紙の本
被害者と加害者の
2018/05/03 11:36
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇妙な関係性が印象深かったです。単純な善悪二元論を乗り越えて、心を通わせていくふたりの少年の姿が心に残りました。
紙の本
高湿度空中浮遊小説。
2017/12/27 17:38
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
微熱に浮かされたような物語だ。
申し訳ないが、現在のわたしのものさしでは図りきれず、
星の評価はあきらめた。
書評を書くぐらいだから、つまらない訳ではない。
しかし何かを掴もうという気持ちは起きず、
胸がかきむしられることもない。
ぽかりと自分の目の前に浮かんでいる、そんな小説である。
中学生のユキヒコが、友人の綾瀬に崖から蹴り落とされた。
一命は取りとめたが右足に大きな傷を負う。
気がつくと病院のベッドの上である。
右足の完治は望めず、バスケットボールはもう無理。
綾瀬が警察に事情聴取され、その時答えた言葉が
ユキヒコに伝えられる。綾瀬は、ただ「わからない」を
繰り返すばかりだったらしい。
母は殺してやりたいと言い、姉は殺人罪で捕まっちまえと答え、
父は黙っていた。
ユキヒコは思う。
>ぼくは少しだけ泣きたくなった。母さん、プリンはいらない。
>どうかもう悲しまず、殺したいほど憎まないで欲しい。
>────だって母さん。
>綾瀬はぼくの友達だったんだ。
P11の台詞である。
なぜこんな気持ちになるのか。
友情って何なのか。
憎しみって何なのか。
薄いガラスの向こうで、こちらとよく似た、でも何かが違う世界が
展開されている。この台詞の異質さは、物語のキモのような
気がする。
ユキヒコが学校に通うようになると、中川・かごめという世間の
常識から飛び抜けたような友人ができる。
中川の無類の優しさと温かい距離感は、夢の人物そのもの
であろう。かごめのあり得ない傍若無人さと、
はりねずみのような距離感も、奇妙さが際立っている。
世の中にはびこる、吐き出したいような優しい世界というもの。
作者はそんなものは嘘のかたまりとばかりにこき下ろし、
つばをはきかけ、ユキヒコにほろ苦い幻想を抱かせる。
ユキヒコの目に時々浮かぶ幻想や、中川の植物との対話、
かごめの邪眼の噂など、出てくる小道具も理解しづらい。
読了後、ぼうっとしてしまった。
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さらっと読み終わりました。内容は出だしが一番印象的でしたが後はあまり思い出せない……。時を改めてまた読み返そうと思います。
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最初はどんな展開になるのかと思いきや、途中でキャラバンが登場した辺りから、かなり不安になり(失敗か?と)、でも最後、こういうラストは好きです。
主人公がちょっと若い気もしますが、10代男子でなければこのラストでこんなに感動はしなかったと思います。
あと、家でのかごめちゃん、好きですー。
このラストだと続編は厳しそうですが、スポットを別の登場人物にあてて書いたものが出たら、即買いです。
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なんだか懐かしい気分になる青春話だった。
登場人物が魅力的。
中川くんのできすぎた人格に完敗です。
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100205読了。
正統派だと思いきや、そうでもなかった青春もの。
でもやっぱり、話の筋は正統派で、さわやかで、勢いがあって、おもしろかったです。
中学のころ、こんな気持ちにもなったなー
と、しみじみしてしまう心理描写とキャラのよさのおかげで、読むのが楽しかったお話。
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表紙に惹かれて購入。
面白かったし、キャラクターがものすごく魅力的。
内容は完結してるけど、続編がとても読みたい。
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ハードカバーで発売したときから読みたいと思っていた作品でした。たしか、新聞か何かの広告で知っていて。でも、本屋でも見つけられず、諦めていた。けれど、その頃から三年近く経っているのに、タイトルをちゃんと覚えていて。
三年近く焦がれていたけれど、憶えていてよかったと思える。そんな作品でした。
本当に憶えていてよかった。
この作品に出会えてよかった。
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主人公がいきなり、崖から突き落とされたので、どうなるのかと思いながら読んでました。終わり方に若干のひっかかりがない…といえば嘘になりますが、おもしろいと感じました。
キャラクター一人一人がすごく魅力的です。綾瀬のような切ないキャラは大好きです。きっと、一生負い目を背負って生きていくんだろうな。中川はいい味出してます。なかなか掴みにくい感じがたまらなく好きです。ぜひ、ラボにいってみたい。
女の子が少なめだった気がしますが、横山かごめだけはインパクト大でした。大人しい子なのかな…と思ったら、大間違いでした。衝撃的…! ツンツンツンツンツン……デレ。
キャラクターに魅力はあれど、どうにも分かりにくいところもありました。『さかな』って結局何だったんだろうとか、終わりの意味は?とか。途中の展開は面白かったので、ちょっと残念でした。
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この本はジャケ買いでしたね.。゜+.(・∀・)゜+.゜
ラノベみたいな表紙だったのでつい惹かれてしまいました。
展開もラノベチックで青春もの、しかもちょっとBL気味(笑)なので
私のような属性の方には読みやすいと思います(●´ω`●)ゞ
私は中川くんがすごくツボで!!笑
なんだこのやたら私のタイプな子はー!!!!
とでれでれしながら読んでしまいました♪
青春の変ないらだちや甘酸っぱさがとてもよくでた作品だと思います★
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友達に殺されかかった少年が、周囲の人の反応と自分の感情を受け止めかねている様子が印象的だった。許したいという思い、他人にあれこれ言われることについての苛立ち、捨てざるを得ない夢への未練、新しい友達との関係。社会と自分との距離をまだうまく取れない少年ならではの感情のゆれがとてもよかった。
視界のなかに「さかな」が見える、周囲の皆が次々と毒気を抜かれていいことしか言わなくなる、という不思議な現象の意味づけはちょっと弱いかなと思ったけど…
中川くんが好き^^
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第19回小説すばる新人賞受賞作
綾瀬は小さい頃の母の言葉から大切なものを壊すようになり、ついには友人ユキ(沢村幸彦)をがけからつきおとしてしまう。ユキは一命を取りとめたが、大好きだったバスケをやることができず、二度目の二年生で退屈な日々を過ごす。しかし廊下で声を掛けてきた中川と出逢い退屈でも満たされてもいない世界に足を踏み込む。世界を汚染しつつあるキャラバン、お互いに溶け合う人間たちの中でユキはかごめの一言で綾瀬の元に行く。
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うーん。おもしろいと思うところもあり展開がとびぬけているところもあるけれど、全体的にもやもやとした小説。
新人賞ということだけあって、読者を意識してまとまっているわけではない。
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俳優という仕事が「感情を肉体で再現する仕事」だとすると、小説家は「記憶を文章で再現する仕事」だと言えると思う。
そういう意味では、この小説は水森サトリという小説家の恐ろしいほどのナチュラルな力量を指し示していると言える。
物語は、実際には何も起こらない。
もし、小説にカタルシスだけを求めるとしたら、物足りないと感じるかもしれない。
でも、自分の鮮烈な感情が記憶の中で摩耗することを覚えた後で、改めてこの小説を読めば、その力強さに驚くはず。
大丈夫、★5つは伊達じゃない。
読めば分かる。
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「友人に谷底に蹴り落とされて足を悪くした主人公が、変わってしまった周囲に戸惑いながら、大切なものを再構築していく、少しファンタジーな青春小説」
タイトル買い。
なんというかまあ、若いうちでないと書けないようなお話。
中年にはまず無理かと。
ただどうも、わかっているけど素直になれずに攻撃的になってしまう人物というのは苦手で、主人公はあまり好きにはなれなかった。
良かったのは中川君。
相手を全て包み込むようなひねくれ方が格好良いです。
SF要素は、ちょっと微妙でした。
主人公の不安定さの象徴として取り入れられているような感じで、
クライマックスとかでどう使うかと少し楽しみにしていたのだけれど、なんとなく過ぎ去ってしまったようで。
全てが溶けあう満月の夜、の効果が拍子抜けでした。