紙の本
マイクロファイナンスを日本にもちこもうとしているが…
2011/09/24 07:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が出版された 2009 年には,日本ではまだ貧困がおおきな問題だという認識がひろがっていなかったのだろう. 著者はまず日本における貧困の状態を分析し,その深刻さをうったえている. そして,日本ではその対策としてのマイクロファイナンスが普及していないこと,有名なバングラデシュのグラミン銀行だけでなく,先進国でもうごきがあること,日本でやるとしたらどうすればよいかを検討している.
東日本大震災後にマイクロファイナンスをめざすうごきもあるが,あまり成功しているとはいえない. この本にも,くるしさがにじみでている. やはり日本には定着しないのだろうか.
紙の本
これからの遠大なる日々を思って
2010/02/07 11:03
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読みながら しきりと最近良く新聞でも読む「BOP=Bottom Of Pyramid」ビジネスとの比較を考えた。
BOPは最近のはやりである。インドや東南アジアの貧困層向けにユニリーバやダノン等のグローバル企業が 細かい商売を積み重ねて結果として大きな収益を上げているという話だ。基本的にはマイクロファイナンスの嚆矢である グラミン銀行が バングラディッシュで対象とした層と重なるものがある。
違いがあるとしたら 貧困層への見方である。グラミン銀行は そこに「援助すべき貧困」を見たのに対し グローバル企業は「巨大な新しい市場」を見ているという点だ。勿論 グローバル企業側にも「貧困撲滅」という志はあると思うが やはり収益第一で来ていることも確かだろう。
但し そんなグローバル企業を安易に批判すべきではないことは 本書を通じて再度思った次第だ。慈善事業の持続可能な活動のモチベーションとして人の善意に頼るほど 人類は「人間が出来ていない」からだ。
将来的には 慈善が人間の本能になる日が来るかもしれない。いや 既に 有る程度慈善のDNAが組み込まれて来ている気もする。しかし それが大きな動きとなるような「進化」にはまだ時間は掛かるだろう。その これからの遠大なる日々の間 人間自体が 持続可能である為にも 「貧困解決型事業のビジネスモデル」の創出が求められている。本書は マイクロファイナンスという一例をあげて そのような新しいビジネスモデルの勃興を主張しているのではないか。それが僕が読みとった内容である
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世界におけるマイクロファイナンスの現状は、約1万機関、融資残高 300億ドル、利用者1.5億人。このマイクロファイナンスを日本の貧困の現状(失業者 346万人(08/04)、生活保護 154万人年収200万円以下は2196万人)を解決する為に使えないか?というのが本書の主張。マイクロファイナンスには、4種類、アップグレード型(NPO→金融機関に転換)、ダウンスケール型(金融機関が参入)、リンケージバンキング型(金融機関が資本参加)、ゲリーンフィールド型(新規参入)ある。先進国におけるマイクロファイナンスの事例として、地域開発金融機関(CDFI)、米国のシカゴ ショアバンク、アクシオン、オランダのトリオドス銀行(利子をソーシャルファイナンスに利用)等の取組みを紹介。マイクロファイナンスの先にあるものとして、
ソーシャルビジネススクール、ソーシャルストックマーケット等の考え方を紹介。資金需要は2500億ドルあるとも言われるマイクロファイナンスのみならず、その周辺の知識をコンパクトに纏めた一冊。
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求める人にお金を貸さない(貸せない)銀行。
そんな人に弱みに付け込んでいた罰が当たっている消費者金融。
借りたい人と貸したい人を適切に結びつける試みを応援したい。
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091201 byオイコクレジットmail
日本でマイクロファイナンスが広まらない理由のひとつに、マスコミなどでマイクロファイナンスが「無担保小口金融」と翻訳されて伝えられ、一般の人たちには、消費者金融(サラ金)と同じようなものと受け止められていたと、言われています。
著者はこの本で年収200万円未満の就業者が2,000万人超え、将来的に日本の年金制度が崩壊すると憂い、その救済措置として、日本でのマイクロファイナンスの実現可能なビジネスモデルを6つ提案しています。またヨーロッパの先進的なモデルとして、トリオドスバンクとともに、オイコクレジットも紹介されています。先日早稲田大学開催でされた著者の講演会でお話しする機会がありましたが、日本の金融機関や団体も躊躇せずに、オイコジャパンのように、まずやってみることが大切と、エールをいただきました。
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貧困は遠い国の出来事ではない。統計によれば、日本でも五日に一人の割合で餓死者が発生している。貧困に苦しむ人々を救うために、バングラデシュで始まったマイクロファイナンスはアメリカ、フランスなど先進国でも、その力を発揮している。担保のない人々に融資をしながら、貸倒れ率一~二%という実績を残す「驚異の金融」―これは日本の貧困問題にも有効か。この国の貧困の現状をデータに基づき明らかにし、導入の可能性に迫る。
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序章 日本でマイクロファイナンスが普及しない理由
第1章 深刻化する貧困
第2章 マイクロファイナンスとは何か
第3章 先進国のマイクロファイナンス
第4章 日本版ビジネスモデル
第5章 公の限界と民の限界
第6章 共感のある社会
第7章 私たちにできること
終章 マイクロファイナンスの先にあるもの
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菅 正広
1956年福島県生まれ。1980年東京大学経済学部卒業、同年大蔵省入省。1984年英国ケンブリッジ大学修士(MA)。相馬税務署長、国税庁・証券局課長補佐、主計局主査、OECD(経済協力開発機構)室長、財務省国際局・関税局課長、預金保険機構部長、大臣官房参事官などを経て、北海道大学公共政策大学院教授。2009年7月より、鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事(役員出向)
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日本でもマイクロファイナンスを実現すべき、という提言の書といった趣。
新書であるためだろうが、日本の貧困の現状といった背景の説明が多く、マイクロファイナンスの詳細、特に実務に近いところを期待しているとかなり物足りない。後半になるとより観念的な話になっている。
それでも、マイクロファイナンスが何かという疑問には、ひととおり答えているように思える。日本での実現がテーマになっているだけに、よりリアルな理解がえられるような気がする。
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マイクロファイナンスとは、何かを理解する入門書としては、まずまず役に立った。
海外での事例もいくつか紹介されているし、その内容もわかりやすい。
ただ、結局日本での貧困の現状であるとか、日本でどうやったらマイクロファイナンス、もっと言えばソーシャルビジネスが普及するのか、というところまで自分はこの本に期待していなかった。
たしかに、日本でも多重債務に苦しむ人がたくさんいて、5日に1人餓死者が出ているというのは放っておけない事実ではあるが、
個人的にはもっと世界の現状に目を向けたマイクロファイナンス論を語ってもらいたかった。
ということで、全体として少々内容に厚みが足りない感があった。
まあ、新書ならこんなもんだろうか。
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思ったのと違っていて、日本の貧困削減をターゲットとしたマイクロファイナンスの可能性について書かれた本。
それでもグラミン銀行の成り立ち等、ひととおりのマイクロファイナンスの説明も書いてあって、効率よく知識が吸収できる感じがした。
ユヌス総裁の「お金儲けではないビジネス」「資本主義の性格を変えることができる」といった発言あたりはとても興味深い。
「金融」って本来はそうあるべきではないのだろうか、と思ってしまう。。。
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マイクロ・ファイナンスやソーシャル・ビジネスを日本で展開するにはどうしたらよいかを語っている。日本ではなかなか普及しないソーシャル・ビジネスを広げるには、少し分析に深みが足りない気がするし、グラミン銀行をはじめとするマイクロ・ファイナンスについての考察も不足している気がする。
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本書は、経済学を専門とし
現在は北海道大学教授である著者が、
マイクロファイナンスについて解説する著作です
マイクロファイナンス(以下「MF」)とは、
「貧困に苦しむ人々に提供する、少額無担保融資などの、金融サービス」のことです。
このMF、従来日本では、開発援助の文脈で論じられることが多かったのですが、
筆者は、国内の貧困対策として活用することを主張します。
そして、ノーベル平和賞受賞で知られるグラミン銀行をはじめとする各国での成功例や
すでに国内にある低所得層向けの融資制度を紹介したうえで
日本におけるMFの本格的な導入と
それを支える国家や社会の役割や理念を説明。
さらに、MFを運営する人材を育成するための機関の設立を提唱します
低所得層向けという点で類似する消費者金融との相違や
E・P・トンプソンなどを参照した抽象的な議論も興味深かったのですが
やはり一番興味深かったのは
NPOバンクや市民投資信託、公益信託型など細かく分類し提示される
日本型マイクロファイナンスのビジネスモデルです。
一読すると無味乾燥な記述ですが、
こうした細かい記述を読むことによって、
漠然と理解しがちなマイクロファイナンスについて、
具体的イメージをもつことができました
抽象論に終始することも、些細な論点に拘泥することもなく
MFについて平易かつ網羅的に論じた本書
貧困などの社会問題や公共哲学に興味を持っている方はもちろん
一人でも多くの方におすすめしたい著作です
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マイクロファイナンス
私の業界(美容)では聞き慣れない言葉だった。
雑誌で紹介されていて気になって取り寄せた本だ。
読んでみるとそんな世界があったのね…
そんな感想。
日本でも経済的に厳しい家庭でもマイクロファイナンス
の形態が普及すれば立派に自立して行ける国になるだろうに。
そう思う一冊。
皆が国の手当等をあてにせずに自分たちのスキルアップや
事業を興して稼げる様に出来る手伝いをしてあげる為の
融資をした方がよほど国に良いのでは?と思う。
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マイクロファイナンスという言葉は、社会企業、ソーシャルビジネスという言葉と共に耳にしたことがありました。しかし、これまでその手法や、特徴について考えることがなく、ざっくりマイクロファイナンスについて知りたくこの本を購入しました。
そのようなベーシックな知識から、日本におけるマイクロファイナンスの可能性についても深く考察していて、1から学ぶことができたと感じます。
最も印象に残ったのは、マイクロファイナンスの理念である「私的利益と社会的利益の両立の追求」という言葉でした。日常の生活にはびこる様々な社会問題を解決するために、このような理念を持つ人、組織が増えていく必要はひしひしと感じます。巻末で、そういった人材の排出や、土壌の確率のために「ソーシャルビジネススクール」や「ソーシャルインデックス」の開発が重要であると指摘されていましたが、まさしくその通りであると感じました。
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日本でもマイクロファイナンスはある。
消費者金融はマイクロファイナンスではない。
ホームレスを救うために、ビッグイシュー販売などがある。
世界からもっと見習うことが多いかもしれない。
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マイクロファイナンス入門というよりは、日本への提言という内容。
既存のコーポレートローンや消費者金融との違いはわかりやすかった。
マイクロファイナンスのスキームも図を使って説明していた点は好感。
でも、その図がちょっとわかりにくいのが残念。
あと、マイクロファイナンスを行っている機関の収支・資金状況を載せて欲しかった。
でないと、本当にビジネスとして軌道に乗っているかわからんよ。
序章 日本でマイクロファイナンスが普及しない理由
第1章 深刻化する貧困
第2章 マイクロファイナンスとは何か
第3章 先進国のマイクロファイナンス
第4章 日本版ビジネスモデル
第5章 公の限界と民の限界
第6章 共感のある社会
第7章 私たちにできること
終章 マイクロファイナンスの先にあるもの
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[ 内容 ]
貧困は遠い国の出来事ではない。
統計によれば、日本でも五日に一人の割合で餓死者が発生している。
貧困に苦しむ人々を救うために、バングラデシュで始まったマイクロファイナンスはアメリカ、フランスなど先進国でも、その力を発揮している。
担保のない人々に融資をしながら、貸倒れ率一~二%という実績を残す「驚異の金融」―これは日本の貧困問題にも有効か。
この国の貧困の現状をデータに基づき明らかにし、導入の可能性に迫る。
[ 目次 ]
序章 日本でマイクロファイナンスが普及しない理由
第1章 深刻化する貧困
第2章 マイクロファイナンスとは何か
第3章 先進国のマイクロファイナンス
第4章 日本版ビジネスモデル
第5章 公の限界と民の限界
第6章 共感のある社会
第7章 私たちにできること
終章 マイクロファイナンスの先にあるもの
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