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みんなの評価4.3
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評価内訳
2010/07/15 20:21
投稿元:
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文庫になってたのね…。山県の生い立ちから、死後の葬儀の様子まで山県が通した法案を含め簡潔にわかりやすく書いてあった。なんかこう…こう書くと誤解されちゃうかもしれないんだけど、山県自身が一途に天皇主権の国家を目指していたことがわかるというか、山県自身はそれが日本のために正しい道だと信じて、けれど結局それが原因で帝国崩壊への道をたどっていったのだと思う。山県自身もあんなに信奉していた天皇から嫌われ、民衆にも嫌われ、最終的には信じていた部下からもさげすまれるようになっていったっていうのが、なんだか悲しい気がしてならない。
2011/04/02 18:36
・山県有朋は、幕末維新から大正、昭和への展開を知る上で、どうしても理解しておきたい人物。 ・しかしながら、歴史小説で取り上げられることもなく、彼の本を探していたところ、偶然、半藤氏の著書を見つけた。半藤氏の著書は「幕末史」など、分かりやすく好きだ。 ・山県は国民の精神をも管理する仕組みを作り上げ、内務省を中心とする強力な官僚組織、統帥権を以って政府より優位にある軍部を構築した。まさに戦前までの日本を枠組みを作り上げた人物。まさに組織の枠組みを作る天才だったのだろう。 ・ある意味で大久保利道の目指すべき強力な国家創りを推進してきたのだろうが、大久保は生きていたら?と思わずにはいられない。
2013/03/03 06:15
文章の節々からもなんとなく感じるのですが、書ききった後のあとがきで、作者が山県有朋に親近感を持てなかったことをぶっちゃけており、いっそ清々しいです。
2013/05/02 01:03
統帥権についての考えに影響を及ぼした人物として、陸軍の組織づくりのキーパーソンに当たることが本書で述べられる。結果として陸軍は、終戦まで元老山県のデザインした陸軍だった。山県から見れば大衆に迎合する政党勢力から、独立を最後まで果たしていたのだから。 下級武士の出で奇兵隊出身であるがゆえに、政党がまとう平民の移ろい易い雰囲気の危険性を肌身で感じていたのかもしれない。 もし山県が軍を政治へ関与をさせない組織にしていたら…と思うが、山県の性格的にそれは想像するだけ意味がなさそうだ。 本書を読めば1930年代の陸軍の足跡に、山県の思想の残滓を見ることになる。
2014/01/29 01:42
近代史に興味を持つものの義務のようなものを感じて読みました。 半藤さんも書いておられますが、読んでも山県有朋という人物を好きにはなれませんでした。 「武人」を名乗りながらも積極的に政治に関与していく姿勢や、部下を派閥化してゆくやり方、自分の理想像としての天皇に忠節を誓う一方で現実の天皇を裏切り利用する在り方などは、保阪正康さんが書かれた『東條英機と天皇の時代』を読んだ際に受けた東條英機という人物のイメージと、不思議と一致するものを感じました。 陸軍という世界で育った東條には、その陸軍、更には近代日本を創った山県という人間のDNAのようなものが受け継がれていたということでしょうか。 ただ、半藤さんもおっしゃるとおり、晩年の山県には同情したくなります。歴史にifはないと言うものの、もしも彼が栄華に恵まれず、長州の「山県小助」として生きる道があったとして、どちらが幸せな人生だったのだろうか。この本を最後まで読み終わったとき、そんな考えが頭をよぎりました。
2014/08/16 16:11
山県有朋というのは怪物だ。権力欲が異常に強く、実務の能力に長ける。明治国家は伊藤博文と山県有朋が作った。 統帥権の独立など、山県の生み出した政治構造はやがて日本を滅ぼすに至る。
2018/10/10 20:48
萩の町にて◆奇兵隊の軍監◆越の山風◆陸軍の建設者◆天皇の軍隊◆軍事国家への道◆二つの戦争◆「勤王に死す」◆護国寺にて 著者:半藤一利(1930-、墨田区、作家)
2019/05/09 04:36
長い期間をかけて読んだ。 それは読みづらかったからではない。 半藤一利氏の文章は読みやすい。余計なことを省き、必要なことをテンポよく読めるように書いている。 しかし、この本はじっくり読んでみたかった。 日本史に興味があるからというのも一つの理由であるが、それよりも山県有朋という人物について知りたかった。山県有朋が残したものを知りたかった。 内田樹氏の言葉を借りれば、明治を作ったのは明治生まれの人ではない。江戸時代に生まれ、幕末を生き延び、明治という新しい時代を作った人のことである。 その意味で、山県有朋はまさに明治を作った人物であるが、その影響は太平洋戦争の敗戦まで伸びていく。 山県有朋こそが、軍人勅諭を作り、教育勅語を作り、天皇を現人神にした張本人であった。 しかし、それは明治の強い日本を作るために考え抜き、自分の理想を追い求める中で生まれた手段であった。 山県有朋ほど、状況を冷静に分析できる人物はいなかった。 山県有朋は、確かに敗戦の因を作った人物かもしれない。 しかし、手段は往々にして目的になる。 山県有朋が人生をかけて作った手段を、目的のように履き違えてしまった後の人にこそ責任はある。 山県有朋ほど、この国を憂い全人格を持って考え抜き、日本を作ろうとした人物が後に出てこなかったことが、本当の原因ではないか。自分を含めて。
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