステリの傑作。
             *
となっています。微妙に異なる文章は比較して楽しむのにピッタリです。で、これだけしっかりした内容紹介があるので、私としては人物中心に書いていくことにしますが、まずは読後の印象です。幾つもの事件が絡みますが、それがどう結びつくか期待しながら読むお話です。ただ、それだけではないところがあって再読をしても十分楽しめます。

とはいえ、主人公フィリップ・ドライデンの性格の悪さはどうしようもなくて、無論、それゆえに独自性があるけれど、読んでいて不快感ばかり抱いてしまいます。フィリップは週刊新聞『クロウ』の上級記者で、職業ゆえか取材のためなら平気で嘘をつくし、困っている人間を騙すことも気にしません。

現代の多くの英国の警察小説の主人公たちの多くは反骨精神の持ち主で、気に食わない上司に刃向いますが、弱い者いじめはしませんし、浮気をしても後ろめたさを感じて、ある意味、理解出来る存在です。ところがフィリップは正義感がないせいか反省の色はありませんし、権力には迎合する、長身でハンサムなのをいいことに、寝たきりの妻がいるのに、平気で浮気もします。

ちなみに、妻のローラが寝たきりとなり二年経った今も意識が戻っていない事故を起こしたのがフィリップです。それで浮気かよ、なんて思います。しかもです、事故の記録はなぜか公表されていないし、事故の相手も見つかっていない。その状態を放置している新聞記者? ありえないでしょ、それって。

それとハンフリー・H・ホルトというドライデンのお抱え運転手というのがわかりません。お抱え、といってもタクシーの運転手というのですから原著にはなくても補足の必要があるんじゃないでしょうか。ハンフリーは無口でめったにしゃべらないものの、語学テープを使ってヨーロッパの4ヶ国語を会話レベルまで習得している、なんてリアルというよりはファンタジーでしょ。

ほかにもドライデンの同僚の記者や、あまり有能ではない警察官、同性愛者である牧師、厩舎を焼かれてしまい動物も焼き殺されてしまったサーカスの管理人、酒飲みの市長や美しい市長夫人、目立ちたがり屋の義員や大聖堂の修理をしている建設業者、チンピラや賭け事に嵌っている中華料理店主など多彩な人物が登場しますが、どうも他のCWA受賞作家たちに比べ見劣りがするのは何故でしょう。

纏め方はそれなりに工夫があって、悪くはないのですが、人物設定と描写にこれといったところが見受けられないため、せっかっくの工夫が生きていない。英国作家としては珍しいほうではないでしょうか。私としては思い切って別の登場人物で新しいシリーズを開始したほうがいいのではないか、そのときは全ての人物をもっと書き込んだらいい、なんて思います。

結局は、登場人物の魅力なんです、小説の良し悪しは。

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2010/01/24 16:30

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2010/04/04 08:12

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